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効果的な「一箱本棚」を考える。

――僕が一箱本棚制度に対して少し疑問だったことが、支払う金額に対する対価があまりないんじゃないかってこと。もちろん、その本の場所に関わるためのコミュニケーションコストだし、本棚オーナーになることで生まれる所属意識に満足できるけれど、少し仕組みや打ち出し方を変えるだけでより効果のあるシステムに変わるんじゃないかなとずっと考えていたんです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「効果的な『一箱本棚』を考える。」というテーマで話していこうと思います。



📚カゼグミの朝活イベント

昨日、朝活イベントに参加してきました。株式会社カゼグミの代表の方が水戸駅の南口の方で新しく場所づくりを始めたんです。既に物件は購入済みで、内装も整い始めています。今後はさらに内装を整え、そこを会場とするイベントも充実させていくそうです。

ひょんなきっかけから朝活イベントを知るようになって、カゼグミの存在は知っていたけれど実態や代表の方の素性は知らなくて近いうちに関わりたかったこともあり、仕事を始める前に参加することにしました。

カゼグミは、コミュニティマネジメントやワークショップの設計、ソーシャルデザインの企画・運営をする会社で、端的にいえば、街づくりや場づくりを追求している会社といえます。



カゼグミに5月から正式社員となったさきさんとは、ちょっと前から知り合いで、それこそ明日の夜、20:30~21:00、お誘いを受けて一緒にインスタライブをします(笑) 何を話すのか知らないけど、面白い時間になるとは思うので、お時間ある方は是非聴きにきてください。

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さて、朝活イベントはあっという間に時間が過ぎるほど充実していて、代表の鈴木さんの熱い思いを聴くことができました。ためになる話ばかりで飽きることがなかったんですが、なかでもイベント後の帰り際に話した「一箱本棚」の話題がすごく盛り上がって、印象的でした。

「経営者やクリエイター向けの『一箱本棚』をつくろうと考えているんだよね」

それを耳にしたときに、「めっちゃ興味深いな」と思いました。面白い未来が待っている気がしたからです。ということで、昨日の出来事を受け、今回は効果的な「一箱本棚」ってどんなものなのか、僕なりに見つめる記事にしようと思います。


📚「一箱本棚」の可能性

そもそも「一箱本棚」とは、本棚で自己表現したい人向けに販売する箱型の本棚のことで、運営費に充てるために導入している私設図書館や本屋さんが目立ってきました。

はじまりは、静岡県焼津市にある「みんなの図書館さんかく」。現在は60以上の一箱本棚で構成されています。月額2000円だから掛け算するとどれくらいの売上が上がるかが分かりますね。もちろんすごく大きな運営費になるわけではないけれど、図書館や本屋が店を続けていくために必要な選択肢の一つであると考えます。

また、ここには、利用者、消費者が参加する余白をつくっているという魅力があります。「体験」や「仲間」がテーマの昨今において、その両方を満たしているシステムなんですよね。自分が本の場所をつくっているという意識が生まれるし、本や本棚をきっかけにそこに集まる人たちと交流することもできるんです。



「一箱本棚」は徐々に広がりを見せていて、その制度を採り入れている本の場所はたくさんありました。

最近話題になったものでいうと、作家の今村翔吾さんが手がけた『ほんまる』という本屋さんが神保町にオープンしましたが、そこでも本棚制度は採用されています。ホームページをさらっと調べたら、150くらいの棚主さんがいるっぽいですね。金額はプランごとに変動するようで、4850円~9350円。直木賞作家が手掛けているだけあって、価値も規模もだいぶワンランク上という印象です。



少なからず市民権を得て、今後さらに拡大していくであろう一箱本棚制度ですが、昨日の朝活イベントで鈴木さんが話していたのは、経営者やクリエイターを巻き込む運営でした。

経営者もクリエイターも本は読んでいる。そこから得た知見をもとに結果を出したり事業を成功させたりしているから手放したくないけれど、家にあるとかさばる。でも、売りたくないし、捨てたくない。だからこそ、一箱本棚をつくって、本を貸し出すアイデアを思い付いたわけです。

この経営者はこの本のこういう考え方をしてるから成功できたんだ、とか、このクリエイターのこだわりはこの本でスキルを身に付けたんだ、とか、利用者は本から得られる情報を手にすることができるんです。たとえばそれが大学生だったら、職業選択の要素のひとつになるかもしれないし、企業や経営者、クリエイターを知るきっかけにもなります。

本を通して、そういった人たちを知り、未来の仕事を生む。

経営者、クリエイター向けの一箱本棚のコンセプトを、僕はそんな風に捉えました。雇用を生むかもしれないから本棚オーナーからしたら価値を覚えるものだし、「あの本を読んで興味が湧きました!」と飛び込んでくる学生がいたらにやりとしちゃいそう。読書好きや自分で本の場所を持っている人向けではない、新しい一箱本棚の可能性だと思いました。


📚効果的な「一箱本棚」って?

経営者や企業に本棚オーナーになってもらうと何がいいかというと、そこに広告効果や社会効果があると認めて価値を見出してくれれば、少し高単価だとしても需要があること。少し変わった金額体系の一箱本棚制度が生まれる気がします。

また、一箱本棚に関わる意味が生まれるなあと思いました。もちろんどれくらい結果につながるか分からないけれど、本をきっかけに異業種の方とつながれたり、仕事が生まれたりすれば、オーナーになることに意味を見つけられます。

そう、そうなんですよ。

僕が一箱本棚制度に対して少し疑問だったことが、支払う金額に対する対価があまりないんじゃないかってこと。もちろん、その本の場所に関わるためのコミュニケーションコストだし、本棚オーナーになることで生まれる所属意識に満足できるけれど、少し仕組みや打ち出し方を変えるだけでより効果のあるシステムに変わるんじゃないかなとずっと考えていたんです。

そのひとつの答えが、経営者やクリエイターに向けた一箱本棚なのかなと、昨日の鈴木さんの話を聴いて思いました。

個人的には、今、ゲストハウスで働いているし、いつか本のあるゲストハウスをつくりたいと夢見ているから、その方向で上手く一箱本棚を絡められたら面白いなとずっと考えていました。

たとえば、ベッドごとに小さな本棚があって、そのひとつひとつにオーナーがいるという仕組みをつくる。これの何がいいかというと、宿泊者は必ず、その本棚に並ぶ本を目にするということです。1泊だけだったら1冊読み切ることはできないかもしれないけれど、「この本棚オーナーはこういう本が好きなんだ」「気になったからこれを読んでみよう」と手を伸ばすはずです。

ただ雑多に本棚が置かれているよりも認知されるし、一箱本棚を通して、本棚オーナーと宿泊者がつながることができる。メッセージカード的なものも用意して、オーナーに手紙を書けるようにすると、なおつながりを感じることができるかも……なんてことを妄想しています。

広告効果でも、社会効果でもいいから、効果的な一箱本棚の仕組みを追求してみたいなと思いました。

またあの場所には行きたいし、カゼグミの方々とも関わり続けるつもりです。とりあえず、明日はさきさんとインスタライブ。楽しんできます。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240616 横山黎



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