シスコ・パラダイス

*きのうは、滋賀県立美術館へ塔本シスコさんの展示を観に行った。シスコさんはもうお亡くなりになられていて、ぼくも亡くなられてから名前を知った方だった。写真でしか絵を観たことがなかったけれど、気持ちのいい絵たち。なんでも、五十歳を超えてから油絵を描き始め、亡くなられる少し前までずうっと絵を描き続けていたそうだった。

展示には50点ほどの絵が飾られていて、驚いたのが、そのどれもが大きい。サイズにしてほとんどが1mを超えるものばかりで、まずはそれに驚いた。大きいんだけれど、いい意味で迫力がない。その理由は、どれだけ大きなキャンパスでも、描いている「それ」がすべてシスコさんの「目」に映る景色だったからだ。とてつもなく大きなものや、俯瞰の景色を描いているわけじゃなく、2mや3mもあるキャンパスに、目の前に飾られた花の絵や猫の絵が描かれている。あ、猫と描って似ているね。

そのことがなんとも気持ちよくって、等身大だなぁと思ったのだった。だって、こうしてみている側が、シスコさんの「目」になった気分になるんだもの。シスコさんの目にはこんなふうに、色鮮やかに美しく映っているんだなと思えるのが、実際に絵を観に行った感想だった。ほんっとうに、気持ちのいい絵だったんですよー。描かれているモチーフは、花や、鳥や、家族や、記憶の中の風景がほとんどで、それらはすべて、作者であるシスコさんが愛でている景色だったんだろうなぁ。絵が素晴らしいとか上手いとかその前に、そのモチーフを愛でていることが伝わるって、すごくいい絵だと思うよ。

滋賀県立美術館で、9月4日までやられているので、お近くの方はぜひとも。僕も、なんならもう一度観に行きたい気分です。


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