幸花 あきこ some where over the rainbow      

ヒーラー 、文筆家。 自分の行きたい場所は自分で決めていい。 輝きも光の色も自分が決…

 幸花 あきこ some where over the rainbow      

ヒーラー 、文筆家。 自分の行きたい場所は自分で決めていい。 輝きも光の色も自分が決める。

記事一覧

笑っているのはおやつがほしいから
だけじゃないのよ。おかあさんが
わたしを呼んで笑っているから嬉しい
の。幸からのメッセージでした🍀

言葉を話さないわんこたちのコミニケーションは笑顔なのだ。
幸は笑顔番長😀

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」最終話

それから ふたりは長く、沿うことのなかった時間を、 埋めるのではなく、無垢な気持ちで新たに始めた。 些細なことで笑い、些細な幸せを感じた。 たくさんの感情を知るこ…

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」11話

時折、青い光を感じる。 瞼を開ける、瞬間に。 「疲労と感染症だけでは、こんなに長い間、 視力が落ちることはない。かといって他の 病であるとも‥‥。あなたの目は、 精…

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」 10話

あの、青い紫陽花の、海。 魂はあの海の底にあるのだろう。 魂は、目覚める。 海の底で閉したように、横たわっていた、 けれどもそれは、護られていたのだ。 閉した感情に…

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」9話

その朝の風は、低く吹き、そして湿っていた。 それはまるで、悲しみの風のようだった。 ジェレマイアはパドゥシャの、少し乱れた 前髪を直し、それから首筋を撫でた。 「君…

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」8話

ズアオアトリの鳴き声を聞いたような 気がした。 夢の中で聞いたのだろうか。 そして目を開ける前に、瞼に青い光を感じた。 それは青い海のような、紫陽花畑で 花々の上を…

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」7話

6月、 咲き始めの黄緑色の紫陽花は 朝露を帯びて、瑞々しく輝いていた。 リズは紫陽花を手に取り、 微笑んだ。 深く、濃く、 だんだんと色づくのはまるで、思いのように。…

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような紫陽花畑で」6話

クリスマスには親戚や友人がジェレマイアを送り出すために集まった。 リズとブライアンもテディとイリスを連れて訪れた。 リズとジェレマイアが親しんだクリスマスツリー…

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」5話

その朝、 リズとジェレマイアは砂浜に 座っていた。 少し曇り空の下、海の光も ささやかに。 ただふたりで、砂浜に座っていた。 恋人たちのようでもなく、 連れ添った夫婦…

創作大賞2024 恋愛小説部門応募作を
書いています。頭の中で映像化している
のでその文字起こし作業。そして文章芸術を目指しています。エンドロールに流れる曲を毎日聞いています。投稿が終わりましたらあとがきを書きたいと思います。

恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」4話

青く染まった紫陽花が枯れ始め、 クチナシも散り始めた。 リズは紫陽花畑にいて 籠の中に青い紫陽花の花びらを 集めていた。 あの日からジェレマイアとは すれ違いになっ…

創作大賞2024恋愛小説部門 「青い海のような、紫陽花畑で」3話

懐かしい夢にまだ酔いしれながら リズは階段を降りた。 居間には両親とジェレマイアがいた。 美しい夢は消え、 もう、そこは突きつけられた現実だった。 「気分はどう?リ…

創作大賞2024応募作・恋愛小説部門「青い海のような、紫陽花畑で」2話

砂浜を歩く、柔らかな感触。 一緒に歩いている愛馬のソルヴェイグも 楽しそうな息遣いだった。 ソルヴェイグを引くリズの、 そのブロンドの柔らかな髪が風に靡いていた。 …

創作大賞2024応募作・恋愛小説部門「青い海のような、紫陽花畑で」1話

【あらすじ】 1900年初頭のイギリス。 自然豊かな美しい地方で リズとジェレマイアは兄妹として 育ち、世間的にもそうであった。 本当はリズの母はジェレマイアの母の 妹…

幸と花と言の葉 迷迭香 ローズマリー

海底に沈む愛 ローズマリーの語源は ロスマリヌス、海の雫。 地中海で愛されてきたハーブ。 そして和名は 迷迭香 まんねんろう 強い枝と葉を持ち、四季を通して咲き、 …

幸と花と言の葉 百日草

幸が空に還ったのは9月の初め。 そして9月の終わり、 私の誕生日に フローリストの友人が ジニアやマトリカリヤのフラワーアレンジメント をプレゼントしてくれた。 ジニ…

