マガジンのカバー画像

いつかのための詩集

140
どこかで酒と出会うための詩集。
運営しているクリエイター

2019年8月の記事一覧

マリオネットは嬉しかろう

マリオネットは嬉しかろう

マリオネットは嬉しかろう

それでもあやつる人がいる

マリオネットは悲しかろう

それでもあやつる人がいる

ペンを持って 文字を書くとき

マリオネットは考える

考えの考えに書かされているのか

考えを考えているのか 笑っていた

踊る春に池を眺めて

自分の唇がつり上がっていると知る

そこから喜びが芽生えてくるよな

日々を糸につられて踏みしめる

夏は暑くて糸に滴る

人形からでも汗が

もっとみる
【詩】お盆休みの中腹で

【詩】お盆休みの中腹で

ある晴れた日にあなたと墓標の話
空っぽの隕石に殴られて空想の昏倒
目をまん丸くしないので精いっぱいだった
わたしはあなたと一緒にいた

小さな宇宙の中では
いままさに白色の回転茶色の回転
茶色がお茶色じゃないのはなぜだか分かった
煙のにおいをかいでごらんよ

匙ばかりがめぐっていた
金属のボート、メッキがゴールド
あなたの唇はきっと渇き切る
その歌は歌い切られたことがない

ファミレスには夢がある

もっとみる
【詩】だけど涙は透明だろう

【詩】だけど涙は透明だろう

たとえば僕の直ぐそばで
富める者がなにか失っていて
この世界の反対側で貧しい者が
なにかを得ている
真っ赤に燃えて 灰になって
だけど涙は透明だろう

あなたが深く悲しんでいて
わたしが実に喜んでいる
結果を溶かしたヨーグルトのよう
ひとさじ食べて呪って祝う
見上げて厚く ブレる星空
やはり涙は透明だろう

右に行けば左がよくって
左に行けば右がよいよと
真っすぐ行けば振り返れと言われ
後ろを向い

もっとみる

私情をはさんで、この夜を抜けて

ポケットの中に素敵な街がある
ずっと夢に見ていた素敵な街が
両手をそこに雑に突っ込んで今
この時だけの夜の街に恋をする

出穂した稲を星空の下で眺める
あたりでは盆の花火大会も終幕
浴衣の袖に流れてく汗が目尻を
くすぐっては眩しい濃紺の衣装

僕のポケットに銀河の街がある
歩道は少しばかりの砂利と星屑
メロンソーダを片手に揺らして
鈴が鳴る草履を得意気に振って

詩情をはさんでこの街を抜ける
髪飾

もっとみる