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余談的小売文化論

「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手が自分なりの正解を見出すための一助になる… もっと読む
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#メディア

これから「支持される雑誌」に必要なこと

これから「支持される雑誌」に必要なこと

外出自粛によって軒並み店舗が閉まり、出勤する人も大幅に減少した。
このあおりを強く受けているのがファッション誌である。

大口の販売チャネルである書店が閉店していることに加え、人と会う機会が減ったことでおしゃれへの関心も低下。
販売どころか次号に向けた撮影もままならず、苦肉の策として6・7月を合併号にする雑誌も出てきた。
ファッションブランドも軒並みダメージを受けているため、今後広告もガクッと減る

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誰もがインフルエンサーたりえる時代に

誰もがインフルエンサーたりえる時代に

メディアが戦争を「終わらせた」事例として、語り継がれる事件がある。

ベトナム戦争をめぐる国家機密文書をニューヨーク・タイムズとワシントンポストの二紙が掲載し、戦争終結へと世論を動かした「ペンタゴン・ペーパーズ」だ。

スティーブン・スピルバーグがメガホンをとり、メリル・ストリープ主演で映画化もされた。

映画の中で、メリル・ストリープ演じるワシントンポストの社主・ケイは究極の決断を迫られる。

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雑誌は時代の変化を写す鏡 #女性誌研究

雑誌は時代の変化を写す鏡 #女性誌研究

土曜日は「女性誌研究」をテーマにしたイベントを開催しました。

15年近く女性誌を定点観測してきた女性誌オタクの私と、Web編集者として長年コンテンツを作ってこられた桜川さん、食トレンド研究家の渥美さんとともにひたすら『雑誌』をテーマに語り続けた4時間(!)のイベント。

それでも個人的にはまだまだ語りたいことがたくさんあって、時間が足りないくらいでした!!!

今回お二人それぞれとお話しして改め

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ビジネス視点で見る女性誌の読み方

ビジネス視点で見る女性誌の読み方

今週末はいよいよ『ビジネス視点で読み解く女性誌のイマ』の開催日。

当日は、それぞれ具体的にこんな質問項目をもとにトークを展開していきたいと考えています。(絶賛資料作成中!)

第一部:「ビジネスパーソン的雑誌の読み方と雑誌の未来」
①編集的雑誌の読み方
・雑誌をチェックするタイミング
・注目している雑誌
・ファンの多い雑誌は何が違う?
・雑誌の知識を仕事に生かすコツ
②雑誌から読み解く最近のトレ

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「年齢不詳系雑誌」が増えている理由

「年齢不詳系雑誌」が増えている理由

先週書いた『紙とWebにおける決定的な違い』に続き、またもや雑誌の話。

最近雑誌を見ていると、対象年齢が広くなり、年齢という境界が曖昧になってきたように感じる。

この傾向は『"ワンテーマ"の時代』を書いた3年前から感じていたことではあるけれど、雑誌を読んだ感想を毎月言語化するようになってさらに確信を深めたことでもある。

中でも、変化をもっとも強く感じたのがminaだ。

minaはもともとカ

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紙とWebにおける決定的な違い

紙とWebにおける決定的な違い

高校時代から雑誌を読むのが好きだったのだけど、ここ最近は消費文化総研の定例で『雑誌を深める会』を毎月開催していることもあって、いち消費者としてだけではなくビジネス視点で雑誌を読むことも増えた。

