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総合表現サークル"P.Name"
2023年7月17日 20:00
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 真也がそのぬいぐるみと出会ったのは、なんでもないような夏の日だった。彼の母からのプレゼントだった。その日が誰かの誕生日だったというわけでもなく、もしかしたら母の、本当にただの気まぐれだったのかもしれない。 自分がいくつだったのかすら、そのうち忘
2023年7月16日 20:00
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。○ 会場は自由席だった。植民百年を誇るように全て木で出来た椅子の、いちばんいい席をひろう。フードを深く被る。座面に置かれたパンフレットをとる。使い捨て鉛筆をつまみ、アンケート欄をひらこうとした。 かたん。意味もなく、照明が落ちる。「本日
2023年7月14日 20:00
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。1 カーテンは閉め切っていた。ヘッドホンから流れる名前の知らない曲が、外界の音を遮る。現時刻が昼なのか夜なのか分からない。ただ机上のモニターと手元のタブレットだけが、真っ暗な部屋の唯一の光源だった。 ペンを動かし、背景のパースが崩れていないかを
2023年7月13日 20:28
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。五 帰りの会が終わると皆わらわらと帰りだす。私は無理やり教科書を鞄に詰めた。不器用だからか、適当な性格だからか、なかなかうまく鞄に教科書が入ってくれない。いつも押し込んでしまうので時間がかかるわりに教科書の扱いは別に丁寧ではない。今日も、皆よ
2023年7月12日 20:00
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。一 七畳の部屋にいくつもの段ボールが散乱していた。引っ越しの荷ほどきがようやく終わった。荷物は案外多かった。人間一人がそこそこの生活をしようと思ったらこんなにもモノが必要なんだと実感する。段ボールを片す気にはなれなかった。その余力がなく、出来れ
2023年7月11日 20:00
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 憎悪と嫌悪というものは、存外全く違うものに思う。それを知るには昔の自分はあまりにも青く、感情に疎すぎた。自分がそれに気付けたのは、あくまでも重ねた年月故のものだろう。そうでなければ、己が心の内にある感情を説明できないのだ。 重ねた年月は手の皺