マガジンのカバー画像

空想日記

389
あなたの知る私ではない『誰か』から届くメッセージ。日記のようで、どうやら公開して欲しいみたいだったのでここで。ちっぽけな世界のちっぽけな私のここから、私の元に届く誰かからの日記。…
運営しているクリエイター

#写真

#3.天国ってきっと、こんな場所だ。

#3.天国ってきっと、こんな場所だ。

日記を始めてから、外への意識がだいぶ増えたように思う。
なんとなく歩いていたいつもの道端に、知らない花が咲いていることとか、ふと見上げた時の空の豊かな表情だとか、お隣さんの夕飯の献立とか、今まで気づかなかったこと、見てもすぐに忘れていたことを、
面白い!ようく覚えておこう!
そんな風に思えるようになった。
変わり映えのしない退屈な日常に、こんなにも小さな感動や出会い、発見が隠れていたなんて、嬉しい

もっとみる
#9.本日の天気 はれ時々、花

#9.本日の天気 はれ時々、花

旅に出る時、準備はどれくらいする?

旅先で何があっても困らないように、あれもこれもきちんと小分けにして持って行く?

それとも、着の身着のまま、最低限の荷物だけ持ってふらりと遠くまで行く?

答えは、どちらも魅力的で選べない。
である。

前者は、目的地や道中に思いを馳せ、荷物を詰める度に夢を詰めて、わくわくと胸を弾ませながら、その日を楽しみに過ごすことができる。

後者は、思い立った時にふら、

もっとみる
#12.永遠に彼の中で眠り続ける

#12.永遠に彼の中で眠り続ける

地下から発掘された巨大化石の正体は、未だ解明されていない。

とにかく巨大で、哺乳類と鳥類、さらには魚類の特徴まで備えているらしい。

なんでも、未知の生物らしく、古代に絶滅した新種の生き物らしい。

(絶滅した新種の生き物ってどう意味だろうか。)

本当に竜だったらどうしよう。

名前を公募で決めるらしく、世界中から集めているらしい。

こう言うのって普通、発見者が決めるものじゃなかったっけか?

もっとみる
#23.ポップ山脈

#23.ポップ山脈

旅先だと生活リズムが整う気がする。
朝から予定を入れるのでいつもより早起きをするし、日中たくさん活動するので夜も早くに眠れる。
いつもならつい夜更かししてしまうけれど、昨日も布団に入った瞬間に眠ってしまった。
.
.
.
まだ日が昇りきらない早朝に起きだし、バルコニーへと向かう。
すこし肌寒いけれどすっきりと爽やかな朝の風にあたり目を覚ます。
日の出に照らされたポップ山脈は、カラフルを超えて神々し

もっとみる
#27.ぱちぱち、ぱちん

#27.ぱちぱち、ぱちん

宅配の荷物を受け取ったら、その瞬間爪が割れた。
当たりどころが悪かったようで、あまりにも華麗にぱきっと行った。
痛くはなかった。
乾いた音が耳に残った。

仕方がないので爪を切る。
両手の爪を短く揃える。
爪切りで短く揃える。

ぱちん、ぱちん、ぱちん。

小気味良いリズムで、ぱちぱち、ぱちん。

あれ?ゴミ箱の上で切っていたはずなのに、切った爪は何故だかベルトコンベアにのって、運ばれていく。

もっとみる
#28.光さすように

#28.光さすように

地下に眠る絶滅した古代生命体の化石に名前がついたとニュースで報じられていた。
どの時代を生きたのか、現代の生命体のどれと近しい種なのかはいまだ分かっていないそうだ。
どこの誰かもわからないのに先に名前がつくのか、とも思ったけれど、便宜上名前があった方が取り扱いやすいのだろう。なんて想像をする。
彼の名前は「ルークス」古い文明の言葉で
“光さす”
という意味だそうだ。
謎めいた過去の歴史に“光さす”

もっとみる
#30.ひとりで帰ろう

#30.ひとりで帰ろう

風邪をひいた。朝からなんとなく調子が悪いような、身体が重たいような、底冷えするような感じがしていたが、低血圧と寒さのせいと考え、とりあえず白湯をのんでモコモコ着込んだ。
昼ごろ、どんなに暖かい格好をしても一向に寒気がましにならないどころか、頭痛までしてくる始末だったので抵抗やむなく、体温を測ると中々な高熱が記されていた。
熱を出すて寝込むなんていつぶりだろうか。
もともと、そんなに身体が強い訳でも

