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雨にも負けず、風にも負けずと意気込んでも、天に見放されたら…。あきらめて、次に臨むしかない。FC東京が雨と逆風に泣く。福岡はワンチャンスを生かして決勝点

雨にも負けず、風にも負けずと意気込んでも、天に見放されたとしたら…。あきらめて、次に臨むしかない。FC東京が雨と逆風に泣いた。試合開始から降り続いた雨の影響で、芝は滑りやすく、足を取られる場面が相次いだ。ゴロのパスも必要以上に伸びてしまい、プレーが切れてしまった。一方の福岡は守りを固めて相手を封じ、ワンチャンスを生かして決勝点。天は福岡に味方したようだった。

6月30日に東京・味の素スタジアムで行われたJ1のゲーム。雨で日曜のナイターにもかかわらず、2万133人が来場した。

ホームのFC東京は前半、雨に悩まされた。味方のパスを受ける際に、足を取られて体勢を崩しボールを奪われる。

自慢のパスサッカーが機能しない。相手守備陣の裏を突くパスを狙っても、濡れた芝がボールの勢いを加速させて、ゴールラインを割ってしまった。

プレーの選択は正しい。勢いに乗って前進する東京の選手。スタンドからは歓声が沸く。ビッグチャンスとなるはずだ。しかし、ボールが止まらない。ため息がスタジアムを覆った。

0-0のままハーフタイム。東京としてはここ2試合で連続して完封勝利を収めている。前半をしっかり無失点で終えて、後半に期待したいところ。雨もやんだ。気分一転して臨めるはずだ。

しかし、サイドが変わった後半。風がいきなり吹き始めた。東京にとっては向かい風だ。コーナーフラッグが大きく揺れていた。

逆風にあおられたボールは東京の選手につながらない。時間だけがどんどん過ぎていく。フラストレーションがたまっていくようだ。

そして後半17分に福岡が選手交代。MF重見柾斗選手とDF小田逸稀選手が登場する。その4分後、スローインを起点に、右サイドから小田選手がクロス。それを重見選手が右足でコースを変えたシュートがゴールネットを揺らした。

一瞬の隙を突いて、福岡が先制点を挙げた。巧みな選手交代。福岡の長谷部重利監督にとって、してやったりの采配となった。

1点を追う東京は後半40分に相手陣内でFKを得た。近くのコーナーフラッグは相変わらず、東京側に向かって激しく揺れている。

FW荒木遼太郎選手がゴール右上へ直接ゴールを狙う。コースは完璧。しかしGKにパンチングで防がれた。逆風でなければ、ボールの勢いが弱まることなく、キーパーのパンチングよりも早くゴールインしていたかもしれなかった。

その後は東京が攻め込んでも、福岡の堅守に跳ね返されてタイムアップ。東京は0-1の敗戦。東京サポーターからのブーイングが響き渡った。

味方のチームへ向けて発せられたのだろう。ブーイングは味方への愛情の裏返しでもある。そこに次は頑張れという思いも込められていたのだろう。

ただ私には、このブーイングが雨、逆風と東京の選手たちを悩ませ続けた天への恨み節にも思えた。

雨にも負けず、風にも負けずと、宮沢賢治の詩のように意気込んでも、天に見放されることもある。そんな時はあきらめて、次に臨むだけ。試合後のブーイングは東京の選手たちへ次戦に向けたエールのように思われた。

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