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ACT.97『光彩享受』

憩いの客車と公園と

 子連れの男性訪問客が公園に来ただけで、入山瀬の駅付近公園は静かである。
 自分はそうした場所で余生を暮らす保存車たちが大好きだから、むしろこの環境の方が良いし車両が地域に深く根ざしている感触を大きく得られて楽しい。
 マンガを客車内で読んでいる男子以外は客車の外に出て、公園に設置された遊具で遊んでいる。蒸気機関車の存在、客車の佇まいには目も暮れんというのか。持ち込んだボールで遊んだり、ブランコで楽しんだり。少年少女の声を聞きながら写真を撮影していく。
 遊びに来ていた子連れの人々は、バットとボールを手にして、小さいながらの野球を楽しんでいた。
「大谷選手がさ〜」
という話が聞こえ、少しだけ我が国に吹く大谷翔平旋風の一部を浴びる。少しづつ言葉も人も市民権を浴びているようだった。

 オハ35-441とD51-943は横並びになっている。
 客車と蒸気機関車が横列に並んでいるのは、折角の同じ鉄道車両なのに…として違和感を感じるのだが場所の問題でそうなっているのだろうか…
 しかし、並びとは言っても互いの姿はキッチリ収めようと思うと難しい。
 D51形は北海道で生涯を駆け抜け。オハ35形は東海圏の亀山で生涯を閉じ。日本の互い違いな場所で暮らした車両たちがこうして会するのは非常に面白い。
 日本一多くの数が製造された客車…と、日本一多くの数が製造された蒸気機関車。互いに昭和の激動の時代に生を受け、確実では無いにしても戦時期の製造や戦時期の活躍にて動乱の我が国にも接しているのであろう。
 そうした事を追想しながら撮影していると、互いに令和の今は平和に見えるのだろうか。
 戦争、自然災害、感染症。様々な時代を乗り越えた2つの車両は今何を語らんとするのであろう。

 ピンは少々雑になっているのをお許しで…
 オハ35形の方に関しては、D51形蒸気機関車と異なって屋外にそのまま放置されている。
 車内にもある程度の保護、自然からの防御で多少なりの強化はされているのだろうが、しかしなんとも文化遺産たるその功績には何か不釣り合いなモノを感じる。
 横のD51形のようにして、停車場のような設備があればこの客車にも多少は良いと思うのだが。
 この当時の客車…オハ35形の製造時期には、多少は鋼材を使用しているとはいえ一部に関してはまだ木材を多用している。
 そうした客車の防護、そして図書館としての地域密着を掲げ安定的な保存を目指していくのであるのならば、もう少し頑丈な防護の屋根などが切望される。果たして今後はどうなっていくのだろうか。

 比例して、D51形蒸気機関車の方。
 こちらに関しては強力な鉄製の上屋が架けられており、雨風に自然災害からの防御を講じている。
 写真を見返して思うところがあるのだが、写真で見かけた汐留・梅田駅のような荷物駅…貨物駅によくあるようなプラットホームの上屋を想起する。
 テンダー側からこうして撮影していると、蒸気を噴き上げて客車・貨物列車の連結を待っているようにも見える。
 それにしても、クロガネのよく磨かれた車体が際立つ。
 かつてはキャブの方(運転台)にもタラップが掛けられ、操縦席のような場所に入って機関士の目線が味わえたのだがそうした施策は実施されていないようだ。いつまでやっていたのだろう。

 公園を去る前に、2つの車両たちが並ぶ公園の大体の全景を。
 自分としてはこうした静かな公園蒸気の方がゆったりと保存環境を味わったり、そして余生に隠れた装備に様々なモノを体感できるのでコレからも継続していきたいところである。
 久しぶりに保存蒸気に接すると、自分が忘れていたような感覚を少しづつ戻せる。
 そう。自分はこうしたコンテンツを探しに全国を回っているのだと。

