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無免許講師が往く、ドラム講義⑨<続・基礎練習の考え方編>


前回の補足。主宰の高校時代の基礎練メニューを、抜粋でお送りしました。主に室内楽向けに最適化された練習方法でしたので、これを雛型として様々なジャンル向けに応用することもできそうです。例えばジャズ研向けには、16分のアクセント移動を3連符や6連符に置き換えても面白いかもしれませんし、音階楽器の方ならアルペジオやスケール練習と組み合わせても良さげ。

ツーバスを使ったフィジカルな音楽向けの練習法としては、例えばタイコとバスドラを織り交ぜた中抜き練習。〇部分でタム回し、×部分でバスドラを左右交互に踏んでみるとリニアフレーズの練習にもなって一石二鳥ですよ。主宰は大の基礎練嫌いでしたのでいかに「実践レベルに落とし込めるか」を常に念頭に置き、練習項目を厳選していました。

普段使いしないなら、いっそ練習メニューから除外。

大袈裟に聞こえるかもしれませんが、そのくらい割り切って考えてました。あくまで「バロメーター」として基礎練を位置付けていたこともあり、項目は少なければ少ないほど良かった。毎回同じ物差しで測るので、何が出来て何が足りていないのか一目でわかる。時間配分を先に決めてしまうことで、練習にメリハリを付け、自然と集中できる状態に自分を持っていく。

むしろ重きを置いていたのは「いかに横展開できるか」という点で、少ない練習メニューでも工夫次第でいろんなフレージングに応用が可能であることに気付けたのが大きかった。特にジャズ研に入ってから一気に実を結んだ感がありました。部活としてではなく、サークル活動としてよりマイペースに音楽できたことも、大きな要因の一つだったのかもわかりません。

例えば一般的な「16分アクセント移動」の練習は、文字通り16分音符の4つ割りで行うものです。しかしこれは何も不文律が存在しているわけではなく例えば5つ割りにしたり7つ割りにすれば「アクセント移動+拍や小節を跨ぐポリリズム練習」というハイブリッドなメニューに姿かたちが変わります。これが主宰の思う、限りなく実践レベルを意識した「横展開」。

「第三者の目」を意識して練習すると、グンと効率は上がります。

どこかの回でも触れましたが、音楽は「自分との対話」という側面が強い故自然と1対1の場面が増えがち。どんどん自分の世界に入ってっちゃうんですよね。勿論悪いことばかりでもありませんが「周りにはどう映っているか」という視点を忘れないことも非常に大切だと思います、無論自戒も込めて。お互いに指摘し合う基礎練習のフォーマットを確立させたのもそれが理由。

正解/不正解はとりあえず横に置いて、僕はこう思った、私にはこう見えたと言葉にして伝える。なるべく具体的に。モノで例えられなければ、色とか温度湿度とか。批判ではなく提案型だと喧嘩にならなくて良いかもですね。こうしてみると良いんじゃない?こういうのもアリじゃない?マウントではなく、気付きや発見を共有するイメージで。

映像や音源として記録し自分の演奏を聞き直してみる。アリだと思います。

ジャズは一回性の音楽です。自分の中から、思わぬフレーズが思わぬ瞬間に飛び出したりする。大学時代、自分の演奏を観返してはトチったフレーズを再構築するなんてことを割と日常的にやってました。良い演奏だったなあ、なんて思って録音を聞き直し愕然とすることもしばしば。先輩後輩問わず、感想を聞いて回るのはなかなか勇気が要りますが非常に学びも多かった。

思ってもみない方向から思ってもみないことを言われたりするので、最初は滅茶苦茶傷ついたのですけど。部活でバリバリやっていた頃を思えば、相当当たりはソフトなもので一触即発みたいなことには全くならなかったです。コロナ禍の影響で、人と音楽することが難しくなった昨今。「第三者の目」をより近くに感じられる良い方法はないものかと思い巡らせています。

さて。次回は記念すべき(?)第10回目になりますが、テーマが決まらない。


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