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雪が教えてくれた記憶から。

雪が降り始めた
さらさらと風に乗って遊んでいるような
コロコロと笑い声が聞こえてくるような
そんな粉雪

耳あてと手袋
濡れても丈夫なゴアテックスのダウン
いつもより着込んだ支度する

さて
靴はどうしよう

ここ数年は暖冬が多かったので
雪用のブーツは新調していなかった

唯一あるのは
10年前にロンドンでかった
UGGのムートンブーツ

だいぶボロだ

スウェードは白っぽくなり
かかとのソールも擦れている

そんなブーツとは裏腹に
当時の記憶は鮮やかに蘇る

賑やかな街並みに
スタイルのいい英国人

新しいプロダクトを見つけるために
4つの展示会を梯子しながら、
SUCK UKという取引先の旗艦店を目指した

WATERLOO駅から歩いて少しのOXOタワー
横浜の赤レンガ倉庫のような感じの
とても居心地のいい場所

扉を開けると
気さくに話しかけてくれ
「Do you wanna coffee?」
とコーヒーを淹れてくれるその姿に
ポっとしてしまったのを覚えている

ユニークなデザインの商品に囲まれ
たわいもない話をしているスタッフを見て
日本とは違うゆる~い感じが新鮮で魅力的だった

そしてまた
自分の接客スタイルである
『親近感のあるフレンドリーさ』に
間違いはないのかもしれないと
自信を持たせてくれた

そんなふうに、
古いブーツを手に取りながら
古い記憶を呼び起こしていた

我に返り
バス停に向かう

小さな雪がスカートに一瞬止まり
ふわっと空中に飛び出す

積もるほどではない雪と遊びながら
バスを待った

思いふけっていたせいで
スマホを開くの忘れ
パスモが上手く起動しない

「すいませんっ」
と焦りながらピッとして
急いで着席

かさばるダウンと
折り畳み傘を
なるべく早く
なるべくコンパクトに押さえ
バスは出発した

途中でLINEが鳴り
一気に現実に戻される

「洗剤の名前をおしえて」
と、日用品の買い物をお願いしていた夫から

何度かのやり取りをしているうちに
バスは進み
まもなく目的地

本が読めなかったな

とちょっと残念な気持ちになり
とりあえずリュックに本をしまった

バス停を降りると
「リュックがあいてますよ」
と声をかけらる

ハッと思いリュックを下す前に
「閉めておきますね♡」
とその女性はさっと閉めて行ってしまった

恥ずかしい思いと
有難い思い

そして、
世の中は回っていると実感した

つい先日
逆のことをやったことを思い出し
あのときリュックを閉めたことが
まわりまわって
私のリュックを閉めてくれることに
つながったんだと

雪が大きくなってきた
窓からの風景が雪景色に変わっていく

つつじが雪の帽子をかぶり
大粒の雪が降り続く

外を歩く人は
傘をギュッと持って
下を向いている


ふと今日のランチは
パスタにしようと思った

いつも並んでいるパスタ屋さん
いつもは諦めているけど
今日なら入れるかも

そんな予感があたり
お店には並ばずに入れた

ひとりでコーヒーを飲み
パスタを味わう

活気のあるキッチンと
賑やかな会話

だんだんと体が温まり
ほんのり汗をかく

外の寒さと店内の温もり
そのギャップに有難さを感じた
ほんの30分だったけど

人は温かいと幸せになるのかも

抱きしめられる温もり
ほんのり温かい室内
明るい照明と温かい食事

そんな「あたたかさ」に
ほっと落ちつくのかもしれない

温かい時間

ほんの一瞬でも
心を温めてくれる


雪を纏う街
白い色が全てを覆い隠すよう
今日は嫌なことを忘れて
明日からのことを思い描こう

過去の思い出に頼るのをやめて
未来を創造することは
時に残酷なことかもしれない

それでも
その道を模索し這って出ても進めば
立ち上がった時の空が透き通っている

雪に包まれ
生まれ変われば
新しい世界がはじまる







いつも最後までお読みいただき、
本当にありがとうございます。

本日は大雪のため16時にて
閉店させていただきました。
どうか足元にお気をつけて
ご帰宅くださいませ。

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いただけると光栄でございます。

いつまでも幸せな日が続きますように。



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