吉凶

 そのまま撮影しつつ、春の暖かい気候を感じつつ遊んでいる子連れの人たち、そして蒸気機関車を眺めにきた家族が来たので遠目にして眺めつつ、入山瀬の駅に戻る。
 入山瀬に戻ると昼休憩で閉鎖していた窓口がオープンしていた。折角なので申告する。
「すいません、下車印押してもらって良いですか?」
「はい、どこにしましょっか。」
「ん〜、どこでも。」
「…はいっ。」
欲しかった入山瀬の下車印をゲットした。
「お?結構西の方ばっか行ってたんだね?」
「は、はい(笑いながら)この前は広島に使ってたもので…」
「あはは、そっかそっか。」
身延線に乗車しているので、ここで折角の質問を打ち明ける。
「すいません。身延線って今どうなってますか?」
折角の話の糸口が開いたこの今。そして詰まっている乗客も居ない、この静かな駅では聞くのも今がチャンス。質問によると…

「えぇ〜っと、ちょっと待ってね…」
質問を聞いた駅員は、すかさずパソコンに向かった。ダイヤが記録され反映されているデータを探し、甲府から。身延から。ダイヤの記された画面と睨み合っていた。
「ん〜、774Cが…えぇ…っと、655Gでしょ…?」
列番は架空ですパソコンに向き合い、現在のダイヤグラムが反映されたパソコンとさながら格闘しているように唸る。
「だ、大丈夫ですよ…現状で良いので…」
流石にその格闘も長くなってきたので、自分も小さい合いの手のように入れたフォローで感謝のような。というか祈るような思いを伝える。
 そして、少しすると。
「ん〜とね、甲府からの折り返しになりそうなヤツがこっち来てます。そんでね、行けそうだよ。ちょっと先に行かなきゃ分からないだろうけど。」
「ありがとうございます!」
こうした場所に出ると、小さな愛情を感じられるというのか人との距離感、ラフな職人感が素晴らしく居心地の良さを引き出してくれる。
 予定通り、その先が見通せそうだ。再び駒を進めよう。

光彩享受

 10分ほど前になっただろう…として、自分は入山瀬のホームに向かった。
 再び富士方面ではなく、甲府方面、いよいよ『甲斐』の方向に向かって歩み出してゆく。
 身延線は、連載内でも記したようにして大半の列車が系統分離されており富士方面の列車は富士〜富士宮にて。甲府方面からは鰍沢口・身延で系統が切られている。しかし、日中。または時間帯によっては甲府と富士を直通で運転する普通列車があり、そうした列車に乗車すると長い長い富士の麓のローカル線の時間をスローモーションに存分に楽しめる。
 静岡からは特急/ふじかわ…での都市圏直通でスルーして向かう事も可能だが、出来る事であれば。時間があるのならば313系のボックスシートに身体を預けてゆっくり行きたいものだ。
 さて、そうした話のうちに列車がやってきた。
 JR東海のローカル線では何処でも据えられているお馴染みの放送。
「まもなく、列車がまいります。」
から始まる放送。
 自分の母親の実家、紀勢本線の駅にも搭載されているタイプなので何か実家のような感覚を得られる。少し複雑だけども。
 やってきた313系の普通電車、西富士宮行きは乗客の数もそこそこ多く、富士からの観光客層を乗せていた。
 停車後、何人かが駅で降車する。ボタン操作でお手のもの。すっかりこの地域には馴染んでいる。
 自分は乗車後、空いている座席の一角に着席し富士宮までの短い移動に乗っかる。
 車窓、敢えてD51形の方角を眺める。
「また行こっかなぁ…」
ぼんやり空気が抜けるような気持ちで車窓のから映る公園の図書館客車と蒸気機関車を見届けた。
 そういえば、この場所に訪問を決めたのも前回の身延線乗車で見えた事で知ったのだったっけ。いざ、甲斐の方角へ。

