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検査、そして三津シーと淡い恋
16年前の秋の日、私と彼は何の言葉も交わすことなく肩を寄せあうでもなく、ただ並んで繰り返し繰り返し浮き上がっては沈んでいくオキゴンドウの背中を眺めていた。背もたれのない白いベンチ。真ん中にもう一人座れるか座れないかの微妙な空白。そこから10月の海風が幾度も抜けた。
そうしていた時間が何時間だったのか、何十分だったのかはもう思い出せない。
ひたすら鮮明なのは、傾きかけた陽に照らされた黄金色の駿河湾。
ほんとうにつらいこと
ふざけたテンションで、ふざけた家族の愚痴ばかり書いてきた。
全員分を書き終えるまで、別のことは書かないつもりでいた。
だけど別の記事にも書いたけれど私は何かを継続する能力がないし、父のことを書いている途中だったのに父を決定的に軽蔑する出来事があってなかなかふざけたテンションで書けなくなっている。
私は「愛すべきヤバイ奴ら」を書いてきたけれど、父からその「愛すべき」が消え失せてしまったのだ。
夜