お読みいただき、ありがとうございます。
感想等のコメントも心から嬉しいです。
私の知らないどこかで誰かに「次も読みたい」と楽しみに思っていただけるような小説を書けたらなと、すぐに…
- 運営しているクリエイター
#創作
【16ビートで命を刻む君と、空虚めな僕のこと。】#1
君がこの街に住んでいるのといないのとじゃ、世界の輝き方がまるでちがって映るのだろうなと、どこか確信的にそう思っている。
そうなったことがまだないから、憶測でしかないのだけれど。
たまに同じ路線を使っているだとか、気付かないうちに入れ違いで同じラーメン屋に入っているだとかの、そんな偶然も普通に起こってしまうようなこの狭い街のどこかに、今日も君がちゃんと生きていると思うだけで、なぜだか強くいられる
【16ビートで命を刻む君と、空虚めな僕のこと。】#2
もうずっと雨だ。
これが梅雨のせいなのか、はたまた隔週で雨が降る気候に変わってしまったのかわからないくらいに、よく雨が降っていた。
夏は、まだまだ来ないみたいだ。
自然を感じることができないだろうと思っていた大都会は、想像していたよりもずっと、緑が多かった。
人工的な都市デザインのせいなのか、この街では、季節の花をよく目にする。
今の季節ならば紫陽花。
なんでただそこに咲いてるだけで、
【16ビートで命を刻む君と、空虚めな僕のこと。】#3
>>僕 #3
「そんな、バナナ。」
そうやって笑い飛ばしてしまえればいいことで、人は随分とよく悩む。家に着き、ちょうど玄関先で鍵を開けていたところで、同期の山仲から電話がかかってきた。
「よう、相変わらず?」
「まずまずかな」
何がどうまずまずなのかは全くわからないけれど、少なくとも今日という一日はイマイチよりのまずまずだったな、と苦虫を噛み潰しながら、履いていたクロックスを脱ぎ捨てる。