 一旦、富士宮で下車した。
 下車印の収集も兼ねて、改札外に向かう。富士宮では観光需要も多く、多くの乗客が下車して行った。当然、円安の影響などで来日が嵩んでいる外国人の観光客の姿もある。
 有人改札の方には長蛇の列が出来ていたので、先にトイレに行ってから出札した。しかし、この先の旅路。本格的な山梨行きでもっと多い外国人の観光客に飲まれる事になる…が、そんな事は全く考えもしていなかった。
 一旦、駅外に出て少しだけ空気を味わう。
 駅付近にコンビニがあったのだが、列車の時間を考慮すると行けず結局自分はそのままで再び甲斐への路に乗る事になる。
 コンビニに行くか悩んでいる時だ。
 歩道橋の方に、こんな看板を発見した。
「あ!この看板ってもしや…」
ある事を思い出した。
『静岡県 富士山世界遺産センター』
 である。そういえば入山瀬の客車を改装した図書館の方に立ち寄って、こんな話をしたのを思い出した。

※入山瀬の図書館に関しての話は前回連載を。非常に濃密な保存車タイムを過ごせたのであった。

「そういえば他に行く場所はないの?」
「そうですね、実は甲府方面に向かう列車が少ないものですから、できれば富士宮付近で何か暇潰せるものがあれば…」
「だったらね、富士宮でしょ?そこにね、なんだったかしら…富士世界遺産センター?ってのがあるのよ、行ってみない?」
「富士山の博物館ですか?」
「そうね、何だろう、確かそんな感じだったと思う。入るのは有料なんだけど、値段も安いからオススメよ。」
「あぁ〜、有料ですか…」
「えぇっと、調べるわね…」
そう言うと、司書の女性はスマートフォン端末を取り出し音声検索で『富士山世界遺産センター』に関しての情報を検索してくれた。
「そう、ここ。富士宮の方が近いのよ。」
「富士宮ですか…富士宮と西富士宮、どちらで降りるか悩んでいるんですけど、栄えているのは富士宮ですよね?」
「そうね、富士宮の方だと思う。西富士はね…そんなに何もないような。」
「ありがとうございます。時間に余裕が出来たら行ってみますね。」
時間に余裕が…の文言。そう。こうなれば完全に行かない。関西で身に付けた、いや、なんだろうか。言葉で自然に謙遜しつつ断っているとでも言おうか。
 結局、入山瀬で気になっている蒸気機関車の課題が完了したので、富士山世界遺産センターに関しては次回に回す事になった。司書の方、まずは一言、ごめんなさい。
「それと、お昼は食べた?」
こんな話もしてくれた。
「そうですね、富士の駅の方で…」
「富士はね、富士宮焼きそばって有名じゃない。確か富士宮焼きそばの屋台街もあったはずだから、かなり楽しいと思うわ。」
すいません。駅そばが昼食だったんです。麺を再び胃に入れるのは今回断念します。
 富士に行くのが目的で、今日の昼までにも東海道本線で折り返すならば自分はこの策を徹底的に考えたが、天候もこの時は燦々とした晴れ模様だったので身延線の復旧も近そうに思えた。
 そうした中であったので、これら富士関係の施設に関してはまた次回に回す事になったのだ。本当に行くのだろうか…?
 司書の女性が端末で開いてくれた画面の甲斐虚しく、自分の甲斐路への歩みを進める事にした。

甲斐路に乗って

 この構図だけでも、京都に帰った際には大きな土産になった。
 身延線沿線を舞台にしたテレビアニメ、ゆるキャン△…のキャラクター、各務原なでしこがこの場所、この駅舎をバックに自撮りをするアニメ公式のイラストが発表されたのであった。
「おまえぇぇ!!何撮ってんだよぉぉ!」
京都に戻って、友人に速攻羨望の言葉を浴びた瞬間は何の事かと若干思ったが、公式の不意な供給なら仕方ない。
 駅付近をウロウロ…しているのは正直怖さまであったので、駅舎の周辺を足の運動兼ねて散策しているような感覚まであった。
 全く駅から離れた思い出がない。
 少しだけ改札に入る前、券売機を叩く。
 身延線を静岡都市圏と繋ぎ、観光需要と地元の通勤・通学需要を担う特急列車・ふじかわの料金を観察したのだった。
 記す事は割愛するが、値段を観測して自分は少々驚いた。
「えぇ…身延まで特急に移動してもこんだけ…」
自分の少し手前に引いた感情はそのままに、再び改札に入って普通列車を待機する。
 系統分離されている富士宮〜鰍沢口までは正直な話、特急移動するよりしっかり本数を見据えて待機した方が良さそうだ。