笑っているのはおやつがほしいから
だけじゃないのよ。おかあさんが
わたしを呼んで笑っているから嬉しい
の。幸からのメッセージでした🍀

言葉を話さないわんこたちのコミニケーションは笑顔なのだ。
幸は笑顔番長😀

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」最終話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」最終話

それから
ふたりは長く、沿うことのなかった時間を、
埋めるのではなく、無垢な気持ちで新たに始めた。
些細なことで笑い、些細な幸せを感じた。

たくさんの感情を知ることが人生だと
したら、絡まる思いはいつしか解け、
存在することの喜びが鮮やかに広がる時、
無邪気さに還って行く。

その日、ジェレマイアの手を引いて
リズは紫陽花畑へ。
昨夜はたくさん、雨が降った。
そしてここ数日の雨も土に染み込んで、

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創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」11話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」11話

時折、青い光を感じる。
瞼を開ける、瞬間に。

「疲労と感染症だけでは、こんなに長い間、
視力が落ちることはない。かといって他の
病であるとも‥‥。あなたの目は、
精神的な理由で、おそらく、目にした光景が
あまりにも過酷で、あなたの心が、もう
見たくない,と言っている、その現れとして
ぼやけて見えなくなるのでは‥‥。」

軍医の診断をジェレマイアは黙って
聞いていた。
ジェレマイアは職務不可能であ

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創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」 10話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」 10話

あの、青い紫陽花の、海。
魂はあの海の底にあるのだろう。
魂は、目覚める。
海の底で閉したように、横たわっていた、
けれどもそれは、護られていたのだ。
閉した感情に。
魂が目覚めることはもう、
筋書きの中にあったのだ。

寒さの残る3月。
リズは教会を出ると、雲の間から見える空の青さに、
何かが解れるような感覚があった。
リズは黒いドレスを着て、教会に通い、
祈っていた。
召された、夫と子供たちと

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創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」9話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」9話

その朝の風は、低く吹き、そして湿っていた。
それはまるで、悲しみの風のようだった。
ジェレマイアはパドゥシャの、少し乱れた
前髪を直し、それから首筋を撫でた。
「君に、神の加護を。」
パドゥシャは美しい瞳を近づけてきた。
それからジェレマイアに息を吹きかけてきて、
そして首を上下に振った。
パドゥシャは別の部隊へ行くことになった。
ユアンの愛馬にして、高い能力のパドゥシャに、
誰もが乗りたがった。

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創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」8話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」8話

ズアオアトリの鳴き声を聞いたような
気がした。
夢の中で聞いたのだろうか。
そして目を開ける前に、瞼に青い光を感じた。
それは青い海のような、紫陽花畑で
花々の上を光が踊る時の。
そして幼いリズが,無邪気に踊る時の。
あの、濡れた,八重咲のクチナシに
そっと触れた時の、青い、光。

リズ、
君は変わりなく過ごしているだろか。
状況は厳しい。激しさが増している。
ブライアン、テディ、イリスも
変わり

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創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」7話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」7話

6月、
咲き始めの黄緑色の紫陽花は
朝露を帯びて、瑞々しく輝いていた。

リズは紫陽花を手に取り、
微笑んだ。
深く、濃く、
だんだんと色づくのはまるで、思いのように。

リズの、細い首筋を初夏の風が優しく撫でる。
それはジェレマイアのあたたかな眼差しや、
安心感のある手、不器用で繊細な心、
そのすべてを、リズに思い出させた。
少年と少女の抱擁は黄緑色の、若草の
妖精が光の中で揺れるように。
そし

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創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような紫陽花畑で」6話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような紫陽花畑で」6話

クリスマスには親戚や友人がジェレマイアを送り出すために集まった。
リズとブライアンもテディとイリスを連れて訪れた。

リズとジェレマイアが親しんだクリスマスツリーの下で、無邪気に遊ぶテディとイリス。
暗さが広がる世の中で、子供の
純真さは救いであると誰もが感じていた。

ブラックプティングも
ミンスパイもジンジャーケーキも
テーブルに並んでいた。

「ジェレマイア、君の志願は素晴らしい
ことだ。誇

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創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」5話

創作大賞2024恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」5話

その朝、
リズとジェレマイアは砂浜に
座っていた。
少し曇り空の下、海の光も
ささやかに。

ただふたりで、砂浜に座っていた。
恋人たちのようでもなく、
連れ添った夫婦のようでもなく、
兄妹のようでもなく。

心と身体と魂がひとつになっていても
未来が見えないふたりだった。

「何を考えているの?」

リズはジェレマイアの顔を覗き込む。

「思考停止。」

ジェレマイアは言った。

「覚えている?