その中でも、VERYは毎号気づきと発見がある、という話はこれまでにもnoteやTwitterで散々書いてきた。

VERYのすごさは他にもいろいろあるのだけど、直近半年のVERYを読んでいて、『これは紙だ

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孤独感と仮想敵

孤独感と仮想敵

ずっと見よう見ようと思っていたドラマ『フェイクニュース』をやっと全部見終わったのだけど、個人的に今年マイベストドラマといっても過言ではないくらい面白かった。

フェイクニュースは誰か1人の悪者が作り出しているわけではなく、無責任で利己的な私たち1人1人がそこに加担していること。

現実世界で証拠とされるようなものも、いくらでも捏造が可能だということ。

そして何より、『普通の人』がちょっとした出来

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私は「伝えるためにつくる」人。

私は「伝えるためにつくる」人。

よく受ける質問のひとつに『書くモチベーションは何ですか』がある。

今でこそnoteを毎日は書かなくなったけれど、書きたいことはたくさんあって、時間さえあれば今でも本当は毎日書きたいと思っている。

でもそれは私にとって『表現』という感覚ではないし、文才があると思ったこともない。

自分が作ったものを『作品』だと思ったことは、一度もない。

じゃあ何のために書いているのかというと、私はとにかく自分

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これからのコンテンツは「短編集」になっていく

これからのコンテンツは「短編集」になっていく

私は以前からドラマと消費行動の相関性に興味を持っているのですが、最近朝ドラにハマったことで改めて『15分』という尺の絶妙さを感じています。

そして今後動画の再生端末に占めるスマホの割合が高くなっていく中で、この『15分』という尺はひとつのフォーマットになっていくのではないかなと。

ちょうど半年ほど前も同じようなことを考えてつぶやいたりnoteに書いたりしたのですが、1時間でもなく30分でもなく

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2018年は「インフルエンサー新時代」の幕開けだった

先日から本田翼さんのYoutubeチャンネルが話題ですが、私はこのニュースを見て、2018年はエンタメビジネスが大きく変わった年として記憶されるのだろうなと思いました。

最近NewsPicksでものんさんや柴咲コウさん、中田敦彦などこれまでの芸能人の枠を超えた取り組みをしている方のインタビュー記事を読むことが多く、エンタメビジネスの変化を感じていた中でのニュースだったのでよりそう感じたのかもしれ

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個人としてのメディアとの付き合い方

個人としてのメディアとの付き合い方

これからは「個」の時代だと叫ばれて久しく、個のブランディングについて様々なところで語られるようになりました。

私自身もnoteやTwitterでの発信をきっかけに様々な機会をいただいて今があるので、マイメディアで発信し続けることの重要性を強く感じています。

ただ、個人的に今はまだ個のブランド化が過渡期にあると感じるのは、個と社会の関係性がSNSやオウンドメディアとしてのブログといった自分がコン

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それはもはや、コマースというよりメディアと呼ぶにふさわしいのかもしれない Net-A-Porter #リテールスタートアップ研究

それはもはや、コマースというよりメディアと呼ぶにふさわしいのかもしれない Net-A-Porter #リテールスタートアップ研究

すっかり更新が滞っていましたが、久しぶりのリテールスタートアップ研究のコーナーです!

今回は、もはや研究するまでもないほど有名なNet-A-Porter。

2015年にYOOXと合併し、グローバルで見ても今やFarfetchと双璧をなす巨大ラグジュアリーECになりました。

2016年のオンライン売上でラグジュアリーECトップの座に躍り出たYNAP(YOOX&Net-A-Porter)について

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スマートスピーカー・Sonosが表現する未来のライフスタイル #リテールスタートアップ研究

スマートスピーカー・Sonosが表現する未来のライフスタイル #リテールスタートアップ研究

今週も気になったリテールスタートアップを取り上げていきます!

ちょうど最近「これからの小売を考える上で必読の書になる!」と紹介した本があるのですが、その中で紹介されていて特に気になったのがスマートスピーカーのSonosでした。

(表紙画像: sonos blog)

2002年に創業したSonosはもともとワイヤレススピーカーとして人気が高く、Apple Storeでも取り扱われるほどスタイリ

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これからの小売を考える上での必読書に出会った話。

これからの小売を考える上での必読書に出会った話。

意気揚々と「店舗メディアの作り方」という月額マガジンをはじめたのですが、うっかりさんなので単品マガジンで作ってしまい、落ち込んだりもしたけれど私は元気です。(すでに購入してくださった方には別途ご案内のご連絡します!)

まあミスしてしまったのは仕方ないので、気を取り直してマガジンはじめたらすぐに書こう!と思っていたことを書きます!

それは数日前のこと。

NewsPicks編集部のまわりをうろう

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