※過去に身延線に乗車した際の写真です。今回は写真が富士・甲府以降撮影が本格的にありませんでした。

 甲府に向かうべく、改札に入って系統分離の壁を越える甲府行きの普通列車の到着を待った。
 今度の甲府行きにも、多くの観光客や登山客らしき乗客の姿があったのだが、何人かの乗客は身延・甲府まで乗り通すであろう乗客も混ざっていた。
 富士宮でドアが開き、観光需要の乗客が降車すると自分が空いた車内に腰掛ける。
 しかし、座席は既に埋まっている状態だったので身延線313系の定番、ボックスシート…ではなく横の小さなベンチ状のロングシートに着席した。
 しかし、この時ばかりは完全に熟睡…というのか暇潰しの文庫本を拡げて読み続け、そして時間が来たらもう寝ていた。
「おぉ、これが西富士宮駅…」
朧げな目付きで身延線静岡方のターミナルを捕捉し、旅の中再びの眠りに落ちた。

 不意に電源が入るようにして起きると、列車は既に聞き慣れない『甲斐』という旧国名を冠している駅に到達していた。
「いよいよ山梨かぁ…」
写真は不意に撮影した、というのか今回の目的の都道府県に到着した記念の1枚。
 小久保、ではなく国母、なんですね…
 この先に関しては大半の時間を睡眠前同様に文庫本に目を通して過ごした。
 車内は客層が変化し、通勤通学の帰宅客が乗車している。長い長い時間を跨いだ…というのか夕方の日が暮れている感覚を身体が刺激で知る瞬間である。
 前回の身延線乗車でも、鰍沢口か身延辺りまでは生活需要を多くありそうな客層が乗車していたのを覚えている。身延線がJR東海内で生活需要がある…と認知され、収入の一途を担っているというその言葉を肌で感じた瞬間であった。

バトンタッチ

 乗車した313系電車による身延線の旅路は、いよいよ佳境を迎えようとしていた。
 乗車していると、南甲府・善光寺…と駅を刻んでいく。通勤通学客も更に増えてきた。そして、中央本線に合流しつつあるタイミングでJR東海だけの駅、金手…という駅を迎える。中央本線に並走している環境にあるにも関わらず、身延線だけの駅としてJR東海が管理している駅だ。
 金手を経過すると、甲府まではあと少し。
「まもなく、甲府、甲府です。」
車内放送が最後の駅を告げる。富士から乗車している乗客にとっては、一入の思いを感じる放送だろう。
 乗客が荷物の準備をまとめ、ドアに向かう。
 ドアのボタンを操作して降車し、多くの人が甲府駅のホームに放たれた。夕方のラッシュアワーの始まる様子を目に焼き付ける。
 ホームに降り立つと、既に入線していた313系電車がアップを始めるように発車の時を待っていた。行き先表示がLEDである。横を通り過ぎて思ったが、この車両はワンマン編成ではなく車掌を乗せて走るツーマンの編成だった。どうやら夕方ラッシュの増発時間帯に被ったようである。
 自分にとっては、この列車が今回の旅路で言うJR東海のアンカーのような存在になる。ここから先、石和温泉で今回は宿泊するのだが石和温泉はJR東日本の中央本線の沿線となるのでJR東海の線路はここで終了してしまうのだ。
 いよいよ本格的に、甲信越の地域での旅が始まる。

