マガジンのカバー画像

こんな文章を書いています

22
ぼくがとくべつ好きなこたちです 仮想のビートに乗せて どうかどうか
運営しているクリエイター

#自由詩

乱雑な輪郭

乱雑な輪郭

鳩は悲しんでいる。
癒えない夜の真中の隙間に、挟まって、留まってるあなたが邪魔で。尋問して絡まってく価値観。
巻貝の渦巻。鯨の目頭。伊勢エビの殻。鮪の叩き丼。重低音。望まれないまま暮らすクラスタ。
トビウオの世界一周旅行達成目前に巻き込まれた竜巻。その時死んだ最古の微生物が4年後最新のテクノロジーの結集により蘇る。
青函トンネルを彷徨い続ける白い魚の亡霊。
シンプソン砂漠から果てなくサラサラ飛んで

もっとみる
うとうと

うとうと

例えばミルフィーユのラビリンスにあなたがいたとして。ミルフィーユのラビリンスってなんだって話ですけどそれはその何層にも積み重なった幾何学的な?あの、そう模様の、迷路だって事が言いたかったんですけど、お菓子の壁でできてるって訳じゃなくてそういう事が言いたかったんですけど、はい。そこであなたが、突然目覚めて、わけも分からないまま連れてこられて目が覚めたら急に、なんだここ、ミルフィーユのラビリンスだ!っ

もっとみる
夜の田んぼ

夜の田んぼ

見つけちゃった見つけちゃった
そんな子供干してしまえ
枯らしちゃった枯らしちゃった
とどのつまりのして蹴った

板に乗ったあなたたちは次の次の遠い君に
苦し紛れ吐いて捨てたもう昔の宿り木に
風を切って放り捨てた夜の田んぼ気持ちいいね
ああだこうだ空に舞った赤と黒の僕の声

見届けてた見届けてた
生ぬるさと暑苦しさ
寝かしつけた寝かしつけた
廻る月の方

見つからないように息を殺して
扉を開けて閉め

もっとみる
カノン

カノン

雨 降り始めた夜の11時
曇りガラスを開けずに見た月は
僕に今残った全部の歴史を
今さら摘み直させるんだ
暗闇に飽き飽きした僕は外の声に
ただじっと耳をすまして聞いてみたんだ

神様がいた窓越しの大きな光は
地平線の彼方から伸びる銀河鉄道の線路を
大きな楕円の螺旋状に連ねていた

汽笛を鳴らして何処かへ 連れられて行く君を
追いかけずにただ僕はじっと寝転ぶ夜だ
昔 願った僕の幸福主義を 踏みにじる

もっとみる
見過ごしたんだ

見過ごしたんだ

池袋駅に止まって開いたドアをじっっと見つめて、ただ見つめて、動かないで、ただじっと見つめる。それが何を意味するでも、その先に待つ何があるでもない。ただその行為思考から、意味を引き剥がしてそれから完全なフラットになるんだ。いいかいそのまま、そのままにしておくんだ。

上板橋〜!上板橋〜!朧気な視界に何とも言えぬ浮遊感。再び産まれ落ちた現実は、生暖かいプラットホームに流れるサイボーグの鳴き声と少し効き

もっとみる
僕はこの町を待ってた

僕はこの町を待ってた

あれはある昼下がりの、夕方の日差し迫る、いい風の吹く頃の事でした。

いつものように崖を登って空を眺めていると、何処からか列車が通り過ぎてゆく音が聞こえてきました。

当然、周りに線路など無いし、空耳にしてはちょっと長いし鮮明に聴こえたので、これはこれは不思議に思って、ぼおっと、悪戯に時を浪費し黄昏ておりました。

時刻は午後5時過ぎ。

暫くすると夕焼け小焼けのチャイムがじわりと遠くから聞こえて

もっとみる
イカに蝕まれながら

イカに蝕まれながら

賞味期限切れの感動の名曲を思い出した夕方の車内はセピアで塗り尽くされた遺跡だった。

公衆便所で目を覚ました明け方の僕は、さっきまで気にしていたはずの彼女の在処を既に大海へ流してしまっていて

見知らぬ街は面影を再生するたびに姿形を変えて何処へとやらへ逃げていく。バイパスに面した生活がおもむろに人々の正気を蝕んでいくのが何故だか目を通して解るようになっていた。

