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おぼえてみせてやるんだ

――いつかまたもっと大きなステージで演奏する彼を見たいから、僕はあの日のことを覚えておきます。「覚えておいて」と伝えてくれた彼を、いつまでも覚えておくことにしておきます。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今回は「おぼえてみせてやるんだ」というテーマで話していこうと思います。



📚友達のアーティストが初ライブ

3月20日の夜、僕は友達のアーティストHayashi Taigaの初ライブに行ってきました。彼は307.(temporary named)というロックバンドのギターボーカルでして、自主制作したアルバムをリリースしているんです。そのアルバムを引っ提げて、今回、初ワンマンライブを開催する運びとなったわけです。

僕は307.の「読点」というが楽曲がめちゃくそ好きでして、このnoteでも度々引用しています。「過去も今も未来も地続きなんだから、どんな別れも痛みも終止符ではなくて読点である」という考え方に深く共感しまして、ドラマチックなメロディーも相まって、僕はこの曲に惚れ込んでいるのです。

先日僕が開催しました「BOOK TALK LIVE “桃太郎”」のエンディングムービーのBGMにもさせていただきました。エンディングムービーと相性のいいサウンドだし、大学卒業を間近に控えた僕からしたら「BOOK TALK LIVE “桃太郎”」も「読点」のひとつであるわけだから、申し分ない選択だと思ったのです。実際、イベントの最後をエモーショナルに彩ってくれましたし、お客さんの反応も良かったです。

そんな307.のライブが初めて開催されるということで、僕は足を運んだというわけです。場所は「mito LIGHT HOUSE」。僕はあまり詳しくありませんが、水戸では有名なライブハウスのようです。

ということで、今回は307.の初ライブの感想をつらつらと語っていこうと思います。


📚307.のライブをみつめる

僕はライブハウスで開催されるライブに行くこと自体が初めての経験だったのですが、とにかく音圧がすごい。演奏後、耳が遠くなるくらいでした。アーティストとの距離が近いから臨場感もあり、ライブハウスの魅力を知ることができました。

ただ、良くも悪くも座席がないから、長時間立ちっぱなしでいることが辛かったんですよね。ライブはオープニングアクトのアーティストの演奏を含めて3時間半ありました。そのあいだずっと立っているのはさすがに疲れます。もちろんみんなで盛り上がってクタクタになるのも魅力のひとつなのかもしれないけど、個人的には椅子があるか、あるいはもう少し時間を短縮する方がいいのかなと思いました。

内容のことをいうと、Taiga君の歌唱力はすさまじかったしアグレッシブだったし、サポートメンバーはプロの方々が集まっているので演奏スキルが卓越している。素人目にも分かるくらいにです。

途中でルーパーを使ってその場で音をつくったり、スペシャルゲストを呼んでピアノと歌だけのパフォーマンスがあったり、飽きさせない工夫が見られたのも確かで、ずっと音を楽しんでいられました。

なかでも、「読点」には圧倒されました。僕が「読点」推しだからかもしれませんが、やっぱり原典にして頂点だなという印象を受けたんですよね。「まだまだ足りない」「もっと高いステージで演奏したい」という渇きをいつか潤すために、「今日も歌います」と言って披露されました。

夢を追いかけ続ける限り、そこに終止符を打たない限り、この曲は彼の音楽人生にまさに読点として刻まれ続けるんだろうな……なんてことを思いました。


📚長時間やるから価値があるわけじゃない

さて、音楽ライブとして注目すると、そもそも「音楽ライブがどう在るべきなのか」を見つめ直す必要があるのかなとも思いました。

さっきも言ったように、椅子もなく長時間立ちっぱなしで参加するのは辛いものがあって、それだけでお客さんの満足度を下げてしまうおそれがあるんですよね。「いい汗かいたね」といえるような楽しい疲れならいいけど、正直、307.のライブはそうではなかった。

1時間も2時間も演奏し続けるのは大変だけれど、お客さんがそれを楽しみ続けるのも大変なんですよね。また、現代人は時間の価値を重んじているから、費用対効果を求めてしまう気がして、割いてもらう時間が長ければ長いほど、それだけの価値を生み出す難易度も上がってくるものです。

さっきちらっと触れた僕が開催した「BOOK TALK LIVE “桃太郎”」のイベントも同じことがいえます。「桃太郎」の歴史や秘密について1時間かけて語るという内容だったんですが、あれは最初から1時間以上の時間を割いてもらうのは満足度を下げてしまうなと思い、はじめからどうにか1時間を目安にして話の構成を考えていたんです。そのなかでいろいろ飽きさせない工夫も施したんですが、やっぱり「話が長い」から満足度を下げてしまっている感は否めなかったんです。

もろもろのことを踏まえると、音楽ライブも長時間かけて表現するより短時間で伝えたいことを伝える、お客さんの満足度を上げるという勝負に出た方がいいのかもしれません。

以前、行きつけのクラフトビールバーに行って、流れで僕がギターで「にんげんっていいな」を弾き語ったときがあったんですが、そのとき、その場にいたお客さんも入ってきて、最終的にみんなで盛り上がったという出来事があったんですね。

もちろんお金は取っていないし、イベントですらなかったけれど、歌も演奏も上手くない僕でも少なからず「みんなで音を楽しむ場」を提供できたので、このあたりにヒントがあるかもしれません。

プロのアーティストは長時間のライブでもお客さんを楽しませているし、お客さんの多くはそこに価値を感じているので、そうなるまで自分が突き抜けることももちろん選択肢のひとつですが、「音楽でお客さんを楽しませる人」をアーティストとするならば、他の選択肢もあるよねという話でした。


📚おぼえてみせてやるんだ

偉そうに音楽ライブ論を語ってきましたが、307.の音楽やパフォーマンスはプロのそれらに遜色ないものであると僕は思ったし、いつかきっと、もっと大きなステージでもっと多くの人の心を揺さぶるアーティストであると信じています。

Taiga君はアンコールの曲の前のMCで、「覚えていてください」と話しました。まだまだ叶えてないことがあるから、これからも音楽を続けていくし、さらなるステージを夢見て努力していくから、いつかまた会う日まで覚えておいてほしいと伝えていたのです。

そんなMCを前置きに披露された最後の曲「Close Song」は、「おぼえていて」という歌詞で結んでいました。僕はそのとき、彼に心のなかで伝えました。

いつだって
苦しみで終わらせないように
忘れたって 僕はね
憶えて見せてやるんだ
いつかまた

307.(temporary named)「読点」

いつかまたもっと大きなステージで演奏する彼を見たいから、僕はあの日のことを覚えておきます。「覚えておいて」と伝えてくれた彼を、いつまでも覚えておくことにしておきます。

だから、僕のことも、覚えておいてほしい。Taiga君にも、今まで出逢ってくれた仲間にも、このnoteを読んでくれているあなたにも、覚えておいてほしい。いつか作家として大成する日まで、僕のことを忘れないでいてほしい。

それまで、Taiga君が「読点」を歌い続けるように、僕はこのnoteで読点を打つように、言葉を紡ぎ続けていこうと思います。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240323 横山黎



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