 改めて。
 今回の山梨行き、身延線の乗車にて世話になった313系である。
 313系…と表記してしまえば、あまりにも数が多すぎてJR東海の電化区間では大半にその姿を観測する事になってしまう。
 が、今回乗車して世話になった313系は、3000番台に属する313系だ。
 平成11年に落成し誕生した313系であるが、その増備はあまりにも複雑怪奇かつ頭を悩ませるレベルだ。
 今回乗車した313系の3000番台は、平成18年に増備された『3次車』に属する車両である。
 パンタグラフは1両に対し、『くの字』を描くようなシングルアームパンタグラフを2基搭載しているのが見分けの特徴だ。編成記号は『V』である。
 車両に於ける客室スペースで特徴的なのは、車椅子スペース・車椅子トイレを設置しバリアフリーに貢献した事であろうか。2両編成を組成し、ワンマン運転に対応している。
 今回のような身延線。また、御殿場線でも活躍し、ローカル圏でのJR東海を支える頼もしい形式だ。

 夕方の帰宅ラッシュで解き放たれた乗客たちが大方捌けていったので、車両の停車するホームを撮影する。
 甲府駅には身延線と東京から松本方面に向かう中央本線が乗り入れているが、そのうち甲府駅の身延線ホームはJR東海の路線にも関わらず管轄で表記を統一する為かサイン類がJR東日本仕様になっており、路線カラーで『JR東海の路線』である事を示している。
 なので、少し側から見ればシュールに感じるがJRの会社内で駅を共用し、敷地内で設備を分け合っている状態になる。
 駅に到着した瞬間、東日本のサイン類に擬態した表示類が出迎えてくれると
「一気に関東に来たなぁ…」
と謎に到達までの時間を思うのだが、主とする会社によってここまでサイン類が異なるのかと感じるものである。
 それにしても、東日本の駅に乗り入れる名古屋と同じ顔の電車…というのはJR東海の路線範囲の底力を思い知らされるばかりだ。
 幾ら東日本調に仕立てられたとて、やって来る列車。サウンドなどはこの場所だけ完全に東海。
 甲府駅には個人的な感想として記すが、見えない壁があるように思う。

 ちなみに。
 身延線ホームから振り返ると、こうしてJR東日本の電車が入線し完全に甲信越の鉄道が目に入る。
 サイン類にも『長野』に『八王子』・『新宿』など、関東圏への足が少しだけ近くなる。
 中央本線は高尾で系統分離がされ、写真に映る211系電車『だけ』に乗車して向かう事の可能な最遠の駅は東京も間近な『高尾』になるのだが、ここから更に乗車し旅を継続するのであれば、東京行きも不可能ではない。
 サイン類の記録も兼ねて撮影した1枚だが、211系の出迎えによって本格的な山梨への到達を感じた。

取り返し

 山梨は、しばし『関東』に属するかそれとも『甲信越』かと議論になるが、自分の中では
「雰囲気だけ見れば関東」
と回答するかもしれない。
 実際、甲府駅などの駅前や駅の構内、そして使用されている駅の放送に立ち並ぶ建造物も、完全に関東に寄っているのだ。
 しかし、自分の中ではこの場所は長野にも近くそして、東京都市圏までは『交通が整備されているだけ』という考えであり、山梨は
「甲信越に属する都道府県」
ではないかと思ってしまう。
 まぁ〜さて。話は置いておきましょう。
 今回は時間無くして訪問できなかった『身延』に関する土産として、先ほども記したTVアニメ『ゆるキャン△』のグッズを購入した。
 山梨県を盛り上げる新しいコンテンツであり、作品の舞台である生活の路線は身延線である。
 実際にも作中のキャラクターたちが身延線で通学するシーンなどが描写されており、そして細かい投影にも感動してしまう。
 そもそも、『ゆるキャン△』とは…

