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はるるん、海を渡る

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重症心身障害児として生まれ、盲目で車椅子が必須のハルが、家族とともにどこへでも出かけ、登山にも海にも行き、そうしてついに、家族と一緒に海を越えてインドにやってきた。インドでの彼女…
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#障害児

はるるんの福祉クエスト

はるるんの福祉クエスト

はるるん、先日8歳の誕生日を迎えた。
誕生日前日深夜に帰国し、誕生日翌日にはまたフィリピンの自宅へ、という超強行スケジュールだったけれども家族みんなでお祝いすることができた。

彼女が生まれた8年前、出産した病院で何枚もの同意書にサインをしながら、先の未来なんてまるで思い描けずにいた。
ただ毎日やってくるトラブルをドッチボールのように体をくねらせてよけたり、時には正面から受け止めたりしながら、必死

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「特別支援教育」は特別なままなのか

「特別支援教育」は特別なままなのか

さて、前回の記事で、障害や特性に関係なく、地域の学校に多様な子どもたちが通えることの意義に触れて書いた。

はい。わかってます、あくまで理想です。
現状においては、校舎の問題、教育カリキュラムの問題、教員配置の問題など、ありとあらゆる点において、多様な子どもたちを地域の学校に受け入れる準備は到底十分とは言えない。だからこそ、現時点では副学籍制度に期待する部分が大きいのだけれど、副学籍制度においても

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私は障害児であるハルのことをよく知っているけど、ハルじゃない障害児のことはよく知らない

私は障害児であるハルのことをよく知っているけど、ハルじゃない障害児のことはよく知らない

みなさん、どうも。こちらの世界ではお久しぶりです。
久々にいろいろな肩書や役割を取っ払って、ただの心の露出狂として、キーボードを叩いています。

最近は、わかりやすい文章の書き方とか、タイトルの付け方とか、SEOとかいろんな話があって。そのどれも大事な話だと頭ではわかるんだけど、あんまりワクワクしなくて、そうこうしているうちに、文章の書き方がよくわからなくなってしまいました。

構成を考えて書くと

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はるるんと、きょうだいと、社会

はるるんと、きょうだいと、社会

刺激の少ない家生活はるるんについて書きたいことが、最近、あまりなかった。

ロックダウン開始後、ハルが通っていた特別支援学校でもオンライン授業が始まったけれど、ハルはなかなかセッションの時間に合わわせて生活のリズムを調整できずにいた。先生や級友やネット環境などの様々な都合で予定通りに開始しないオンラインセッションは、むしろハルにとって負担になることも多く、まるまる夏休みだった6月の終わり、休み明け

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その時はその時だ

その時はその時だ

ロックダウン下のインドに残留3月23日からデリーが、次いで25日からインド全土がロックダウンに入り、駐在日本人の多くは、しばらく様子を見ていたと思う。ロックダウンが延長し、事態が長引く様子をみて、避難便で日本に帰国することに決めたという家族も多いかもしれない。感染の拡大ということもそうだけれど、おそらくいざというときの医療体制が日本の方が安心できる、というのが大きな理由なのだろう。

WHO勤務の

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インドでケトン食療法④シェファリとの関係崩壊!?

インドでケトン食療法④シェファリとの関係崩壊!?

はるるん、タマンナのセラピーが最近は順調だ。OT(作業療法士)で脳性麻痺の子のトレーニング経験豊富だったハルミットが産休に入って、PT(理学療法士)のシュウェッタが担当してくれるようになり、明らかに改善したと思う。最初はシュウェッタに対しても警戒していた私(美人だから…)だったけれど、彼女がトレーニングを担当するようになって、彼女は子供との接し方をよく知っている、ということがわかってきた。ハルが泣

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はるるん、ファッションショーに出る

はるるん、ファッションショーに出る

最初に話をもらったのは、1ヶ月以上前のこと。タマンナのディレクターの先生から突如呼び出しがかかり、「毎年恒例のタマンナとデザインカウンシル主催のファッションショーがあるが、ハルも出たいかどうか」と聞かれた。

ファッションショーとハルがにわかには結びつかなかった私は、どういう意味なのかすぐには理解できなかった。何かの関係でタマンナの関係者がファッションショーに招待されているだけなのだとしたら、日曜

