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教育の無償化と出生数の関係性

日本の出生率「1.20」

先日、2023年の合計特殊出生率が1.20になりました。
合計特殊出生率とは「15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの」です。

日本 出生数
日本 合計特殊出生率

今の日本は出生数の減少を食い止めるのが喫緊の課題となっています。

2015年に政府は「2025年までに希望出生率を1.8」と定めました。
(希望出生率:若者が婚姻や出産が叶ったときに希望する出生率)

そして、2025年から「2035年までに出生率2.1」にすると定めました。

しかし、現状は大幅に差があり、実現には遠く及びません。

出生率が上がらない要因の一つとして教育費が高すぎるということがあげられます。

近年、教育費を中央政府や自治体が代わりに負担するという動きがあります。
大都市で先駆けとなっているのは大阪市でしょう。

そこで、教育無償化の効果はあるのかについて調べていこうと思います。

大阪市の出生数・出生率

大阪市 出生数
大阪市 合計特殊出生率

大阪市に関わる教育無償化政策

【保育教育0~2歳】
令和元年(2019年)に安倍政権下で保育教育が無償化しました。(所得制限あり)

【幼児教育3~5歳】
平成28年(2016年)に吉村市長の下で幼児教育が無償化しました。

【小学校給食無償化】
令和2年(2020年)に松井市長の下でコロナを理由に小学校給食無償化がスタートしました。
その後、コロナ後である2023年以降も継続されました。

【中学校給食無償化】
小学校と同様に令和2年(2020年)に松井市長の下でコロナを理由に中学校給食無償化がスタートしました。
その後、コロナ後である2023年以降も継続されました。

【塾代助成】
平成24年(2012年)に橋下市長の下で西成区の低所得世帯の中学生を限定に塾代助成(毎月1万円)が始まりました。
平成25年(2013年)には市内全域に対象が広がりました。
令和5年(2023年)には横山市長の下で小学5・6年生にも拡大されました。

【高等教育】
平成22年(2010年)に鳩山政権の下で国政の法律によって公立高校の無償化・私立高校の一部補助が実現しました。(所得制限あり)
平成22年(2010年)に橋下知事の下で私立高校の無償化が始まりました。(所得制限あり)
その後緩和され、吉村知事は令和6年(2024年)~公立・私立の授業料を順次完全無償化することにし、令和8年(2026年)にはすべての子どもが授業料を払わずに高校に進めるようになります。

【府立工業高専・公立大学・大学院・法科大学院】
令和元年(2019年)に吉村知事の下で大阪府立大学・市立大学の学費の無償化が始まりました。(所得制限あり)
令和6年(2024年)~令和8年(2026年)には所得制限が撤廃され、入学者の全員が無償化の対象になります。

効果はあったのか?

もちろん、本当の意味での完全無償化はまだ完了していないため今の段階で断言できるものではないです。

ですが、教育無償化=少子化対策にはならないのではないでしょうか。

当然、無償化にしているため子育て世代が「子育てしやすい街」になっているのは間違いないし大事なことだと思います。

ただ、画像を見てもらうと分かるように2020年~はコロナの影響で値が異常値であることを踏まえても、大阪市の出生数は2010年以降も大きな流れとしては減少傾向となっています。

大阪市 出生数
日本 出生数

ここで注意しなければいけないのは
大都市ほど出生率が下がりやすい」という点です。

1.住宅コストが高い
2.価値観の多様性(自分の好きなことをしたい…など)
3.結婚自体が晩婚化しやすい
のような要因があると思います。

一方、農村部では近所付き合いが活発なため近隣で子どもを育てるような考えがあり、早期の結婚により出産時期も早くなっていると考えられます。

また、安心して子供を産める環境があるため出産回数も都市部より多くなりやすいのではないかと思います。

無償化は意味ないのか?

無償化は少子化を止める「特効薬」にはならないと思いますが、食い止める一つの要因となるのではないかと思います。

無償化を行うことで数百万円かかる教育費用が浮きます。

そうすれば、子どもが社会人になったときに親が孫の養育のサポートも行いやすくなるでしょう。

要は、農村部のように安心して育てられる環境が整えば次第に子どもを産もうと考える人が集まってくるということです。

10年、20年では効果がわからないかもしれないですが、今の親から子ども、子どもから孫へ…と支え合う流れが作られると今の状況は好転するのではないでしょうか?

そのため、教育無償化は今後に向けて行っておくべきです。

ただ、これに固着することなく新たな政策を考える必要があると思います。

無償化の意味

無償化を行うことで家計の所得に関係なく子どもたちは進学できます。
例えば、私立高校に進学するのが厳しかった子どもが無償化のおかげで行きやすくなったなどです。

もう一つの例は「長子には私立を行かせられたが次子以降は公立しか行かせられない」のように子ども間で格差ができてしまうおそれがあります。

この2つの例をなくすことができる点で意味があると思います。

無償化のデメリット

メリットがあればデメリットもある。これが世の中の流れというものです。
当然、無償化にもデメリットがあります。

大阪では行財政改革をして予算を確保していました。「だったら、その予算を市民全体のためになるようなところへ使うべきだ」という声も出てきます。

また、子どもを育てていない家庭、独身世帯、子どもを制度以前に育てた人はをしているように感じるため批判が出てきます。

さらに、教育無償化を恒久的に行政で行うのであれば税負担化になるのではという声もあります。

デメリットは本当にデメリットなのか?

先にもあげたように教育無償化だけでは少子化対策にはなりません。
ですが、今の子どもたちが行きたい学校に行ける流れを作っていけば次第に子育てをしようと思う人が増えてくるかもしれません。

例えば義務教育期間が3〜16歳までと13年間となっています。
また、大学の学費も政府の補助により日本と比べて大幅に抑えられています。(国立大学の場合)

フランスの総合大学 université は国立です。国家予算からの補助により、学生一人一人が負担する学費は、学士課程で年間 2,770ユーロ(約35万円)、修士・博士課程でも年間 3,770ユーロ(約48万円)と、日本と比べると抑えられています。

フランス政府留学局公式HPより

まとめ

1.現状は教育無償化をしていても効果が現れているとは言えない
2.教育無償化には親の所得による格差是正が期待できる。
3.一地方の政策としてではなく国全体として義務教育化=教育無償化を推し進める必要がある。

出生率アップのためには無償化と同時に別の施策(例えば労働環境の改善等)も行う必要があると思うので早急な対応が求められます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
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