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原典を読みながら環境・農業問題について考えてみる

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聖書や日本書紀、平家物語などを読みながら、「日本」について外国人に説明するにはどうしたらいいかとか、農村部の論理と都会人の論理がどう違うかと言ったことについてのヒントを考えていま…
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#国富論

これからは「ミャオミャオ時代」

これからは「ミャオミャオ時代」


転換後の時代をどう呼ぶか?

今は時代の転換点のようです。新しい資本主義だとか、ポスト資本主義だとか、人によって言い方は違いますが、何か「今まで」の社会のあり方が変わり、「これから」のあり方が産まれてくる…
おそらく、そうなのでしょう。
ただ、それを「新しい」とか「ポスト」とかと言うのは、「今まででないもの」と言っているだけの事です。
「これからの時代」の特徴を捉えて、「平安時代」とか「鎌倉時代

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野菜の価格と労働価値説他

野菜の価格と労働価値説他

1990年代、日本は中東和平多国間協議環境問題分科会議長国でした。

当時、よく環境調査に中東に行きました。また、ソビエト連邦が1991年に崩壊したのを受けて、旧ソ連東欧圏の復興支援の一環として環境関係でロシアやハンガリーに行ったこともあります。

当時、企業経営支援と言う事で日本から中小企業経営者をロシアに派遣する事業もあったようです。

と言ってもロシア・東欧側はそれまでは「社会主義」なので「

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「資本主義」は終わるのか?

「資本主義」は終わるのか?

人類の歴史の中でいろいろな「体制」が登場してはやがてなくなっていきました。

だから、「資本主義」と言う体制もいつかはなくなるはずだ・・・

これは真実だと言えるでしょうか?

例えば、あんまりなくなっていない「体制」と言うものがあります。

例えば、「法治国家」とか「貨幣経済」と言う「体制」がそうです。

「法律」ってものがどういう風に登場してきたか?について、旧約聖書に面白い事が書かれています

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「なぜ勉強をしなければならないか」への答えは「人間らしく生きるため」他

「なぜ勉強をしなければならないか」への答えは「人間らしく生きるため」他

子どもの頃、よく、「ひょっこりひょうたん島」を見ていました。

あの中に「勉強なさい」と言う歌が出てきました。

子どもたちが勉強なんかしなくたっていいじゃないかと言うと、お返事が人間らしくなるためだと言うやり取りが、子ども心に印象に残った記憶があります。

今聞いてみると、ちょっとズレてるかなぁと感じる点はあるのですが、ただ、勉強する根拠=人間らしくなると言うのは、この歌の論旨とは別に「あってい

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毛皮が「商品」になった事と日本の開国の関係など

毛皮が「商品」になった事と日本の開国の関係など

アダム・スミスの国富論にこんな一節があります。

「人間が最初に衣服の材料として用いたのは、比較的大きい動物の皮であった。それゆえ、この動物の肉を主食としている狩猟民族や牧畜民族の間では、食料を自給することによって、各人の必要以上の衣料の材料を自給する事が出来る。

外国との貿易が全然なかったなら、この材料の多くは無価値なものとして捨てられたことであろう。

北アメリカの狩猟民族の間では、かれらが

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「紙」マルチによるニンジン栽培のテスト。地代は原価+手間賃で決まる価格とは別の原理で成り立っている件など

「紙」マルチによるニンジン栽培のテスト。地代は原価+手間賃で決まる価格とは別の原理で成り立っている件など

アダム・スミスは国富論の中で、賃銀と利潤は価格の原因だが地代は結果だとしています。

「地代」について、制度や政策と言うことを離れて考えてみると、確かに「労働」によって実現される価値とは違う性格を持っていることは確かです。

価格や価値と「労働」の関係ですが、アダム・スミスは「労働価値説」、つまり、労働があらゆる価値の源泉だとしています。

たとえば、僕が大根を育てて、1本100円である飲食店に卸

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地代はどのように決まっているのか、原理的な問題を考えてみる必要があるかもしれない

地代はどのように決まっているのか、原理的な問題を考えてみる必要があるかもしれない

アダム・スミスの「国富論」に「賃銀及び利潤が高いか低いかは価格の高低の原因であるが、地代が高いか低いかはその結果である」と書かれています。

例えば、売り手が商品の価格を考える際に、賃銀分300円必要だ、そこに利益を載せて1000円で売ろうと考えたとします。

この時、地代分が200円だったら、利益が500円でる(単純化のためにここでは、仕入れ代や販管費はとりあえず考えないことにします)、しかし、

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農業技術を覚える基本は「対象の不均一性」を認識すること

農業技術を覚える基本は「対象の不均一性」を認識すること

アダム・スミスの「国富論」に「農業者」がいかに判断力に優れているかについて書かれているところがあります。

「美術や自由職業と言うものついで、この職業(農耕)ほど種々様々な知識と経験を必要とするものはおそらくないだろう」

「農耕の多様で複雑な作業について、通常の農業者が持っている知識でさえ、それを我々がこうした書物から学ぼうとしても、とうていできない相談である」

「これに反して、普通の機械職人

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国富論にみる徒弟奉公と半農生活の農家を生み出すための仕組み、温暖化には「上限」がある?など