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創作大賞2024 恋愛小説部門応募作を
書いています。頭の中で映像化している
のでその文字起こし作業。そして文章芸術を目指しています。エンドロールに流れる曲を毎日聞いています。投稿が終わりましたらあとがきを書きたいと思います。

恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」4話

恋愛小説部門応募作「青い海のような、紫陽花畑で」4話

青く染まった紫陽花が枯れ始め、
クチナシも散り始めた。

リズは紫陽花畑にいて
籠の中に青い紫陽花の花びらを
集めていた。
あの日からジェレマイアとは
すれ違いになっていた。
ジェレマイアは研修医として
忙しい日々だった。

籠を手に下げてリズは海辺を
歩いた。
波の音が優しく、水面の光がずっと
遠くまで続く。
その光の美しさをぼんやりと眺めていた。
すると、
籠の中の紫陽花の花びらが風に舞い、

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創作大賞2024恋愛小説部門 「青い海のような、紫陽花畑で」3話

創作大賞2024恋愛小説部門 「青い海のような、紫陽花畑で」3話

懐かしい夢にまだ酔いしれながら
リズは階段を降りた。
居間には両親とジェレマイアがいた。
美しい夢は消え、
もう、そこは突きつけられた現実だった。

「気分はどう?リズ。」
母のメアリーは心配そうにリズを見ていた。
リズは口元で小さく微笑んだ。
「リズ、実はブライアンが夕方、
時間が作れるそうだ。湖畔の別荘に招き、
食事をしようと思っている。
しかし、いちばん大切なのはリズの体調
だから。どうかな

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創作大賞2024応募作・恋愛小説部門「青い海のような、紫陽花畑で」2話

創作大賞2024応募作・恋愛小説部門「青い海のような、紫陽花畑で」2話

砂浜を歩く、柔らかな感触。
一緒に歩いている愛馬のソルヴェイグも
楽しそうな息遣いだった。
ソルヴェイグを引くリズの、
そのブロンドの柔らかな髪が風に靡いていた。
そして芦毛のソルヴェイグの、ブルーグレー
の鬣も、風に靡く。

砂浜に座り、動物医学書を読んでいた
ジェレマイアは目の前を通り過ぎる
リズとソルヴェイグがまるで
絵画のようで見惚れていた。

リズは立ち止まり、ジェレマイアに
笑いかけた

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創作大賞2024応募作・恋愛小説部門「青い海のような、紫陽花畑で」1話

創作大賞2024応募作・恋愛小説部門「青い海のような、紫陽花畑で」1話

【あらすじ】

1900年初頭のイギリス。
自然豊かな美しい地方で
リズとジェレマイアは兄妹として
育ち、世間的にもそうであった。
本当はリズの母はジェレマイアの母の
妹で、お互い死別し残された者同士が
子を連れて再婚したのだった。
幼少期からジェレマイアを愛していたリズ。
大人になり、ジェレマイアと愛を交わすこと
を願うが、兄妹、いとこを越えられず、
リズは他に嫁ぐ。
時は流れ二児の母となり里帰

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幸と花と言の葉 迷迭香 ローズマリー

幸と花と言の葉 迷迭香 ローズマリー

海底に沈む愛

ローズマリーの語源は
ロスマリヌス、海の雫。

地中海で愛されてきたハーブ。
そして和名は 迷迭香 まんねんろう
強い枝と葉を持ち、四季を通して咲き、
香る、それは永遠の存在なのかもしれない。

美しい海の底に
珊瑚礁が母なる海から生まれ、
その愛の姿のままに生きている。
永い、永い、時を生きる。
珊瑚礁に思いを馳せると
大きな愛を感じる。

母性。
母の温もり。
誰もが、いくつに

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幸と花と言の葉 百日草

幸と花と言の葉 百日草

幸が空に還ったのは9月の初め。

そして9月の終わり、
私の誕生日に
フローリストの友人が
ジニアやマトリカリヤのフラワーアレンジメント
をプレゼントしてくれた。

ジニア 百日草。
百日を
色鮮やかなまま、揚々と咲く。
色とりどり、まあるく、
大好きな花である。

ジニアは
庭先にも道端にも
咲く。

見ていると元気になる、
植物の力。

ある人が幸のことを
野花のようだ、と言った。
野花のよう

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