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幸と花と言の葉 百日草

幸が空に還ったのは9月の初め。

そして9月の終わり、
私の誕生日に
フローリストの友人が
ジニアやマトリカリヤのフラワーアレンジメント
をプレゼントしてくれた。

ジニア 百日草。
百日を
色鮮やかなまま、揚々と咲く。
色とりどり、まあるく、
大好きな花である。

ジニアは
庭先にも道端にも
咲く。

見ていると元気になる、
植物の力。


ある人が幸のことを
野花のようだ、と言った。
野花のように強く、野花が似合う、と。

私は
幸を強いとは思っていない。
おそらく、その人はいつも
私のことを強い、というので
私のイメージなのだろう。

幸は運命を受け入れる
達観したような、
穏やかな顔で
死に向きあった。
それでも、最期の数時間前には
呼吸を荒げながら
それは幸の叫びのように感じた。

もう、嫌だ。
苦しみは嫌、私は私の幸せの
ために生まれた!

その、叫び。
そして
嫌だったこと、嫌なことばかり
強いられたこの世界から
軽くなりたい、そう願っていたように
感じた。

人は都合よく
自分の見方で
称したり、評したりする。

幸は
鮮やかなマゼンダの、
無条件の愛の色が似合う、
美しい、女の子だった。

強くて謙虚でいて
置かれた場所で咲く
健気な野花ではなく、

鮮やかに揚々と
自分を生きる、
百日草だった。

今は軽やかな、愛の中で。





幸について
2019年にドックトレーナー運営の
保護団体に保健所から引き出され
2020年3月に私の娘になった
元繁殖犬の柴犬。
穏やかに暮らしていたが
末期癌とわかり、2023年9月に生涯を
終える。

幸は
美しい3年半を私に経験させてくれた。
かわいらしい顔、優しい性格、包み込むような
母性を持った純粋な魂だった。

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