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インドでケトン食療法①:はるるん、栄養士シェファリと出会う

インドでケトン食療法①:はるるん、栄養士シェファリと出会う

はるるん、発作が再開してからというもの、回数が減らない。

そしてどういうわけか、全体的に動きが鈍く、表情も乏しく、筋緊張も高い。夜は眠れたり眠れなかったり。そして例え夜まあまあ眠れたとしても、ほとんど毎日、午前中いっぱい眠ってしまうため、学校にいけない日々が続いている。

たまに学校に行けても、そして夏の間のお楽しみ、大好きなはずのプールに入っても、眠たげなまま。なんとかしたいという気持ちは募る

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母、揺れる 〜重症心身障害児のリハビリと教育のあり方 in インド〜

母、揺れる 〜重症心身障害児のリハビリと教育のあり方 in インド〜

前回の記事で、ハルのリハビリを巡っての方向性で今通っている学校と目標が共有できない悩みを書いた。

そこで、リハビリの強引なやり方や歩くことを最善とする目標設定の仕方が本当にインド特有のものなのか、他のインドの小児リハビリを見てみたい、と思って母は行動に出た。

レインボー・チルドレンズ・ホスピタルのリハビリまず頭に浮かんだのは、かかりつけの病院のリハビリである。この病院の整形外科医は私達と近い考

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はるるん、歩くべきかどうか問題

はるるん、歩くべきかどうか問題

実はここ最近、ハルはインドの薬への移行とともに、もう一つ大きな問題に直面している。

補装具の提案1ヶ月ほど前、タマンナのリハビリで、足に補装具(足を正しい方向に向けるようサポートする器具)をつけたほうが良いのではないかと提案された。

両足の長さが違ってきてるのも気になるし、一度整形外科医に見てもらってきてね、とOTの先生に言われた。OTのハルミットは、ゆくゆくは立つ練習をし始めることを考えると

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はるるん、インドで薬を探す

はるるん、インドで薬を探す

さて、小児神経科医の受診で、ハルの薬を処方してもらい、処方に基づいて薬を買うことにした。

いざ薬をゲットしようと、処方箋を持って近所の薬局に問い合わせた。すると、処方箋に書かれた6種類の薬をみて、ちょっとまって、確認して電話するから、と言われた。あるのかな?と思って待っていたが待てども待てども連絡がない。3日後にもう一度連絡すると、またちょっとまって、と言われた。多分スタッフ同士で情報共有ができ

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はるるん、発作が消えた!?

はるるん、発作が消えた!?

2月に入って、長男が虫垂炎で入院すると同時に熱発したはるるん。

夜は咳き込んでなかなかまとまって眠れず(ハルの夜担当のパパももちろん寝不足)、昼間も熱と咳でご飯があまりちゃんと食べられないのでエネルギーが不足してうつらうつら。

3〜4日高熱が続いて、ようやく熱が下がったと思ったのもつかの間、喉が痛いのか体力が落ちているのか食欲がないのか、なかなかご飯を食べることができない。メイドさんたちとも協

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はるるん、インドでリハビリを受ける

はるるん、インドでリハビリを受ける

久しぶりのはるるん学校ネタ。

実は、先週はTamanaの校内が寒すぎて少しお休みをした。

インドは常夏だと誤解されがちなのでここで少し言及しておくと、インドにも冬がある。北半球だし、緯度でいえばニューデリーは沖縄とか鹿児島と同じくらいである。といっても私達家族が以前住んでいた長野県M村に比べたら寒いとはいえないレベル(寒くても10度前後)だし、寒いのは12月中旬くらいから1月下旬くらいまでと短

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はるるん、インドで母が増える

はるるん、インドで母が増える

さて、「普通(インドに)行かないよね」と主治医に言われたはるるん、インドにきて2ヶ月が経った。渡印当初からきてくれているメイドさんのパミさんが、3日目にしておやつをあげられるようになり、10日後にはごはんもあげられるようになったことは先に記録したとおり。

住み込みのもうひとりのメイドさんについては、すったもんだあった後、12月の終わりからラリタさんというメイドさんが我が家にきてくれている。なんと

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