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「世界漂浪の記」 羽生隆 101選

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50年遅れの同じ日付で毎日投稿されていた羽生隆さんの旅行記「世界世界漂浪の記」の中から、何度も読み返したい特に印象深い投稿を集めました。
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2023年4月の記事一覧

❨580❩1973.4.2.月.晴/安い旅をする事は大変な事である・バランキーヤについて/バランキーヤ:コロンビア(Barranquilla:Columbia)

❨580❩1973.4.2.月.晴/安い旅をする事は大変な事である・バランキーヤについて/バランキーヤ:コロンビア(Barranquilla:Columbia)

今朝、2つ目の港へ行く。
船が一つ10日にあるそうだが、それまでとても待つ気にもならないので、飛行機の切符を買った (112ドル)。

これまでの旅では、日本→米国を除いて最も高い旅になってしまった。
安城から金を送ってもらったおかげで出来る事だ。

この切符を買う為に今日は、船をはじめ、6つくらいのエージェンシーを聞いて歩き、更に安く行ける(ジャマイカ・ドミニカへ)方法がないかやってみたが、この

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❨581❩1973.4.3.火.晴/ヤラレタ!悪人面で人はだませないが、善人面が出来る奴程憎いものはない/バランキージャ:コロンビア(Barranquilla:Columbia)

❨581❩1973.4.3.火.晴/ヤラレタ!悪人面で人はだませないが、善人面が出来る奴程憎いものはない/バランキージャ:コロンビア(Barranquilla:Columbia)

ヤラレタ!チクショウ!!
考えた末、昨日ドミニカ行きの飛行機の切符を買い、今日乗る予定だった。

ひょんな事で知り会った男に、今夜ドミニカ行きの船が60ドルであるが、よかったら乗れと言われた。
空の方は、112ドル。キャンセル料を取られても40ドルは浮くと思い、早速キャンセルに 走った。

それからその男と一度、船長だという男の家へ行き、乗船の時間になるまでそこで休んだ。そこで、船賃60ドルとは別

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❨585❩1973.4.7.土.晴/トカゲと人間はだいたい似ている/ドミニカ共和国

❨585❩1973.4.7.土.晴/トカゲと人間はだいたい似ている/ドミニカ共和国

16~17km、荷を背負って歩いた。
左肩にしこりが残った。脚は何ともない。
サンタ・ドミンゴまで歩いて行くつもりだ。

所々、ヤシの木陰で休みながら、夕方五時まで歩いた。ずっと海に沿って公園があり、その散歩道を通った。

昼、バナナ3本・パン2コ・ジュース2本。
夕、パン(バター付)3コ・ジュース2本。
65¢の食費に上がった。

夕暮れの海を見て、一人しゃべった。
海を見ているといつも、故郷の

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❨600❩1973.4.22.日.晴/俺が劣等感を持っているのはなに故か/サント・ドミンゴ:ドミニカ共和国

❨600❩1973.4.22.日.晴/俺が劣等感を持っているのはなに故か/サント・ドミンゴ:ドミニカ共和国

俺は自分で、頭が悪い、鈍感であると思っている。そしてそれについて、いささか劣等感を持っている。

勿し今、俺は、その事実がなに故かという事を知った。

いつも、頭が悪い、鈍感であると思っていながら、それを打ち破ろうと努力しなかったからだ。
いくら才能がない人間でも、いや、あればこそ、なおさら努力、いかんによって、どこまで進歩発展するかも知れないのだ。

人間の能力は、三分が天性、あとの七分は、その

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