総合表現サークル"P.Name"
小説と言えるものを、企画を問わずに全てまとめたものです。
記事といえるものを全てまとめたリストです。
どうにも、冬という季節は心身ともに冷え込むものだ。ふと通り抜ける北風に、体を震わせ、手をこすり合わせる。いかに努力をしようとも、私一人しかいないのであれば、意味もない。溜息か、それとも寒さを誤魔化すためのものか。吐き出した息は仄かに白く色付いて、彼方へと伸びていった。手元を健気に温める缶コーヒーが、私を勇気づけている。 あの日も、こんな日だった。身震いする寒さに恰好つけて、笑顔で君を見送った日。私の弱さが、ただ誰かを傷つけるのだと、そう悟った。 私には、誰もいない。
オレは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の〆切を除かねばならぬと決意した。オレには政治が割とわかる。オレは、しがない政治学徒である。エッセイではシュンペーターだのを引き合いにだしてホラを吹き、ツイッターをこの時期までやっているしょうもない同級生たちと絡んで暮らしてきた。けれども原稿を会誌に載せられないということに対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明オレはこの会誌に私小説を乗せてやろうと企み、野を超え山を越え、十里は離れた過去の記憶を思い起こしていた。 オレには常識も、空気
私のことなど、きっともうあちらではお忘れになって、清らかなままにお過ごしになっていることでしょう。こちらは、もう秋の夜長に白く大きな望月の昇る季節となりました。 貴女が月へ帰ってから、どれほどの月日が経ったのでしょうか。私は相変わらず、月を見上げる度、貴女のことを想っております。きっと、永遠に想い続けるのでしょう。こんなに美しい名月の夜には、女々しくも、貴女のいらっしゃる月を眺め、こうして届かぬ想いに胸が痛むほど、貴女のことを想っております。 私は、忘れることはないので
0 何にだって寿命はある。 寿命、生まれてから死ぬまでの期間と云い換えてもいい。それはもちろん人間に限らず、犬や猫などの動物や、植物にだってある。枯れない花はない。そんなものは造花だけだろう。それに造花でさえも、長い目で見れば、いずれ朽ちる。時間の尺度を永遠的に捉えれば、終わりのないものは存在しない。つまり裏を返して考えてみれば、すべての物質には寿命があると云うことができる。 では、食品はどうだろうか。動植物の例に当てはめて考えてみれば、バラ肉や魚の切り身はもうすでに死
十本の短歌を書き下ろし。 それぞれの歌には、とある共通点が隠されているとか。 作:ささど この作品は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」学祭号に収録されています。 今年1月3日から1月7日の間、学祭号書き下ろし作品を順次投稿しています。
総合表現サークル“P.Name”は、立命館大学学友会調査企画部様への新規登録団体申請をしておりました。この度その申請が受理され、2023年度第13回中央委員会の審議を経て承認されました。同年8月7日、我々総合表現サークル“P.Name”は、立命館大学学友会中央事務局調査企画部登録団体となりましたので、その旨をご報告いたします。 キャンパスを越えた集い、インターネットの積極的活用、会員の自己実現の尊重といった我々の活動は、新型コロナウイルスの流行や新キャンパスの学生活動の発展
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 真也がそのぬいぐるみと出会ったのは、なんでもないような夏の日だった。彼の母からのプレゼントだった。その日が誰かの誕生日だったというわけでもなく、もしかしたら母の、本当にただの気まぐれだったのかもしれない。 自分がいくつだったのかすら、そのうち忘れてしまう。犬を模した布製のキャラクターが真也の胸にそっと抱かれる。ただ、この陽
この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 本誌「P.ink」は「総合表現サークル”P.Name”」の刊行する文芸誌、ひいては活動内容を報告する情報誌である。一月の創刊より早くも半年が経過し、活動範囲の拡大に伴って掲載内容も拡大された。それこそ、総合表現である。本誌は弊団体の特色を映す媒体として確立されつつある。ひとえに、意欲的な会員の積極的行動の賜物である。 私は
この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 OICはその位置する茨木市との連携を強みとするキャンパスである。図書館を擁するB棟には「立命館いばらきフューチャープラザ」なる如何にも弊学らしい名がついて、茨木市民に解放された施設が乗り入れている。 そのうちのひとつ「まちライブラリー」さんに今回、当会の冊子を寄贈した。 この際、当会からとある企画を打っている。当会から寄
この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 今年度の目玉企画のひとつとして、一般会員であるSiriusから提案された(マジでありがとう)企画が、#TRPGプロジェクト である。 TRPGとは、テーブル・トーク・ロール・プレイング・ゲームの略である。それそのものの詳細はググっていただけると信じる。 ロールプレイングゲームである以上は、それだけでもはや当会、特に演
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 ○ 会場は自由席だった。植民百年を誇るように全て木で出来た椅子の、いちばんいい席をひろう。フードを深く被る。座面に置かれたパンフレットをとる。使い捨て鉛筆をつまみ、アンケート欄をひらこうとした。 かたん。意味もなく、照明が落ちる。 「本日は立盟しずかのうみ中央学館、開館百周年記念オープンセミナーにお越しいただきありが
この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 この部分の記事、演劇局長自身に書かせればよかった……。後悔している。いけない。困難は分割しなければならない。いや元々そういう意味ではないけど。 当会の演劇局長といえば、誰を隠そうササキソラニンである。佐々木Ĉieloの芸名で当会の制作に多大なるはたらきをし(特に #ハロウィンプロジェクト におけるボイスドラマ「トリップ・オ
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 1 カーテンは閉め切っていた。ヘッドホンから流れる名前の知らない曲が、外界の音を遮る。現時刻が昼なのか夜なのか分からない。ただ机上のモニターと手元のタブレットだけが、真っ暗な部屋の唯一の光源だった。 ペンを動かし、背景のパースが崩れていないかを確認する。左端の描き込みに納得がいかず、その箇所をアップにする。ペンを走らせ、ま
この小説は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 五 帰りの会が終わると皆わらわらと帰りだす。私は無理やり教科書を鞄に詰めた。不器用だからか、適当な性格だからか、なかなかうまく鞄に教科書が入ってくれない。いつも押し込んでしまうので時間がかかるわりに教科書の扱いは別に丁寧ではない。今日も、皆より遅れて教室から出ようとしている。月明と害虫が教室の入り口で話している。二人で帰
この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 サークルや大学の所属に関係なく、広く詩人の方々から詩を投稿してもらう。その詩を、会内の音声化ユニットで朗読し短い動画にする。そしてそれらを一冊の詩誌にまとめ、ネットプリントで配布する。詩誌のタイトルは、古代ギリシアの詩人の著作になぞらえて「ファイノメナ」とする。 そんな、小説ふうな物語にでも出てきそうな企画を、当会では実
この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。 二〇二三年度に入って初めての試みとして実施された、立命館文芸サークル全団体による新入生合同新歓。新入生たちには「文芸サークルとは? 自分向きの団体はあるのか?」といったような情報を。我々団体には新入生にその名を知ってもらう大きな機会を。双方向にプラスになることを願っての企画でした。 合同オープンチャットの開設 合同情