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運命と私

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運命には逆らえない。運命に翻弄されながら生きた女性の一生。
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2020年5月の記事一覧

海外(世界と私28)

海外(世界と私28)

「また昨日酔っぱらって変なことしちゃったよね!
昨日のことは忘れてね。」

「えっ!・・・はい・・・」

忘れられる訳がない。

年内最後の仕事だったのに、
私は仕事に集中出来なかった。

もやもやした気持ちのまま、
お正月休みに入った。

今年のお正月はゆっくりまったりと過ごすことが出来た。

でも私の頭のすみにはいつも南さんがいた。

私は南さんが好きなのかもしれない、
でも南さんと寝たいとは

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欲情(世界と私27)

欲情(世界と私27)

私はお風呂から上がり、
寝る準備をしてベッドに滑りこんだ。

祐一が私を後ろから抱きしめた。

「いい匂いがする。」

私は振り返り祐一にキスをした。

祐一は驚いていたけど、
私たちは無言のまま久し振りのセックスをした。

私は南さんとのキスで興奮していたのかもしれない。

私にとって南さんってなんだろう?
上司?友達?どんな言葉も当てはまらない、
私にとって南さんは特別な存在だ。

それは恋と

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お酒と疲れ(世界と私26 )

お酒と疲れ(世界と私26 )

自分でもわからなかった。
なんで抵抗しなかったのか?

沈黙が続いた。

その時、
ギャラリーのドアを叩く音した。

私はドアをゆっくり開けると祐一が立っていた。

「祐一!」

「もう帰るところだった?雨も降ってるし、
遅いから迎えに来た。」

外を見ると祐一の車が止まったいた。

「こんばんは。」

祐一は南さんに挨拶をした。

「こんばんは、はじめまして南です、
遅くまですみません、
すっか

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戸惑い(世界と私25)

私たちはチーズをつまみに飲み始めた。

外は雨が降っていた。

雨の音と雨の匂いがなぜか心地良かった。

そして私たちはまた酔っていた。

「今何時?」

時計を見るともう10時近かった。

「もうすぐ10時です。」

シャンパン1本では足りなくて、
コンビニで安い赤ワインを買って飲んだので、
私たちはかなり酔っていた。

「そろそろ帰りましょう。」

私はテーブルを片付けて、
帰る準備を始めた。

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運命(世界と私24)

翌日、私はギャラリーに向かった。

1年前、なぜこの裏道を通ろうと思ったのか?
これも運命の流れなんだろうか?
あれから1年か、早かったな、
楽しい時間は早く過ぎるのね・・・

「子供」

わかっていたけど、
私はそこから目をそむけていた。

年齢的にも逃げてはいられない歳になった。

「おはよう!」

後ろから声を掛けられ驚いて振り向くと南さんが立っていた。

「どうしたの、顔色悪くない?
具合

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子供(世界と私23)

子供(世界と私23)

クリスマスイブの夜。

予約しておいたレストランで、
コース料理を食べた。
落ち着いた雰囲気のお店で、
料理もおいしかった。

ただ、祐一は何か落ち着かない様子だった。

「どうしたの?おいしくない?」

「いや、美味しいよ・・・・話しがあるんだ!」

そう言って祐一はフォークを置いて、
座り直して背筋を伸ばした。

「どうしたの?」

「オレ・・・・子どもが欲しい。」

「えっ?」

「わかって

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1年(世界と私22)

1年(世界と私22)

2月も終わりに近づき、
私たち夫婦に普通の穏やかな生活が戻って来た。

私は新婚生活より仕事が楽しかった。

祐一は優しく、週末は外食したり、
ドライブに行ったりと、
毎日が穏やかで普通の生活をしていた。

でも私はその普通だけでは物足りなかったのだ。

仕事は楽しく、一緒に働く仲間もみんな良い人だった、
1月に新年会と私の歓迎会をみんなの行きつけの居酒屋さんで開いてくれたその飲み会の後からみんな

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時は流れる(世界と私21)

