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エッセイ

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#体験談

カフェ・ド・クリエで野生の犬になる

カフェ・ド・クリエで野生の犬になる

隠れ家的店のマスターほどチェーン店によく行く、という法則をご存知だろうか。
ここでいう隠れ家的な店、というのは”隠れ家風♪”とか”レトロな雰囲気”とか自分で言わないレベルの、いわゆるシブイ店である。
チェーン店ダメ!ゼッタイ!だった20代のころ、その事実は私を奈落の底へと落とし込んだ。

ありし日の深夜1時すぎ、わたしは大好きなバーの扉を開けた。
このお店は行くたびに好き!!と虚空に叫びたくな

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30女のバイト遍歴3 - きらめく星空の下、駐車場の隅で老婆と魚を焼く肉屋の15才

30女のバイト遍歴3 - きらめく星空の下、駐車場の隅で老婆と魚を焼く肉屋の15才

マクドナルドをクビになり、ぷらぷら無職高校生の私はふと近所のスーパーにアルバイト募集!の貼り紙を見つけた。
聞いてみると、鮮魚、精肉、品出しからレジまで全部門で募集をしているという。
レジは忙しそうだし、鮮魚は声張り上げなきゃいけないし、なんとなくいつもボーッとしている(ようにみえる)精肉部門でバイトを始めることにした。
夕方からの私の仕事はというと、
17時にパートさんが全員帰ってしまうので、そ

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30女のバイト遍歴2 - 小顔ラブロマンスにB’zでソウルかますマクドナルド

30女のバイト遍歴2 - 小顔ラブロマンスにB’zでソウルかますマクドナルド

もちのろんのマクドナルドである。
日本国民の3パーセントくらいは、バイト処女をマクドナルドに奪われているのではないかと思う。しかし残念ながらわたしにとっては二人目の男である。

近所のしなびたダイエーの1Fに、マクドナルドが出来た日のことはよく覚えている。
わたしが7歳くらいのときだったと思う。
押せ押せの大行列で、
わたしの母も人生初のマクドナルドに大興奮で私たち姉弟の手をひいていた。

ア、ア

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春の昼下がりはコインランドリーにいこうよ

春の昼下がりはコインランドリーにいこうよ

カナダに住んでいたころ、毎週日曜日はわたしのコインランドリーDAYであった。
というと聞こえはいいが、要はなけなしの数ドル片手に一週間たまりに溜まったボロきれを洗濯機が「ああっもうそれ以上はだめぇ、ああっ」と悶え苦しむほどパンパンに詰め込みガンガンに洗いまくる日である。
そんなに詰め込んだらちゃんと洗えないヨ?  と柔軟剤使うタイプの女に髪の毛サラッされそうだがとにかく水を通して熱風をあてればな

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30女のバイト遍歴 1  - 13歳、チンピラのチラシ屋でバイトしてた時のはなし。

30女のバイト遍歴 1  - 13歳、チンピラのチラシ屋でバイトしてた時のはなし。

いわゆる、なんとなしに不安っていうものが、30になってから初めてにょきにょきとその姿を現してきたような気がする。
私はいままで悩みという悩みもなく、とにかくその場その場の欲求に従って生きてきたのだけど、ふと振り返ってみてしっちゃかめっちゃかな自分の履歴書をみて愕然とした。

肉屋、バーテンダー、ペンキ屋、居酒屋の調理人、事務員、AD、CADオペ、改札機の保守員、テレビの美術さん、遺跡発掘、イタリア

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冬の京都で露出狂に出会ったはなし。

冬の京都で露出狂に出会ったはなし。

当時京都でバーテンダーをしていた私は、やっともらった元旦のお休みにただ部屋でゴロゴロ、友達は全員帰省してしまっており、ひとりせんべい布団に横たわる私はひしひしとこみ上げる孤独感に押しつぶされそうでした。
そんな私に、
ふと急に”ベイブを見ながらからあげクンを食べたい”という衝動が湧き上がりました。
深夜0時過ぎ―何枚もいろんなものを重ね着し、家を出ました。


大晦日の大雪ですこし残った雪が溶けて

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