もっとみる
#50.早起きをしたあさ

#50.早起きをしたあさ

あさ、いつもより早く起きたので、近所の公園まで散歩をしに行った。
秋と冬の間の、カラッと晴れた気持ちの良いあさだった。
考え事をする時、歩いたほうがよく脳が働くらしい。今の仕事で悩んでいることをひたすらに考える。どうすれば問題が解決するのか、どうすればより良くなるのか。
考えに考えながら歩いていたら、近所のつもやが結構なところまで歩いてきてしまった。

ふと、どこかから焼きたてのパンのいい匂いがす

もっとみる
#52.記憶の香水

#52.記憶の香水

“メモワール・ド・パルファム”
この店を見つけたのは偶然だった。

記憶の香り

そんなような意味合いらしい。

そう、ここは記憶を香りとして再現してくれる香水の店だった。

落ち着いた雰囲気の、少し薄暗い、けれども怪しくはなく洒落た装いの店は、香水店のイメージとは程遠くさまざまな匂いで目が回るようなことはなかった。

記憶の香水はそのまま、その人にとって思い出深い記憶の匂いを再現してくれるそうな

もっとみる
#53.至る所に冬

#53.至る所に冬

あさ、散歩しに公園まで行ったら、足元から

ざくり

と音がした。

霜だ。霜が降ってる。

ざくざくざく

小君良いリズムを奏でる霜の降りた公園を大股で歩き回る。
霜が降りていると踏みしめたくなるのはどうしてだろう。

ひる、太陽が出ているのにあんまり寒いから、ヒーターをつけた。
ホットコーヒーを入れたマグをもって、ヒーターの前に座り込む。特等席である。
窓から見えた枯れ木の葉が、一枚落ちてひら

もっとみる
今日も空は青い

今日も空は青い

妙な機械を見つけた。

道端に、落っこちていたそれは、タイプライターのようで少し違う、まあようはタイプライターみたいなモノだった。

道に落ちてるものを拾うなんて、と思うかもしれないけれど、まだまだ使えそうなそれが、異質なまでに存在感を放ってこちらを見てくるのだから仕方ない。
あちこち錆び付いてガタガタギシギシと呻き声を上げているので、綺麗に吹き上げて油をさした。ネジがおかしくなっている所は締め直

もっとみる
ある少女の話。

ある少女の話。

朝起きて、ポストを見たら、差し出し人不明の手紙が届いていた。普段ならそんなもの中身も見ずに捨ててしまうだろうに、なんとなく今日は、開けた方が良い気がして、中を確かめる事にした。
A4サイズの紙ペラ一枚、そこには、手紙というよりは誰かの日記のような内容が書かれていた。あきらかにそれは、誰か人に宛てたものではかったのだけれど、どうしてか読み進めた方がいい気がしてそして、あっという間に読みきってしまった

もっとみる
ある掃除夫の話。

ある掃除夫の話。

星の降る夜なんて来なければいいのに、と、私は思う。
私はある星の掃除夫だ。この星は毎日沢山の星が降ってくるから、毎日ヘトヘトになるまで掃除をしなければ追いつかない。だので私のようなものが掃除夫となって散らばる星屑を回収する。トクベツな吸い取り機という物を背負って、長いホースを捌きながら地面に落ちた星屑を吸い集まる。
ジャリ、
と、足元で踏んでしまった星の欠片が音を立てて砕けた。
あぁ、ただでさえ面

もっとみる
ある学生の話。

ある学生の話。

学校の廊下、掲示板。何でもない校内行事のお知らせだとか、健康だよりとか、図書委員のオススメ図書だとかの間に、一枚、目を引くような白い紙。
コピー用紙だろうけど、一枚、貼ってあった。

なんでだろ。普段ならきっと気付かなかった。
たまたま、気づいたのが今日で、今で、この時間だっただけなのだろう。

それは、誰かの日記だった。
最初、日記だと気づいた時は見ないほうが良いのかとも思ったけれど、こんなとこ

もっとみる