失った正気を取り戻した僕は、再び公

もっとみる
アナログ執着

アナログ執着

チッ チッ チッ チッ
ブー ブー ブー チーン(繰り返されるアラーム)
午前 8時 00分
午前 8時 1分 白
午前 8時 2分 アメリカでは午後7時2分
午前 8時 3分 黒 見えないお空の彼方の雷雲
午前 8時 4分 白
午前 8時 5分 黒白黒
空 決して混じり合いはしない 執着執着
(アラームが止まる)

1.あれ、まだあの子今日は帰ってきてない

もっとみる
30分

30分

また繰り返してる 繰り返してる
30分ごとに私は休憩 僕は仕事を悲観して終生
頭の中の空白を探して30分 30分の労働
どこからか どこからだ
どこからか砂が流れ込む
砂が流れ込むどこかを追いかけ30分 30分
空白は 最早空白ではない30分 30分

(間奏)

REFLECTS→それでいて、胎道

僕 はい、じゃはじめまーす。

パチンと手を叩くと同時に目を閉じる。暫くして目を開けると驚いた表情。

状況を飲み込むと、私は話し始める。

私   (観客席に向かって写真を撮り、床に置く)どうもこんにちは、従順なわんコロのような可愛さと健気さ。私です。これから皆に私、のことについて話していきたいんですけど、んーまずね、私には弟がいます。年の離れた弟がいます。弟は自由奔放な性格で、好きなことを

もっとみる
汚れちまった悲しみは放置

汚れちまった悲しみは放置

うんと両腕を天に伸ばして、腰を落として、身体をくの字に押し曲げる。
ゆっくりと時間をかけて、全身がはち切れんばかりの痛みと心地良さを抱えた限界の体勢。
ここでキープ。ずっとキープ。
風が止みやがて虚無が訪れるまで、
ずっとキープ。
新宿駅、山手線14.15番線の間。
ずっとキープ。
じわじわと痛みに比べ心地良さの比率が増していく。風と日差しが肉体を浄化させていく。
きょうは日曜。

波

圧迫されています。
ひどく、ひどく圧迫されています。
身も心ももう押しつぶされて消えてしまいそうです。
圧迫されています。
ひどく、ひどく頭を蝕むように、じわじわと脳細胞を圧迫していきます。

聞き飽きました。最初は良かったです。
ですがもう聞き飽きました。
機械音声の敬語ほど気持ちの悪いものはありません。

ミームと化したこの情景も、そろそろみんな聞き飽きた頃じゃないか。
気持ちの悪い。気持ちの

もっとみる
この町は僕を知ってる

この町は僕を知ってる

仄暗い、じっと仄暗い、
月ももう嫌になる季節です。
忙しない、ちと忙しない、
じぃっとしてればいいものを。
どっちかにしておくれよ町よ、
重い静寂に滲み出る生活。
そこがダメなんだよこの町は。
もっと、そうさ、このまま、もっと、
沈んでおくれ、いっそ底まで。
チカチカ信号機もご苦労様々、お前のことなんかもう今じゃ誰も見ちゃいないよ。
あれまどうしちまったんだよお前、頭は動いちゃいないが手と足はまだ

もっとみる
僕はこの町を知ってた

僕はこの町を知ってた

(2019-4/30)

赤と青と黒。淡いコントラストが町の空を覆う。じっと、見とれていた。ただじっと見とれながら歩いていたこの町は、気づいたら蒼。蒼の世界。朝が襲来する。

いつも居るはずなのに、懐かしい、この風景。

この町は、ただいまを言う町。
駅からの帰路をただ毎日毎日繰り返す。
ただ、それだけの町。
午前4時、眠れない僕は、ふと何気なしに外へ出てみた。何ヶ月ぶりだろうか。あの道以外のこの

もっとみる