あとがき

 この記事は、総合表現サークル“P.Name”会誌「P.ink」七夕号に掲載されたものである。本誌は2023年7月7日に発行され、学内で配布された。


 本誌「P.ink」は「総合表現サークル”P.Name”」の刊行する文芸誌、ひいては活動内容を報告する情報誌である。一月の創刊より早くも半年が経過し、活動範囲の拡大に伴って掲載内容も拡大された。それこそ、総合表現である。本誌は弊団体の特色を映す媒体として確立されつつある。ひとえに、意欲的な会員の積極的行動の賜物である。
 私はこのサークルの表現活動にほとんど関与できていないから、その苦労についてもほとんど知らない。だからこそ、その想像を絶する苦しみの末の成果が本誌に表れていることをとてもうれしく思う。
 人に変化を与えるのは何らかの出会いである。心の琴線に触れる、文章との——演劇との——映像との——音楽との——或いは別離との巡りあい。一つのきっかけが欠けていれば成されない逢着。そのきっかけとして本誌が作用し、何かが——人生とまでは言わないが——皆様の心の何かが変わってくれるとするならば、これほどうれしいことはないだろう。
 今この団体が活動できているのは、それに意識のリソースを割いていただける皆様がいるからである。そのことに対し、この場を借りてこの上ない感謝を申し上げたい。
 じりじり、という夏の行軍が聞こえはじめている。これを読んでいる皆様が、健康かつ健全に、そして聡明にこの夏を謳歌できますように。

P.S.
 今回の七夕号刊行に際して、私はなにもしていません。みんなお疲れ様でした。

文責:ささど(事務局 書記主任)



 どの口が言うか。どの口が。
 この冊子の記事を執筆するにあたって全体会議の議事録を何度も見返した。その議事録の全てを制作してくれているのが、誰あろう書記主任の彼である。
 今回の「P,ink」は、今年度の前半戦を一挙に振りかえるものである。当会の意思決定の場に常にいて、これを記録し、また貴重な意見をくれたばかりか、#すばる座プロジェクト では彼自身短歌を投稿している。この会誌の制作そのものにこそ関わりがなくとも、執行部の面々を除き、この会誌の内容に最も満遍なく関わっている人物が彼と言える。
 当会は発足以来、その興味関心の赴くままに活動の裾野を広げてきた。発起人である私すら、今後この団体がどこへ向かっていくのか皆目見当もつかない。しかしどう転んでいくにせよ、少なくとも私を含めた当会メンバーの、創作・表現者としての人生に少なからぬインパクトをもつような「現象」として当会は記憶に残り続けるのではないだろうか。
 私事ではあるが、私が今回掲載した小説「地球の子」は、おそらくは、私が十九歳のうちに公開する最後の小説となる。これを世に出してしまえば、次の小説家としての爪痕は「はたち」以上の人間が残したもの、ということになってしまう。
 私は自分の小説を、自分の人生の記録として考えている節がある。ちょうど、お正月にだけ帰る実家の大きな柱に、毎年、自分の身長をマークし続ける少年のような感覚で、数ヶ月に一度こういったものを世に出す。そういうライフワークをしてきた。
 この団体はそもそも、そんなふうにメンバー個々の自己実現を助けるツールとして、利用されるべくして構築されたものだ。メンバーそれぞれの、表現者としてのエゴイスティックなキャリアの踏み台。
 それでいい。それがいい。冥利に尽きる。私の建設はただの発射台だ。ロケットはきっと月日を越えて、天の川だって制覇しよう。きっとそうだ。
 それが私の願いだ。

文責:紀政諮(代表 / 文芸局長)


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