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わたしが死ぬほどスキつけたいやつ2

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わたし的にスキが100個ぐらいじゃたりねぇなーと思うnoteを保存していくマガジンの二冊目。
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#小説

クズ星兄弟の旅路-1

クズ星兄弟の旅路-1

introduction

「なぁ、兄貴」
 唯でさえ猫背な背中をさらに丸めて、相棒のセイこと星崎シンジが口を開いた。
「なんだ」
 ぞんざいに応えながらも俺、葛生タツオはセイが次に何を言うのか分かっている。「この道で合ってるのかい?」だ。

「本当にこの道で合ってるのかい?」
 ほらな。
「合ってるのかも何も、一本道なんだから間違えようがねえだろ」
「だって、もう一時間も歩いてんのに、見渡す限り

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ある老画家の日々(前編) 【小説】

ある老画家の日々(前編) 【小説】

「日本画壇の重鎮、利知 桃吉(りしり ももきち)は当年八十九歳。江戸時代から続く老舗の呉服屋の次男として、東京都日本橋で産声を上げた――」

 42型のTV画面から、男性ナレーターの渋い声が流れるのを、桃吉は十三人目の妻と二人、イタリアから取り寄せた高級ソファーで聞いていた。

「幼少期より体が弱く、外で遊ぶことの出来なかった利知の遊びは、もっぱら絵を描くこと。動物、植物、人物など自室から見える風

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ある老画家の日々(後編)【小説】

ある老画家の日々(後編)【小説】



                     イラスト きよみさん

「ぱぁいぱぁぁあい!」
「ぎゃぁぁぁ! 出たぁぁあ!!」 夜の帳が落ちたアストロ世界に、今宵も女性ノーツたちの悲鳴が響き渡る。

 謎のWebテロリスト『圧倒的 理不尽』によって無登録でアストロ世界への不法侵入を繰り返し破壊活動を繰り返すヴィランたち。
『ノーツではない者』――通称『ノット』
 その『ノット』の中でも、破壊活動や

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絶版になった自著を買い取って販売してみた

絶版になった自著を買い取って販売してみた

 こんにちは、宵というペンネームでボーイズラブ小説を書いていますが、2016年にデビューしたもののデビュー元が2017年に休刊し、既刊二冊が2020年いっぱいで絶版になりました。

 それでタイトル通り『絶版になるから在庫を買い取ってBOOTHで通販してみた』わけです。

 私のように絶版になる自著を買い取って手売りしてみようと思う方がいらしたら、参考になるかもしれないので、書き残しておこうと思い

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クズ星兄弟の日常

クズ星兄弟の日常



introduction

「なぁ兄貴」
 寒風吹きすさぶ午前11時の歌舞伎町を、ただでさえ猫背の背中をさらに丸めて歩きながら、セイが前歯の一本欠けた口を開く。
「なんだ」
 俺はヤツの顔を見ないままぞんざいに応える。
 ヤツから俺に話しかける時、それは大抵ロクでもない内容だと知っているから。
「キャバクラとピンキャバって何が違うんだろう」
 やっぱりと心の中でため息を吐く。
「キャバクラはお

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ぐちゃぐちゃの部屋で大晦日の夜、寝っ転がってるわたし。今年もダメだったし来年もダメだとおもう。埃が雪みたい、わたしにも降り積もってるだろうな。リモコン見つからないし紅白観るのも断念する。しいたけ占い2021年上半期の長すぎる文章をスワイプしながら、遠いよ。天井のひかり手を伸ばす。

冬の読書感想文 ヨーカンドー ファーストフードアンソロジー

 OZZYも参加させていただいた、サークル「ヨーカンドー」の、ファーストフードアンソロジー本です。
 前フリはざっくりばっさりして、早速本題へ。

【おでこさんと能勢ナツキさんによる、素敵すぎる書影】

 もう、見てくださいとしか言いようがない。とてもポップかつキュートに仕上がっております。最初に店主、服部ユタカ氏から「この方にお願いしようと思っています」と、おでこさんのTwitterアカウントを

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六月のばらばら

六月のばらばら

 いまだに覚えていることがある。
 教室で、あの日。確か六月も終わりだった。雨が続いていた。
 カナオは教科書全部を窓から投げ捨ててしまった。僕はカナオの後ろの席に座っていたので、その一分前までカナオがいつも通りだったことまで証言できる。
 窓の外は雨粒がこれでもかというように降り注いで、二階から放り投げた教科書たちはすぐにぐしゃぐしゃになって汚れていった。取り返しのつかないぐらいに。
 なんてこ

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余裕を持つことが入賞への鍵

余裕を持つことが入賞への鍵

文学賞で大事なのは、作品の質……
もあるが、もっと大事なものがある!
と、私は思う。

1つ、物語を完結させる
1つ、締切に間に合わせる
1つ、応募要項を確認

当たり前のことと思うだろう。でもこれが意外と抜ける時があるのだ。
特に応募要項!!

完結させることと、締切を間に合わせることは最後は気合いの問題である。そのため周りがどれだけとやかく言おうと、本人の意思が固くなければできないものはできな

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幼稚園の頃なりたかったもの。トーマス、消防車、ドクターイエロー。メタモルフォーゼを恐れず憧れた。枠などない。なりたいものになるのだ!…時は流れて令和、『進路調査書』の枠内の空欄を教師に詰められている。俺は俺以外にはなれないらしい。だから俺は…スーパー俺になる!「具体的に」「ハイ」

ノベル大賞に落ちて色々考えたこと

ノベル大賞に落ちて色々考えたこと

ノベル大賞という賞に長編小説を投稿していたんだけど、二次審査は通過できずに落ちてしまった。
それは恥ずかしながら書いていない時期も含めて五年ぐらいかけてたもので、そんな甘くないとはおもっていたけど、結果を見て、結構ショックだった。あんまりにも時間をかけすぎてしまったんだな、ずいぶんと時間がたっちゃったなあとおもった。

ここからまた新しいお話を書くのかっておもったら、へこたれてしまった。
わたしは

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クズ星兄弟の哀愁・1

クズ星兄弟の哀愁・1

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introduction

「かぁちゃん! 死なないで! かあちゃん!」
 また、いつもの夢だ。
 真っ白な顔でベッドに横たわる母親に縋りつく6才の自分を、病室の隅に立って見つめている夢。
 それは、これまで何度も何度も、繰り返し見てきた過去の残像だった。



 その日の正午ごろ、野暮用を済ませた“セイ”こと星崎シンジは昼間の歌舞伎町を一人歩いていた。

 夜になれば毒々しい原色のネオ

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クズ星兄弟の回想

クズ星兄弟の回想

クズ星兄弟の日常

 やけに蒸し暑い夜だった。
 酔っ払いと客引きで騒がしい盛り場を抜け、路地とも言えないビルの隙間を歩く俺の耳に不快な音が響いた。

 肉や皮の繊維を噛み千切り、血を啜り、骨を奥歯で噛み砕く。神経に触る暴力的な鈍い音が、ビルの無機質なコンクリ壁に反響して耳の届いたのだ。

 今すぐに踵を返して来た道を後戻りしなければ、取り返しのつかない恐ろしい目に遭う事を、“俺”は分かっている。

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