国富論にみる徒弟奉公と半農生活の農家を生み出すための仕組み、温暖化には「上限」がある?など

アダム・スミスの国富論にギルドの徒弟修業のお話が出てきます。

「全ヨーロッパを通じて昔は7年と言うのが同業組合化された職業の大部分における徒弟修業の期間であったようだ。そういう団体は昔はみなユニバーシティと呼ばれた」

ユニバーシティは、今では大学を意味する言葉ですが、この点について、スミスは

「しかるべき資格のあるマスターのもとで7年間勉強したと言うことが、リベラル・アーツの場合も、マスター

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お赤飯の歴史とか、「別な制度」により停滞を脱することができるか、とか

お赤飯の歴史とか、「別な制度」により停滞を脱することができるか、とか

井原西鶴の好色一代男に「小豆飯」が一種のごちそう、つまり、お米がないから雑穀のマメを混ぜて炊いたと言うことでなく、面白いものとして捉えられている描写が出てきます。

よく考えてみると、アズキともち米を一緒に炊けばお赤飯ですね。

アズキは縄文人も育てていたらしいですが、「お赤飯」はいつ頃から登場してくるのでしょうか?

「一国の地味、気候、その国の他国に対する位置などの性質上、獲得可能な富の全量を

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備中鍬で雑草ごと掘り起こす畝立て法、「校庭の雑草」は手間のかからぬ農法開発に役立つ、ホウレンソウは南側畝から種まきすると長期収穫できるかもしれない、資本主義の特徴は投資すること等

備中鍬で雑草ごと掘り起こす畝立て法、「校庭の雑草」は手間のかからぬ農法開発に役立つ、ホウレンソウは南側畝から種まきすると長期収穫できるかもしれない、資本主義の特徴は投資すること等

「院政と武士の登場(福島正樹)」には、「都の貴族からみた奥州平泉は、金、馬、布などの奥州特産物や平泉を中心に行われたであろう北方交易によって入手したアザラシの皮、鷲の羽根などの、武具の材料になる貴重品をもたらす源であった」と記載されています。

「銭踊る東シナ海(大田由紀夫)」には、室町時代に大陸からの輸入品が「唐物」として珍重されたことが書かれています。

19世紀には中国の茶や日本の生糸を欧米

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18世紀にアダム・スミスは中国は世界一豊かだが停滞しているから中国の労働者は貧しいと述べた。21世紀までの流れを思い返してみて、今後を考えてみる・・・

18世紀にアダム・スミスは中国は世界一豊かだが停滞しているから中国の労働者は貧しいと述べた。21世紀までの流れを思い返してみて、今後を考えてみる・・・

アダム・スミスの国富論には、中国のことも出てきます。

「長い間、世界で最も富んだ、すなわち最も肥沃で最も良く耕作され、最も勤勉で、そして最も人口の多い国の一つであった。

けれども、この国は長い間、停滞状態にあったようだ。」と述べています。

スミスは、中国の停滞状態を「たとえ国の富が大変大きくても、その国が長い間、停滞状態にあるなら、そこでの労働の賃銀が非常に高いと思ってはならない」

つまり

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農耕具のガリレオになれるか?

農耕具のガリレオになれるか?

鉄の古代史(奥野正男)には、福岡県の広田遺跡の出土品について、「扁平打製石斧が採集の土掘りだけでなく、穀物栽培の農耕具としても消耗品的に使われていた可能性を示している」と述べています。

石斧だから、「オノ」と言うわけではなく、「クワ」のように使われていたと言う事でしょうか?

萬葉集冒頭の「この岡に菜摘ます子」の歌に堀串(ふくし=掘り具)と言う表現が出てきます。菜を摘むのにどうして掘り具がいるか

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タアサイは1-2月の「つなぎ」葉菜として位置づける

タアサイは1-2月の「つなぎ」葉菜として位置づける

「人間はつねに働いて生きてゆかねばならないし、彼の賃銀は少なくとも彼の生活を維持するのに足るものでなければならない。いや、たいていの場合、賃銀はこれよりいくぶん多くさえなければならない。そうでないと家族の扶養という事が労働者にとって不可能となり、職人達の家族は一代限りとなってしまうからである。

こうした理由からカンション氏は、最下層の労働者でも平均して二人の子供を育てるためには、自分自身の生活維

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