時は流れる(世界と私21)

私たちはパスタを食べて事務所に帰って来た。

南さんに指示された仕事が意外と早く終わり、
帰ろうとしたその時、
南さんと合田さんが帰って来た。

「みづき帰るの?お疲れ様。
じゃ年明け5日からお願いね。」

「はい、わかりました。」

「あっ!そうだこれあげる。」

そう言って南さんは私に、
ターコイズブルーの刺繍糸で編んである、
ブレスレットをくれた。

「かわいい!いいんですか?」

「うん、

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ランチ(世界と私20)

ランチ(世界と私20)

私は久し振りに仕事が出来て嬉しかった。

南さんと合田さんは出かけて、
私は残った人と一緒にランチに行くことになった。

正直慣れない人とのランチは苦手だったけど、
仕方がない。

事務所の近くのカフェのランチをみんなで食べることになった。

全員が同じパスタランチを注文した。

そして自己紹介タイムになった。

「私は田中です。
南とは長い付き合いで、忙しい時だけ手伝ってる、
パートのおばさんっ

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久し振り(世界と私19)

いつも通りの朝。

祐一を送り出して、
私はギャラリーに向かった。

「おはようございます。」

「おはよう!」

奥から南さんが出て来た。

「昨日は大丈夫でしたか?」

「うん、あんまり記憶が無いけど、
朝起きたら自分のベッドで寝てたから大丈夫!」

「かなり酔ってたから家に帰れたか心配だったんですよ。」

「ごめん!何も食べないで飲んでたから、
すっかり酔っちゃった。みづきはお酒強いんだね!

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不思議な感覚(世界と私18)

不思議な感覚(世界と私18)

南さんは私にキスをした。

女の人とキスをするのは初めてだった。

南さんは私を強く抱きしめた。
細い体のどこにこんな力があるのか?

私は抵抗することが出来なくて、
そのまま動けなかった。

南さんは私からフワッと離れると、
ふらふらと通りに歩いて行った。

私は南さんをタクシーに乗せて、
冬の寒空を歩いて帰った。

家に帰りお風呂に入り、
部屋の明かりを消して、
マンションでは基本使用禁止って

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キス(世界と私17)

キス(世界と私17)

私たちはお腹が痛くなるほど笑った。

理由はわからないけど、
その時の空気がおもしろかった。

小さなテーブルに細いシャンパングラスを並べて、
私たちは飲み始めた。

写真のこと、仕事のことから、
今の社会のことから、
人の価値感のことまで、
色々な話しをした。

なぜか自分たちの過去や、
プライベートな話しはしなかった。

「みづきの話って本当に楽しい!」

「南さんの話のほうがおもしろいですよ

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シャンパン(世界と私16)

シャンパン(世界と私16)

展示会2日目。
今日のお客さんは南さんの知り合いが多かった、
南さんは忙しそうに色々な人と話していた。

今日は手伝いの人が来ないので、
私は最後まで残ることにした。

祐一には今日は遅くなると伝えてあった。

南さんは19時にギャラリーを閉めた。

「お疲れ様、疲れたね!」

「お疲れさまです、
今日は大変そうでしたね。」

「うん、大変だったけど、
お世話になった人がたくさん来てくれたから、

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違い(世界と私15)

違い(世界と私15)

私は昨日より早くギャラリーに向かった。

南さんは昨日と違い、
今日は黒いパンツスーツだった、
胸元が開いたインナーを着ていて、
南さんの白い首にターコイズブルーの、
ネックレスが際立っていた。

「おはよう!早いね!」

「はい、昨日バタバタしたので、
お客さんが来る前の芳名帳の整理をしようと思って!」

「そうなのありがとう!」

「今、紅茶いれようと思ってて、
みづきさんも飲む?」

「はい

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