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努力だけじゃ叶えられない夢がある

――何を言おうと負け犬の遠吠えで、結果を出せなかった僕に発言権はありません。自分の選択が間違っていたから、負けてしまったのです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「ビブリオバトルの敗因を分析する」というテーマで話していこうと思います。


📚ビブリオバトル準決勝敗退


昨日、世界中の恋人たちが甘いクリスマスを過ごす中、僕は「第13回ビブリオバトルファイナルステージin浦安」に参加していました。本が恋人といわんばかりのスケジュールです。


ビブリオバトルとは、自分のおすすめの本を5分間で紹介する書評合戦のことです。オーディエンスは発表を聴いて1番読みたいと思った本に票を入れ、最も多く票を集めた本がチャンプ本となるわけです。

僕は高校時代から参加していて、高2のときには東京都代表として全国大会に出場することができました。結果は1回戦敗退という悔しいもので、ため息を夜空に溶かした帰り道を思い出します。

大学生になってからも燻っていた僕は、高2のリベンジを果たそうと、今年ビブリオバトルに挑戦することにしました。

相棒にしたのは小説『Message』、僕が書いた本です。自分の本を自分で紹介するという破天荒なことをやってやりました。前代未聞の大事件です。

しかし、僕はとても理にかなっていると思ったんです。作者は自分の本を、1人でも多くの人に読んで欲しい、おすすめしたいという気持ちが強いわけじゃないですか。気持ちの上で僕は誰にも負けないと確信したのです。

案の定、大学大会、地区大会で好成績を収め、全国の大舞台に立つことができたのです。


しかし、結果は準決勝敗退。またも夢を叶えることはできませんでした。リベンジを果たすことができませんでした。奇跡を起こすことができませんでした。

大会を終え、僕は敗因を分析しました。そのとき僕は思ったのです。

「努力だけじゃ叶えられない夢がある」


📚圧倒的な1冊には勝てない


12月に入ってから、僕の頭の中はビブリオバトルのことばかりで、隙間時間あれば練習を重ねていました。友達やnoteのメンバーシップのメンバーに聴いてもらって、意見を仰いだこともありました。その1つ1つの準備が、僕の発表原稿を、パフォーマンスをより良いものにしてくれました。

本番直前まで原稿を手直しして、プレゼンの勉強をして、著名人の公演動画を観て、良い所を盗みました。

努力はしたんです。本大会に出場したバトラーの誰よりも準備はしたんだけれど、そして僕のプレゼンが誰よりも良かったと思ったんだけれど、負けたんです。

圧倒的な1冊の前では、努力は無力でした。


準決勝は5グループ5人ずつで勝負が行われ、各グループのチャンプ本が決勝へと進んでいきます。僕のグループで決勝に行った本は、『失われたドーナツの穴を求めて』(以下『ドーナツ』)でした。

僕は投票時のオーディエンスの様子を知りませんが、友達いわく2番目に票を集めていたのは僕の本だったので、僕は『ドーナツ』に負けたんです。

僕のグループの発表が全員終わって、本が全部並んだとき、僕の本が負けるなら『ドーナツ』だけだなと思ったくらい、本当に圧倒的な本だったんです。


これどんな本かっていうと、ドーナツの穴を様々な学問的観点で論じていくものです。ドーナツの穴はいつ生まれたのか、歴史的観点で論じたり、ドーナツの穴は経済的価値はあるのか、経済的観点で論じたり、そもそもドーナツの穴は存在するのか、哲学的観点で論じたりするんです。

これは発表者も言っていましたが、もうね、目次だけ眺めていても面白いくらいに面白い本なんですよ。つまり、『ドーナツ』はビブリオバトルに向いている本なのです。悪くいえば、誰が紹介してもそこそこ結果の出せる本なのです。

実際、『ドーナツ』の発表した子のパフォーマンスは良いものとはいえませんでした。聞き取りにくい部分があったし、抑揚もなかった。脱力系のスタイルで、それが持ち味ではあるんだけれども、『ドーナツ』の魅力に依存していると言わざるを得ません。

ちなみにですが、僕が高2のとき全国大会に出場しましたが、決勝戦で紹介された本の中にも、『ドーナツ』はありました。それくらい、ビブリオバトルに打ってつけの本というわけです。


圧倒的な1冊の前では、どんな努力も滲みます。

小説『Message』はどちらかといえばビブリオバトルに向いている本です。作者自身が発表するというインパクトがあるし、犯人の名前じゃなくて伝えたいことを伝えるダイイングメッセージを実現したという個性があるし、勝てない本ではないんです。実際、全国大会まで来ましたから。

でも、『ドーナツ』には負けます。

どれだけ準備しようと、2位止まりなのです。


📚努力だけじゃ叶えられない夢がある


自分の本を紹介するという大勝負に出たことに後悔はありません。ビブリオバトルのご縁で、まだ無名の僕の本が本屋さんに並んだし、大学図書館に置かせてもらったし、大学広報室からインタビューを受けました。

そういえば、昨日、茨城新聞に小説『Message』についての記事が載りました。新聞社の方からお話を頂けたのも、この度のビブリオバトルの挑戦があったからこそです。


でも、自分の本を紹介して全国制覇するという大きな夢は潰えてしまいました。『ドーナツ』に負けたとき、悔しかったけど、清々しいものがありました。実際、この本になら負けるかもしれないと思ってしまったし。

グループの組み合わせ次第では決勝に行けただろうし、『Message』の発表が2番で『ドーナツ』の発表が3番だったので発表順が違ったら決勝進出の可能性は高まったかもしれません。
#やっぱり後にやった方が記憶に残る
#ここ最近1番か2番
#とことん運が悪い


しかし、何を言おうと負け犬の遠吠えで、結果を出せなかった僕に発言権はありません。自分の選択が間違っていたから、負けてしまったのです。


投票するのは会場にいるオーディエンスなので評価の基準はブレブレだし、運や人の好みによって変わるものなので、ビブリオバトルに必勝法はありません。しかし、「選書」の段階で勝負は始まっているんです。

何の本を選ぶのか。それで8割くらい決まるといっても過言ではないんです。ビブリオバトルに向いている本を選べば、あとはただ伝えるだけ。

実際、僕が高2のときに紹介した『54字の物語』という本も、選んだ時点で勝ったなと確信しました。収録される全ての物語が54字でできている、その構成を伝えただけで「読みたい」と思ってしまうじゃないですか。そういうことです。

もちろん、全国制覇を狙うならプレゼン力を鍛えるべきだけど、そこは努力でなんとかなります。実際、友達からも家族からも、プレゼン力では勝っていたと言ってくれました。当たり前だ、200回くらい練習したんだから。

でも、努力だけではだめで、そもそもどんな本を選ぶのか、それが勝敗に影響するのです。


僕は来年大学4年生なので、全国大学ビブリオバトルに出場できる最後の年になります。院に行く予定もありませんし。ということで、ラストイヤーでちゃんと結果を出したいわけです。

今までの経験を踏まえて、圧倒的な本を選んで、誰よりも努力して、来年、全国制覇の夢を叶えにいきます。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

横山黎 20221226




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