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短編小説

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1〜2分で読める短編小説集です。
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#仕事

3日目:1輪の向日葵と飲みかけのグラス/3日小説①

3日目:1輪の向日葵と飲みかけのグラス/3日小説①

~3日目:1輪の向日葵が見守る時間~

ジャケットを片手にする人
結んでいたネクタイをはずす人
綺麗にまとめていた髪留めをゆるめる人

街中には1週間の終わりを告げる合図をする光景がひろがっていた。
それは同時に私の時間が始まる合図だった。

いつもと違うのは、
商店街で買った向日葵がカウンターにあること。
少ししおれているような、でも綺麗に咲く向日葵。

明日には廃棄されるようなそんな花だったけ

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2日目:真夏のジャケットと着信音/3日小説

2日目:真夏のジャケットと着信音/3日小説

~2日目:真夏のジャケットを片手に~

朝から蝉の声が元気だ。
7日という使命をわかっているからだろうか?
それとも地上に出たら鳴き続けるとプログラミングでもされてるのだろうか

そんなことを頭に浮かべながら、
ジャケットを腕にかけ私は道を歩いた。

最高気温40度。
湯船の温度に飛び込むなんて正気の沙汰ではない。
ましてやスーツのジャケットなんてなおさらだ。

では着なければいい話なんだけれども

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1日目:満員電車の窓にうつる未来/3日小説

1日目:満員電車の窓にうつる未来/3日小説

~プロローグ~

知ってますか?
世の中は不平等にできており、実に皮肉めいていることを。

気づいていますか?
ちゃんとしている気になっているだけで歯車の一部になっていることを。

選択していることを忘れてはいませんか?
今この瞬間の生活を選んだのは自分であるということを。

分かっているって?
何を言い出すんだとでも思いましたか?
何らおかしいことは言っていません。
事実を述べているだけなのです

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