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散人の作物

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2022年12月の記事一覧

“君”と呼びか掛けられし僕から君へ

“君”と呼びか掛けられし僕から君へ

言葉を弄して僕は一体何を語るというのか。或いは山水画のような壮大な景色を、或いは浮世絵のような耽美なる人間を、或いは風景画のように緻密な光を、そして或いはシュルレアリスムのような私という現象を。

美しい物語を読んでいる訳では僕は決してないのだ。僕は一貫して、探しているものがある。荒野という現世に一人投げださえれてしまったあの日から。僕は一つ、ただ美しい言葉を探している。それはもっというならば僕を

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短編小説『終わりなき「終わりなき日常」』

短編小説『終わりなき「終わりなき日常」』

崩壊のその予兆は決して実現せざるものなり、と横山博和は既に知っていた。だが、それでもいつかは自分を含めた世界が壊滅するという事を今や遅しと待ち望んではいる。

彼は、二十三歳の彼は思春期をとうの昔に脱してはいるのにも関わらず終焉のその時を、全てが原点に戻るその地点を、まるで備えるかの様に粛々と日々を余生の様に送っているのだ。だが実態、正しく居ても居なくても同様な存在として日常のある地点にいる。

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