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令和版『桃太郎』

――今求められている桃太郎は、よく分からないものに興味を持って、それを探りにいく姿だと思ったのです。共に生きることを夢見る英雄像こそ、真の意味でのヒーローだと思ったのです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

最近は音声配信も始めました。毎週金曜日22:00から僕のお気に入りの本を紹介するライブ「FAVORITE!!」を開催しています。興味を持たれた方は是非遊びに来てください。



今回は「令和版『桃太郎』」というテーマで話していこうと思います。


📚令和版『桃太郎』

僕は毎日noteで記事を投稿している人ですが、別にブロガーでもエッセイストにもなりたいわけではなく、物語をつくって人の心を動かしたい、そして明日への活力を見出してほしい人なので、たまにはちゃんと自分の作品を紹介しますね。おかげさまで最近noteのフォロワーが500人を突破しましたし、新しく僕を知ってくれた人にも届けたいので、たまには僕の作品を紹介します。

『桃太郎』という作品です。

「え?」と思われた方、その通りでございます。日本人なら誰もが知っているであろう、あの桃太郎を書いたんです。

みなさんが知っている桃太郎といえば、桃から生まれた桃太郎が鬼ヶ島に鬼退治に行く話でしょう。しかし、この物語、桃太郎は桃から生まれなければ、鬼ヶ島に鬼退治に行くこともありません。

従来の桃太郎とは一線を画した令和版の桃太郎を書いたんです。今の時代にふさわしいヒーローを描くために。


📚今、求められている桃太郎は?

昔話というくらいですから、桃太郎は大昔から語り継がれてきた物語です。しかし、ある時期までは口伝、つまり口で語り継がれていく物語がほとんどでしたし、その時代に時代に求められる物語が変わってくるから、語り継がれていた物語に語る人の感情が乗っかってえば、物語はゆっくりと変わっていってしまうものです。

そんなこんなで実は桃太郎は驚くほどのその物語の姿かたちを変えてきた歴史があるのです。

王道ストーリーで思想やメッセージを落とし込みやすいという側面はあると思いますが、それにしても他の物語には見ない扱われ方をしてきたんです。

それが顕著なのが、明治時代以降、特に昭和前期の戦争の匂いが立ち込めるようになった頃。帝国として強い国づくりを目指していた日本政府は、教育に力を入れ始め、「桃太郎」を題材に日本国を崇め奉る風潮を育てていったのです。

戦時期には、街中に「桃太郎」のポスターが貼られるようになり、全員で鬼ヶ島こと米国に打ち勝つことを目指すよう、国民に刷り込まされていたのです。

アメリカは悪い鬼。

退治しなければいけない。

そんな物語が求められていたから、戦時期の桃太郎の物語は戦争に行く桃太郎ばかり。ちなみに日本初の長編にメーション映画は『桃太郎の海鷲』で、桃太郎を題材に真珠湾攻撃を寓話化したものです。

つまり、親しみやすく分かりやすいアニメをつくって、子どもにも戦争教育を施していたというわけです。

さて、話は現代に移りますが、今の子どもたちに従来の桃太郎を読ませてもいいのでしょうか。悪者を退治する勧善懲悪の物語でいいのでしょうか。

今、求められているのは、どんな桃太郎でしょうか?



📚共に生きることを夢見る英雄像

僕が真っ先に思いついたテーマは「共生」でした。姿かたちが違うから排除するのではなく、対話などの時間を共有する経験を通して分かり合っていく。そんな姿勢が求められているのではないでしょうか。

歴史上、よく分からないもの、得体の知れないものを、人間は「鬼」と捉えがち。しかし、今の時代に必要な考え方はそういった対象とどう上手く関わっていくかです。よく分からないものにふたをせず、得体の知れないものをそのままにせず、ちゃんと向き合うことが求められます。

この世に鬼なんて存在しなくて、いるとすれば人の心のなかにいて、換言すれば、偏見や怠惰、自分の弱さといったところでしょうか。

だから、今求められている桃太郎は、よく分からないものに興味を持って、それを探りにいく姿だと思ったのです。共に生きることを夢見る英雄像こそ、真の意味でのヒーローだと思ったのです。

そんな桃太郎を、僕が書いてみました。

他にも、かねてから桃太郎に対して疑問に思っていたことに自分なりに答えを出してみました。是非、そのへんに注目して読んでいただけると嬉しいです。



そういえば、先日、noteで知り合った宇路野朧くんが新しい表紙絵を描いてくれました。もともとnoteのサムネイル用に描いてくれたんですが、ちょっと前に「もう一度描き直したいです!」との話をいただいので、「是非!」とお願いしました。先日、その改訂版が届いたわけですが、これがなかなかステキな仕上がりなんだ。

過不足ないし、従来の桃太郎とは一線を画したタッチ。桃太郎、犬、猿、雉に加え、鬼の子もいますしね。鬼の子どもが、どのように桃太郎と関わってくるのか。気になった方は是非、以下の記事をのぞいてみてください。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20230915 横山黎


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