記事一覧
「Scents of Heaven」 ~ 今ここの記
「三渓園、行ってみたいですね」
「それならぜひ「観蓮会」に。早朝のハスの開花は本当に見事、こんなに香り高い花だったのかと驚きますよ」
──真夏の日本庭園を思い浮かべながら、ワインバーのカウンターで今年最後のボトルを空ける。店に年末の挨拶をと半年ぶりに自粛を押してやって来たのだ。せめてもう一本頼んで店主を喜ばせたいところだが、22時の閉店時間が切ない。
三渓園は以前に一度行ったことがある。本牧に
「ホタルノヒカリ」~ 想いに添えて
シソにも実りの季節があったとは。
大葉の鉢が急に枝を伸ばすのに驚いていたら、可愛いらしい蕾や花や実をつけた”穂ジソ”だった。
刺身のツマに付いてくる小房。こんな小さなものにも実りの季節があって、都会のベランダに秋の贈り物を届けてくれる。ささやかな律儀に感謝しつつ、さてどうやっていただいたものか?
ある日友人から”重大事件”が伝えられた。頼りにしていた近所のスーパーが近く閉店するという。友人に
「金木犀」 ~ 思い出でもないくせに
嗅覚にも得手不得手があるのだろう。
私はもしかすると“花”系の香りを感じにくいのかもしれない。
去年今頃のしっとりとした夕方、買い物帰りの住宅街で何ともいえない華やかな香りが鼻をくすぐった。突然景色が変わってしまうような芳香の先には緑の庭木と枇杷色の細かい花の集まり。後からキンモクセイの香りと知ったときには驚くよりほとんど自分の“馬鹿鼻”に呆れてしまった。
その名を知らなかったわけでは無い。秋