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女子サッカー。冷静と情熱のあいだ。国民性が如実に表れるスポーツ。踊りに例えるならば、なでしこは日本舞踊。スペインはフラメンコ。勝敗の差は「情熱×自信」

パリオリンピックの女子サッカーが開幕した。なでしこジャパンは初戦で強豪のスペインと対戦。優勝候補同士の一戦となった。サッカーは国民性が如実に表れるスポーツ。「冷静」のなでしこに対して、「情熱」のスペイン。試合中のワンプレーごとに両者の特徴が出たように思われた。勝敗の差は「情熱×自信」だったようだ。

なでしこジャパンは1次リーグでC組に入った。世界ランキング7位。同居するのはスペイン(1位)、ブラジル(9位)、ナイジェリア(36位)。組み合わせが決まった際には「死の組に入った」とSNSで嘆く声が少なくなかった。

そして初戦はいきなりスペイン戦。昨年の女子サッカーのワールドカップ(W杯)で悲願の初優勝を果たした難敵だ。

五輪のゲームを見ながら、両チームの性格が如実に出ているように思われた。「冷静」の日本と「情熱」のスペイン。

「冷静と情熱のあいだ」。江国香織さんと辻仁成さんによるコラボで書かれた人気小説のタイトルだ。2001年には映画化もされ、竹野内豊さんらがイタリアを舞台に好演を見せた。

このタイトルが五輪の初戦にピッタリ合うようだった。踊りに例えるならば、なでしこは様式美の日本舞踊、スペインは激しい動きのフラメンコ。まさに「冷静」と「情熱」だ。

なでしこはFW長谷川唯選手らが緻密なパスを供給する。前半13分に藤野あおば選手がフリーキックを直接決めて先取点を挙げた。ゴール右へ正確無比なシュートだった。

一方のスペインは細かいパスをダイレクトでつないでいき、常にリズミカル。スピーディーに試合を運んでいく。ボール支配率は69%と押していた。

なでしこは前半22分、スルーパスに反応したボンマティ選手に同点ゴールを奪われる。後半29分には細かいドリブルからカルデンティ選手に勝ち越しゴールを決められた。

1-2でなでしこが惜敗。昨年のW杯のグループリーグでは、なでしこがスペインに4-0と大勝した。この違いはなんだったのだろうか。スペインはW杯でグループ2位で決勝トーナメントへ進むと、そこから勝ち上がり、悲願の初優勝を決めた。

W杯と五輪の主要国際大会での初のタイトル。これがスペインに自信を与えたようだ。これまでのスペインはうまいサッカーを見せた。ただ勝ち上がる強さがあったわけではない。

なでしこは2011年にW杯を制し、2015年W杯、2012年五輪で準優勝。過去の実績としては日本の方が上だった。

しかし、スペインは昨年のW杯を制して、勝ち抜く自信をつけた。情熱に自信を掛け合わせた波及効果が、日本の冷静さを上回ったのかもしれない。

五輪の男子サッカーでは、日本が白星スタートを飾った。なでしこも続きたかったはず。初戦に敗れたものの、なでしこは持ち味の「冷静」をしっかりキープしていけば、グループリーグ突破を果たせそうだ。

なでしこジャパンは、まだまだ行ける。「冷静」なプレーで勝ち上がってほしい。

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