 購入した土産を見ながら説明をしよう。
 ゆるキャン△…とは、まんがタイムきらら系列の漫画作品であり、あfろ先生の原作にてCOMIC FUZに連載されている。
 作品ジャンルは日常・ほのぼの・旅行・ギャグ・キャンプ…と多岐に入るのだが、実際には『アウトドア漫画』と日常が混ざった作品感であるように思う。自分が最初に見た感じでは
 作品としては、山梨県の身延地方を舞台にして女子高生のアウトドア、キャンプや日常生活を描写した…ものであるようだ。
 作中のイントロを引用すると

これは、ある冬の日の物語。
静岡から山梨に引っ越してきた女子高校生・なでしこは、“千円札の絵にもなっている富士山”を見るために自転車を走らせて本栖湖まで行ったものの、あいにく天気はくもり空。富士山も望めず、疲れ果てたなでしこはその場で眠りこけてしまう。目覚めてみるとすっかり夜。初めての場所で、帰り道もわからない。心細さに怯えるなでしこを救ったのは、1人キャンプ好きの女の子・リンだった。
冷えた身体を温めるために焚き火にあたる2人。
ぱちぱちと薪の爆ぜる音が、湖畔の静寂に沁み込んでいく。
焚き火を囲み、カレーめんをすすりながら会話するなでしことリン。
やがて2人が待ちに待った瞬間が訪れる。

「見えた……ふじさん……」

なでしことリン、2人の出会いから始まるアウトドア系ガールズストーリー。

※TVアニメ・ゆるキャン△第1期ストーリー欄より

 となっている。
 この作品は山梨飛び出し、全国に飛躍。そしてストーリーも各地を舞台にし、現在はTVアニメの第3期を放送している。作品内に水◯どうでしょうの要素が垣間見えるのもまた話題になった
 身延を語る新しい名物であり、時間が許せば行ってみたかったのだが石和温泉への時間と都合が付かず、断念した。
 そして身延といえば…

 みのぶまんじゅう。
 地域の郷土菓子のようなものであり、この菓子を無くして沿線の名物を語る事は出来ないだろう。
 今回は時間の都合で、甲府でまとめ買いするような状態になったが、身延はしっかりと時間が出来れば。いや、またゆるキャン△の原作を吟味してから向かおうと思う。
しっかしヘニャヘニャになっているのをお許しください

沁みる名産

 山梨県に上陸して、やはりこの料理は食したいものだろう。
 ほうとう、である。
 野菜と肉、魚などを味噌で煮込み、そしてその中には小麦粉を練って平打ちした麺が入っているのが特徴だ。
 今回は甲府駅のショッピングセンター内にあるレストランフロアで食した。
 値段は少し張ったが、野菜にキノコに山菜に、豚肉にギッシリ入った煮物は非常に美味かった。
 このレストランに差し掛かった段階で端末の充電がいよいよ切れ始め、遅くなりながらも充電に入る。モバイルバッテリーの出番だった。
 ほうとう、はレストランの席について20分程度待つと出てきた。待ち時間には暖かいお茶を飲んだが、このお茶もまた胃の中…内臓に沁み渡る温かい味だった。
 独特な食感の、ぜんまい・フキ・野蒜などと一緒に野菜と小麦粉の平打ち麺を掬い上げる。
 ずっしり伝わる重さが、具材の多さを物語っていた。
 自分の物の見方がそこまで良いわけではないのだが、油揚げも入っていたお陰か
『大鍋に入った味噌汁』
のような実感がなんとなく濃い。ホントにごめんなさい
 そして値段も1000円弱とソコソコはしたのだが、鍋の大きさ…1人前の巨大さに見合う量でかなりずっしりと胃の中に据わる。
 途中、掬って食べるうちに
「いつになったら終わるんだ…コレ…」
となんとなく思うくらいには鉄鍋の中に詰まっており、少食を貫いた細身には十分すぎる重さだった。もう少しだけ個人感想だが豚肉の量が欲しかった。
 無事に鉄鍋の中を空にし、会計を済ませる。
 夕食どき手前だったので全然待つ事もなくノンビリと浸れた。
 さて、この後は楽しみに楽しみにしていた石和温泉。いよいよ今回のメインが幕を開けようとしている。

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