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インフォーマルケアコスト〜ご家族の介護負担は〜

過去記事にてもご紹介しましたが、
超高齢社会を迎えつつある中で、
「介護」や「認知症」に罹患される方が
近年増えています。

罹患した要介護者が増えるということは、
「介護をする人」も増えるということです。

介護業界は逼迫しており、施設に入居できない
ことからご家族が介護をするほかないという
家庭もございます。

また、そういう状況に追い込まれて家族の介護
となるのではなく、介護を受ける側からの希望
という場合もあります。

実際に、内閣府調査は下図のとおり。

出典:内閣府 平成30年版高齢社会白書(全体版)
2.健康・福祉


「介護を頼みたい人」の希望を聞いた場合、
配偶者に介護を頼みたいといった割合は、

男性:56.9%
女性:19.3%

という結果です。

介護は身の回りの身体的なセンシティブな部分
も含まれるため、他人より身内に介護をして
欲しいという方が多い傾向です。

皆さんはどうですか?
誰から介護を受けたいですか?

では、もしご家族から介護を受けたいといった
場合に考えなければいけない問題があります。

それはご家族の介護は一般の介護サービスと
違って、有償ではなく「無償」であるという
点を考えなければなりません。

このご家族による無償の介護にかかる費用を

「インフォーマルケアコスト」

と呼びます。

このコストの考え方として、ご家族の介護は
一般的に無償ですが、その介護を外部委託で
介護サービスを受けた場合の費用や、ご家族が
介護をしなかった場合に得られた労働収入など
を換算した場合のコストを指します。



厚生労働省と慶應義塾大学が行った研究では、

ご家族による無償の平均介護時間は1週間に
約25時間(年間約1,300時間)という結果です。

それを一定の計算に基づき換算したところ、
要介護者1人に対して年間382万円もの
インフォーマルケアコストがかかっている
という
ことが1つのデータとしてあります。

この金額を見てどう思いますか?

ご家族だから仕方がないと思うのか、
これに対する準備をしようと思うのか、
人それぞれだと思います。

しかし、これから日本はさらなる高齢社会を
迎えることとなるため、これは1人1人が未来に
向けて準備すべきだと私は思います。

過去記事でも紹介した「老後2,000万円問題」
など、老後生活の不安もある中で、認知症や
介護が発生した場合、老後資産はあっという間
に枯渇してしまう可能性もあります。


国による社会保障制度にも限界があります。
この場合、民間保険会社の介護保険や認知症
保険などが有効です。

保険をかけず投資で十分な介護資金を準備
するという意見もあるかと思いますが、
私は反対です。

そもそも、投資による資産形成は不確実性
の高いものであり、いつなるかわからない
介護や認知症に対しての備えにはなりません。

また、築き上げた資産を取り崩すというのは
再度シミュレーションなども適宜行わなけれ
れば、老後生活そのものが危ういものと
なります。

保険は保険料を支払う代わりに、「いつ」
そういったリスクが発生したとしても、
決めた保障が得られます。

資産の最大化を図るための投資に回すお金と
リスクに対してカバーする保険へのお金は
別物として考える必要があると考えます。


また、ご家族が介護をする場合に考えなければ
いけないのが、ご家族の「お仕事」です。

世間では「介護離職」が増えています。

ご家族の介護をするために、退職を余儀なく
され職を失うことです。
私も周りの知人で何人か見かけました。

職を失い明日からの生活に不安を抱える中、
ご家族の介護はしなければならないという
とても大変な状況です。

そのため、ご家族から介護を受けたいと希望
する方は、ご家族に対して相当のお金を残す
べきです。

それはご自身の介護のためではなく、
ご家族の生活のためです。

こういった場合でも、保険であればご家族の
生活費や自身の介護費用に充てることも
自由自在です。

老後の資産形成と必要なリスクヘッジは相対
するどちらも必要なものです。

ぜひ適切なご準備をしてください。
ご相談があればいつでも受け付けます。

最後に、介護にならないような努力をする
ことも1つです。

健康で元気な老後を迎えましょう。

それでは。

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