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勝負強さは苦労してこそ磨かれる。楽天の早川投手が自身初の二けた勝利。チーム創設20年。左腕で初の10勝投手に。入団4年目で初の開幕投手。名実ともに整ってきた

勝負強さは苦労してこそ磨かれる。そう思わせるサウスポーだ。楽天の早川隆久投手(26)が自身初となる二けた勝利をマークした。球団創設20年で左腕投手の10勝到達は初めて。今季は開幕投手を務めるなど期待が高まっていた。プロ生活は苦難の連続だったが、4年目で結果を残した。3年ぶりとなるAクラス入りへ、早川投手は欠かせぬ存在となった。

千葉の木更津総合高校時代には春夏3度の甲子園に出場した。圧巻だったのは2016年の選抜2回戦。3年生の早川投手は優勝候補の一角、大阪桐蔭を相手に1失点に抑えて完投勝利を挙げた。

早稲田大学に進み4年時にはエースで主将も務めた。2020年秋。六大学野球リーグで最後のシーズンに、優勝のかかった早慶戦で好投し、10季ぶりの優勝をもたらした。

その年のドラフト会議で4球団から1位指名。交渉権を引き当てた楽天に入団し、新人王候補としてルーキーシーズンを迎えた。

しかし2021年シーズンは9勝。あと一歩で二けた勝利を逃した。新人王はオリックスの宮城大弥投手が手にした。

プロ2年目は厳しい年となった。5勝止まり。しかもこの年のリーグワーストとなる19本塁打を喫した。「ポンポン、スタンドに持っていかれる」レッテルが張られてしまった。オフにはひじの手術も受けた。3年目も6勝止まり。

2024年。4年目にして開幕投手に指名された。オープニングゲームで好投したものの敗戦投手に。その後も、苦しいマウンドが続き1勝3敗。4月20日に2軍に落とされた。自分を見つめ直し、コンディションを整えた。

5月2日に1軍マウンドに戻り、3年ぶりに完投勝利を挙げると快進撃が始まった。8月13日には完封勝利。そして8月20日に自己最多タイとなる9勝目を挙げた。苦労した末に勝負強さに磨きをかけた。

そして9月6日の千葉でのロッテ戦。初の二けたへ「あと1勝」のマウンド。アウェーの地とはいえ、高校時代には甲子園出場を決めた舞台。球場の特徴は知り抜いている。

それが風だ。変化球が大きく曲がることを利用して、ロッテ打線を封じていった。この日全体の半分以上となる51%でカーブやスライダーの変化球を投げた。

九回に1点を返され救援を仰いだが、8回3分の2を投げて、自身初の10勝目を手にした。

楽天はこれまで二けた勝利投手が8人いる。しかし、いずれも右腕だった。チームにとって初のサウスポーの二けた勝利投手となった。

「しっかり勝てたことがうれしい」と振り返った早川投手。チームは現在4位。3季ぶりのAクラス入りへ3位ロッテとのゲーム差を2.5に縮めた。

今季の残りは24試合。早川投手が4試合に先発する可能性が高い。ポストシーズン進出へ向けて「一戦必勝で頑張っていければと思います」と意気込んだ。

開幕投手と二けた勝利。名実ともに整った。早川投手が苦労の先に手にした二けた勝利、そして勝負強さ。逆転のAクラス入りへ、早川投手が命運を握っていることは間違いない。二けた勝利のサウスポーに今後も注目だ。

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