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サイエンス

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サイエンスにまつわる簡単な解説、そして個人的なエピソードや思い出など。
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記事一覧

週刊ダイヤモンド連載コラム第457回:小さなRNAの除去だけで マウスの雄を雌に「性転換」

週刊ダイヤモンド連載コラム第457回:小さなRNAの除去だけで マウスの雄を雌に「性転換」

ただいま発売中の週刊ダイヤモンド誌に連載コラム「大人のための最先端理科 第457回」が掲載されています。

今回取り上げたのは、マイクロRNAという小分子RNAをゲノム編集で除去することによって、雄を雌に「性転換」したというマウスの基礎研究。オープンアクセス論文なので、どなたでも読めます。

いつもコラムを書くときは、コアとして取り上げる最先端論文を選び、出だしと最後を考えながら、まず背景の説明あ

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ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その5):最終日のディナーほか

ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その5):最終日のディナーほか

次のオーガナイザーの選挙とアンケート

時間がやや前後してしまうのだが、最終日の朝8:30からはBusiness Meetingとして、次回2026年のオーガナイザーの選挙が行われた。2人がペアになって立候補するという形で、1組のみの候補であったので、すんなり満場一致。その後、9:00からのセッション開始前まで学会の印象などのアンケート調査の時間となる。これはGordon Research Con

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ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その4):エクスカーションでワイナリーへ

ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その4):エクスカーションでワイナリーへ

ポスターセッション

ポスターセッションは、2日目から5日目までを2グループに分けて2日間ずつ掲示していた。午後のフリータイムが終わって16:30-18:00の間の時間帯。同僚の吉川講師は前半で、ショートトークを行ったこともあって大盛況。私の方は後半の日程で、昔からの知り合いを中心にポスターを見に来てくれた。現在、リバイス中の内容だったので「Good luck!」と皆に励まされた。

対面会議の良

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ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その3): 初日にディスカッション・リーダーを務めた

ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その3): 初日にディスカッション・リーダーを務めた

トスカーナで朝食を

合宿形式の学会では、毎日、三食、誰かとともにテーブルを囲む。自身の研究の紹介だけでなく、それぞれの国のサイエンスの状況、ときには米国大統領選の話など、いろいろなことを話す間にネットワーキングできることが有り難い。今回は早めに朝食会場に向かうことが多い(アジアの時差故)台湾国立陽明交通大学のJin-Wu Tsai先生とご一緒することが多かった。今、共著論文がリバイス中で、さらに

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ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その2):会場入り

ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その2):会場入り

バスに揺られて会場へ

さて、イタリアといえば”犬も歩けばジェラート屋に当たる”ので、ウフィツィ再訪のあと、街角のジェラート屋さんでミント味のジェラートをいただいて一休み。ホテルに戻ってチェックアウトし、再びタクシーでフィレンツェ空港へ。14:30発のチャーターバスを目指す。

学会からの案内に集合場所が明記されていなかったものの、ポスターの筒を抱えた"いかにもGRCに行きます"的な方々がタクシー

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ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その1):フィレンツェ入り

ゴードン会議でトスカーナを訪れた(その1):フィレンツェ入り

はじめに

Gordon Research Conferences (GRC)は米国でCold Spring Harbor Laboratory Meetings (CSHLM)、Keystone Symposiaと並ぶ合宿形式の研究会だ。30代から40代にかけて、何度も参加していたが、GRCは夏休みで空いている米国の大学の寮に宿泊する形式。さすがに歳をとってくると、シャワールームを見知らぬ参加者

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週刊ダイヤモンド誌連載コラム第450回はヒト人工生殖細胞の話を取り上げました

週刊ダイヤモンド誌連載コラム第450回はヒト人工生殖細胞の話を取り上げました

7週間に1回の連載、先週発売の週刊ダイヤモンド誌に掲載でしたが、タイミングを逸して本note記事に挙げられず……。でも備忘録として残します。

今回はヒトiPS細胞から人工生殖細胞の産生過程の途中段階までを効率良くする方法を開発したという京都大学の斎藤通紀先生のところの論文を取り上げています。

最近、繰り返しAudibuleで聴いていたユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス』に影響された書き出し

