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死にぞこないの趣味の世界

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2023年11月の記事一覧

ごく普通の夫婦のズンドコ節

ごく普通の夫婦のズンドコ節

僕は若いときにフランスに留学していたせいか、ごく普通の日本人女性と、ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をした経験がありません。
それゆえ〈どこにでもいる夫婦〉に興味津々です。

平均的で典型的な夫婦生活って、こんな感じなのかしらと想像することを、ズンドコ節(海軍小唄)にしてみました。
まさに「想像上の共同体」です。

1番は初デート、2番は結婚決意、3番は新婚生活、4番は倦怠期、5番は終活です。

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〈ふるさと〉を想うフレンチ・ポップスの紹介 -Patricia Kaas, « Souvenir de l’Est »

〈ふるさと〉を想うフレンチ・ポップスの紹介 -Patricia Kaas, « Souvenir de l’Est »


〈ふるさと〉もうすぐ年末年始です。
帰省なさるかたも多いのでしょうね。
友人のひとりは秋田に、もうひとりは茨木に帰るはず。

〈ふるさと〉、つまり考え始めたところ。そして歩き始めたところ。
大事なのは、それがどこだったのかを自分で確認しておくことでありましょう。苦悩してゆきづまったときに、帰ることのできる場所ですから。

それが一冊の本ならば、それで良いのです。
その本が〈ふるさと〉になりま

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NHKBS『英雄たちの選択 江戸川乱歩』を観て 

NHKBS『英雄たちの選択 江戸川乱歩』を観て 

テレビのチャンネルをザッピングしていると、たまにだが、面白い番組にばったり出会う。
この偶然は、ユーチューブじゃあ、楽しめない。

江戸川乱歩と日本近現代史NHKBSで、江戸川乱歩(1894-1965)を扱っていた。
乱歩がヒットした背景には、第1次世界大戦後の、都市化が進み、大衆消費社会が発展し、生活様式が多様化した時代があったという話は、興味深かった。
たしかに都市大衆は、隣人が何をしているか

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夏の思い出に涙するフレンチ・ポップスの紹介 -Marc Lavoine, « On est passé à l’heure d’été »

夏の思い出に涙するフレンチ・ポップスの紹介 -Marc Lavoine, « On est passé à l’heure d’été »

おそらくほぼ誰も知らない。
だってGoogleで検索しても、誰も何も言っていない。
でも個人的に大好きな曲。

歌のつくりマルク・ラヴォワーヌの« On est passé à l’heure d’été »(夏時間)は、パリの夏の情景を歌った曲です。
たいしたメッセージはありません。ストーリーらしいストーリーもありません。
ただラヴォワーヌの、忘れ得ぬ夏の風物が歌われます。
それだけなのに、なぜ

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テレビドラマ『交渉人』(米倉涼子主演)を観て ―孤独のなかのおとな、雑踏のなかの子ども

テレビドラマ『交渉人』(米倉涼子主演)を観て ―孤独のなかのおとな、雑踏のなかの子ども


おまえなんか、いらない
アマゾンプライムがすすめてくれたので観てみる。
『交渉人』(2008年)。
第一回で心をわしづかみにされた。
米倉涼子演じる主人公が、まるで僕自身のように感じられたからである。

主人公は交渉人として特殊犯捜査係に配属されるが、同僚から邪険にされる。
上司から、わかってるんだろ、自分が歓迎されていないことぐらい、と怒鳴られ、
古株から、なんでそんなに交渉人のポストにこだわ

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