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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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#写真

知識は携帯するものではなく、使うもの。

知識は携帯するものではなく、使うもの。

*いつだったろうか、ふらりと立ち寄った居酒屋の、今じゃ珍しい正方形に近いテレビを見ていた。箱の中の番組は、どうやらクイズ形式でマナーを教えているそうで、各年代の芸能人が揃い、うーんと頭を悩ませている。そのなかで、もう内容は忘れてしまったが、何かしらのマナーで「これはマナー違反か?」みたいな問題が出て、それに対して各年代の芸能人全員が「マナー違反じゃありません」と解答していた。ぼくも「どこがマナー違

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写真を撮ることは、四つ葉のクローバーを見つけることと似ている。

*きのうは、京都へ写真家さんたちのトークライブに。日本全国の市区町村を旅して写真を撮った、かつおさんという若き写真家と、京都で活動するフォトグラファーの岡安さん。ぼくは写真を仕事にしているわけでもないし、ほんとうにたまに趣味で撮るくらいだけど、お話を聞きに行ったんですが、これがおもしろかった。写真って、ものすごくおもしろいし、写真家っておもしろい生き物だと思う。

「写真を撮る」ことは、どこか四つ

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シスコ・パラダイス

*きのうは、滋賀県立美術館へ塔本シスコさんの展示を観に行った。シスコさんはもうお亡くなりになられていて、ぼくも亡くなられてから名前を知った方だった。写真でしか絵を観たことがなかったけれど、気持ちのいい絵たち。なんでも、五十歳を超えてから油絵を描き始め、亡くなられる少し前までずうっと絵を描き続けていたそうだった。

展示には50点ほどの絵が飾られていて、驚いたのが、そのどれもが大きい。サイズにしてほ

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書かなきゃ、書き直せない

*ぼくは今まで取材だったり、エッセイだったりを書いてきた人間で、あんまり「創作」を書く機会がすくなかったんです。例えば「小説」みたいな物語をつくる機会はなかったし、つくろうとも思えなかった。そもそも自分が物語を書くのが苦手で、長い文章を書くのに向いていない、と思っていたのもあるんだけど。

しかしここ最近は、友人とやっている文芸部が面白くって、そこでは基本的に短い小説めいたものを書くようになった。

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いいものと出会う。見つける。

*ひょんなご縁から、ある詩人の方の詩集の編集とあとがきを担当させていただくことになりました。その詩人の方は先月若くして急逝されて、今回出版する詩集が、遺集になります。直接お会いすることは叶わなかったけれど、その方が遺した詩作品を通して、考えておられたことや書きたかったこと、思ったこと表現したかったこと伝えたかったことをどうにか汲み取ろうと考えます。いや、それ以前に本当に素晴らしい詩たちなんです。語

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もう、すでに、そこにある。

*ぼくもこう、身の丈に合わない夢をついつい見ちゃう性格だからね、ずーっと「すばらしいものを、うつくしいものを作りたいなぁ」って思ってたのよ。作りたいとばかり思っていたって、できないんだけどね。手を足を頭を心をちゃんと動かさないとできないんだけど、今回はそういう話じゃあない。ま、白川青年は(わりと今でも青年だぜ)、すばらしい、うつくしいものを(自らの手で)つくりたい(生み出したい)って思っていたんで

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クジラの凧を買いました

*ツイッターで流れてきた、クジラ型の凧が空を泳いでいる動画を見て、もうとんっでもなくワクワクしてしまった。クジラにあったことはないし、肉眼で見たこともないけれど、クジラが空を飛んでいる、もとい泳いでいる。その景色がなんとも不思議で、ファンタジーでロマンチックで良くって、すぐさま「クジラ 凧」と検索をかけては、そんなに高くないものを購入してしまった。またつまらぬものを買ってしまったのだ。

2年ほど

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言葉の土台

*いまから、もんのすごく当たり前のことを言います。もう、当たり前のことだから、きっと読んだあなたは、当たり前にびっくりしちゃうでしょう。でも、わざわざ「当たり前じゃないか!」なんて驚かないでください。当たり前のことを言いますって当たり前に書いてから、言うんだから。

「ぼくは、あなたが、好きです」ということばは、「ぼくがあなたを好き」だときちんと伝わっているからこそ、相手に届くんですよね。どう?も

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思い出は美しく持て

*友人に連れて行ってもらった店のバーテンダーが「俺も昔、好きな人と別れてストーカーまがいのことしてましたよ」と言っていた。ビジネス書に書いているようなことしか喋らない人で、二度とこの店に来ることはないだろうなと思いながらも、「まあ、わかる」と思った。ぼくもそうだ。振られた彼女や、疎遠になった人にちょっとしたストーカーまがいのことをしちゃったことはある。バレてないかもしれないし、バレてるかもしれない

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「天気屋さん」のはなし。

*これはナイショですが、じつは世界のどこかに、「天気屋さん」というのがあります。天気屋さんがなんのお店かって、そりゃ天気を売っているお店ですよ。魚屋さんは魚を売ってるし、和菓子屋さんは和菓子を売ってるのと同じです。あ、八百屋さんに八百は売ってないのでご注意くださいね。

「天気屋さん」のお仕事は、その日から1年先までの天気を売る、というお仕事です。例えば今日、11月の6日ですから、来年の11月5日

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稲刈りを終えました。

*きのう、春終わりに植えた田んぼの稲刈りをしてきましたよ。もう、筋肉痛でね。けっこう大変な作業だった。500平米ほどある田んぼを20人くらいでせっせせっせと刈っていくわけだ。ぼくらは手植え手刈り、脱穀まで手でやってるもんだから、けっこうな仕事量なんですよ。そりゃ機械使った方が楽だし、捗るし、いいよと思う。でもぼくらは農家さんじゃないもんだから、そんなふうに好き勝手やらせてもらってるわけですけどね。

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よってらっしゃいみてらっしゃい。

*発売する絵本『やさしいて』のオンラインショップが、もうすぐオープンします。今回、繋がりのある書店やお店で絵本はご購入いただけますが、基本的にはネットで注文していただくことになると思います。それを考えたときに、ただのネットで購入できるためのシステム的なサイトではなくって、「売り場」を作りたいなあと思ったんですね。「求めているもの」だけを買いに来る場所じゃくって、そこにいけばなんか色々良いものがあっ

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躊躇というゼロゼロ八秒が。

*「ためらい」ということばがあります。「躊躇」と書いて、「ちゅうちょ」とも「ためらい」とも読んだりするね。辞書を引いてみると「決めかねてぐずぐずしていること」とある。しかし、ぼくの「躊躇」のイメージはもっと瞬間的なものだ。左と右に分かれている道の真ん前でうんうん悩んでいるというより、もっと瞬間的に起こるもの。美味しそうな料理を口に運んだとき、よくよくみてみれば自分のきらいな食材が紛れていた感じ?そ

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情報とはなんぞや

*『情報の文明学』という梅棹忠夫さんの著書を読んでいると、おもしろい一文があった。「情報」と「コミュニケーション」のちがいについて述べている文で、情報とコミュニケーションは違うものなんだと論じている。

まず、情報は人と人との関係とは限らない。犬がしっぽを振っているという情報を受け取ったり、人間も命令としての情報を犬に与えていたりする。月や星という天体も情報の送り手であり、光を通して送られてくる情

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