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第19回科学ジャーナリスト賞贈呈式

第19回科学ジャーナリスト賞贈呈式

6月8日(土)審査員を務めた科学ジャーナリスト賞(J賞)の贈呈式に出席してきました。この賞は日本科学ジャーナリスト会議(JASTJ)が毎年、授与しているものです。

こちらが今年の受賞作品です。

大賞、優秀賞、それぞれの受賞者に、白川先生、浅島先生、相澤先生、小林先生が記念品を授与し、それぞれ講評と受賞スピーチをされました。

受賞作品へのリンクを貼っておきます。

全体講評をさせていただきまし

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Luncheon Session at CINP2024

Luncheon Session at CINP2024

We will organize a luncheon session at CINP2024 on May 24th supported by the World Women in Neuroscience (WWN) as well as the International Brain Research Organization (IBRO). It is an onsite session,

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ナノテラス運用開始記念式典と祝賀会に参加しました

ナノテラス運用開始記念式典と祝賀会に参加しました

本年度より運用が開始された次世代放射光施設ナノテラス(NanoTerasu)の記念式典が現地の第1会場と仙台国際ホテルの第2会場にて開催され、盛山文部科学大臣、大島理森元衆議院議長をはじめとする多数の国会議員、関係する大学や研究機関の長、地元経済界関係者、本学関係者等、総勢400名余が参集しました。
(サムネイル画像はwebマガジン『まなびの杜』より拝借。

式典前に大臣の視察があるとのことで、今

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週刊ダイヤモンド誌連載コラム:piRNA

週刊ダイヤモンド誌連載コラム:piRNA

今週発売中の週刊ダイヤモンド誌(4/20号)に連載コラム掲載。今回は東京大学の塩見美喜子先生が内藤記念科学振興賞を受賞されたことを受けて、small RNAを取り上げました。

実は、現在、進めているプロジェクトが絡んでいるテーマだったので、勉強を兼ねて調べた次第。マクリントックのトランスポゾン(動く遺伝因子)、キッドウェルのPエレメントから塩見先生のpiRNAへと続く道。サイエンスを行うのは人。

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ローマ訪問アゲイン

ローマ訪問アゲイン

3泊5日で弾丸ローマ出張でした。連携協定を結んでいるローマ大学に表敬訪問し、さらに本学から派遣した8名の学生さんと、ローマ大学の学生さんの交流の機会もありました。追って詳細を記しますが備忘録として。サムネイルはSapienza Univeraity of Romeの本部棟の講堂の壁画で、ムッソリーニ政権の頃の話を伺いました。

東北大学総長と、ローマ大学Sarpienza University

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週刊ダイヤモンド誌連載コラム#436回は神経難病ALSを取り上げました

週刊ダイヤモンド誌連載コラム#436回は神経難病ALSを取り上げました

ただいま書店で発売中の週刊ダイヤモンド誌(2/24号)の連載コラム『大人のための最先端理科第436回(生命科学)』に神経難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)のことを取り上げました。ただいま多数の治療薬の開発が進みつつあります。

ちょうど、年明けにチネ・ラヴィータにて映画「NO LIMIT, YOUR LIFE」を見に行ったこともありました。こちらの拙note記事も合わせて読んでいただけると有り難いで

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祝! 倉谷滋先生に朝日賞!!!

祝! 倉谷滋先生に朝日賞!!!

元旦早々、嬉しいニュースが飛び込んだ。古くからの研究者仲間である理化学研究所の倉谷滋先生が朝日賞受賞とのこと(画像は倉谷先生ではなくて、法学者の戒能民江先生)。

下記は業績の紹介ページ。

これまた友人かつ高校後輩である朝日新聞社の瀬川茂子さんが業績をまとめておられたので引用。

1990年代、遺伝子発現を空間的に明らかにする技術や、遺伝子機能を人為的に改変したマウスが作れるようになり、発生生物

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