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余談的小売文化論

「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手が自分なりの正解を見出すための一助になる… もっと読む
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2018年2月の記事一覧

日本が「世界のデパート」を目指すべき理由

その国の特徴を表すとき、よく「世界の◯◯」という言い方をします。

中国であれば「世界の工場」、アメリカであれば「世界の警察」、古くはイギリスが「世界の銀行」と呼ばれ、今はスイスがそう呼ばれているように、グローバルで見たときにどの分野で一番秀でているのかが端的に理解できる表現だと思います。

日本が今現在他国から何と呼ばれているのかはよくわからないのですが、今後に関して言えば私は「世界のデパート」

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本当に全員が努力すべきなのか?

本当に全員が努力すべきなのか?

先日、大変尊敬しているC先輩にお会いしたところ

「有料記事よかった!ああいうのをいっぱい書いた方がいい!」

とアドバイスいただいたので、調子に乗って今日も「無料で公開するにはギリギリのネタ」を書いてみたいと思います。

この記事、あんまり小売関係ないけどな…!

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成功に必要なのは、綿密な設計よりも機動的な組織

成功に必要なのは、綿密な設計よりも機動的な組織

Twitterではギャンギャン言っていましたが、先週今年はじめの大仕事を無事に終えることができました。

手前味噌ながらステークホルダーのみなさまからお褒めの言葉をいただき、自分なりの目標も達成できたので、なんとか及第点は取れたかなとホッと胸をなでおろした週末でした。

とはいえ至らない点も多々あり、突貫だった分あらゆる人に迷惑をかけた感も否めないプロジェクトだったのでよりブラッシュアップするため

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一足の靴が出来上がるのは、奇跡に近い。歩きやすく美しいハイヒールを作る「gauge(ゲージ)」の挑戦 #ブランドインタビューリレー

一足の靴が出来上がるのは、奇跡に近い。歩きやすく美しいハイヒールを作る「gauge(ゲージ)」の挑戦 #ブランドインタビューリレー

#ブランドインタビューリレーは 、「新しい作り方・届け方」を模索するブランドにインタビューし、これからの小売のあり方を考察していくシリーズです。

今回は、オーダーハイヒールブランド・「gauge(ゲージ)」を手がける五十石さんにお話を伺いました。

<目次>
1.普通のOLから木型師へ。女性木型師ならではの「ハイヒール」への想い
2.高いリピート率、複数買い。キャリア女性に「gauge」がウケる理

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化粧品が洋服よりも根強く売れる理由

化粧品が洋服よりも根強く売れる理由

少し前に出た「化粧品、婦人服上回る 17年世帯支出が逆転へ」というニュースを友人に教えてもらってから、このニュースについて私なりにあれこれ考えを巡らせてきました。

総務省が発表した家計調査によれば、1990年には63,500円だった婦人服の年間支出額は、2017年にはなんと26,803円まで減少。

対して、化粧品は1990年からずっと28,000円〜3万円を維持し続け、2017年にはバブル期よ

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もし私が今もう一度、就活をするならば。

TwitterのDMを解放しているのでいろんなご連絡をいただくのですが(お仕事のご依頼以外は返せていないものが大半でごめんなさい!)、そろそろ就活の時期に差しかかってきたからか、進路相談のDMをいただく機会が増えてきました。

さすがに1人1人にお返事をするのは時間的に難しいので、今回はいただいたご相談にまとめて答えるべく、「もし私が今もう一度就活をするなら」という話を書きたいと思います。

私も

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サブスクリプションの未来と、人は何にお金を払うのかということ

ここ数年アメリカを中心に盛り上がっていたサブスクリプションモデルも、最近は徐々に落ち着いてきて、サブスクリプションに向いている商材と向かない商材の明暗が分かれてきたように思います。

「毎月商品を送る」というモデルの走りであるコスメサンプルのサブスクリプション・GLOSSYBOXは紆余曲折の末、日本での事業は@コスメに買収されBLOOMBOXという名前で成長を目指し、サブスクリプションビジネスで必

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うっかりさんの、生存戦略。

うっかりさんの、生存戦略。

今のフォーマットに変えてから「新・小売概論」を購読してくださる方が急激に増えたので、たまには小売の話とは視点を変えて、マガジン購読者しか読めない記事も書いていこうかなと思います。

公に書くにはまだ思考が固まっていないこととか、オブラートに包まずに書きたいこととか(!)をゆるゆる書いていきます。

今回は私がよくいろんな人に話している、うっかりならではの生存戦略について。

これ、一緒に仕事してる

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「価格」へのプライド

「価格」へのプライド

私が好んで読む雑誌のひとつに、「自遊人」があります。

特に今月の「これからのリゾート。」という特集は、私自身「地方発のラグジュアリー」や「知性ある消費」への関心が高いこともあって、非常に学びの多い号でした。

個人的に特に面白かったのは、トラベルジャーナリストの寺田直子さんに、編集長の岩佐さんが「これからのリゾート」について聞くロングインタビュー。

「 "リゾート"と "バケーション"の違いは

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「服育」の重要性

「服育」の重要性

先週から大きな話題になっている泰明小学校のアルマーニ制服の一件。

個人的には、ここまでバッシングされることに驚きが隠せませんでした。

今回の一件に関しては様々な立場から多様な意見はあると思いますが、ラグジュアリーブランドのフロアからキャリアをスタートさせた私としては、日本人にとってラグジュアリーブランドのロゴはいまだに「自分の権威を誇示するためのツール」であり、「享楽的軽薄なもの」というイメー

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「優位性」の誘惑と落とし穴

「優位性」の誘惑と落とし穴

一般的に、競争の少ない状態を作ることは戦略の基本だと言われています。

ピーター・ティールは、「ZERO to ONE」の中で再三「独占せよ」と主張しました。

すでに競争が激化している市場で戦うのではなく、他の要素をかけあわせたりして、オンリーワンの位置を築くこと。

企業であれ、個人であれ、「戦わずして勝つ」ということはすべての基本なのです。

しかし、戦いの少ない市場を作り上げることは、裏を

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責任とは、説明しつづけること

責任とは、説明しつづけること

「リーダーとは責任をとる者」という表現は、あらゆるところで目にします。

しかし、具体的に「責任をとる」とはどういうことなのでしょうか。

私はこれまでずっと、非難を正面から受け止めることだと思ってきました。

上のせいにも下のせいにもせず、自分の誤りのせいで起きたことだと自覚し、頭をさげることだと。

でも最近、ただ自分が悪いというだけでは不十分なのではないかと思うようになりました。

例えば、

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高齢化する社会と、「過ごす店舗」のビジネスモデル

高齢化する社会と、「過ごす店舗」のビジネスモデル

先日開催したNewsPicksアカデミアのイベント「新・小売概論〜“ZOZOSUIT以降“の実店舗の未来」の最後の方で、今後渋谷にオープン予定の商業施設についての話題がでました。

そこで60代以上をターゲットにした施設が作られる予定という話を聞いたのですが、たしかに今後高齢者向けの店舗は需要が大きく伸びていくはずです。

高齢化によるターゲット層の人口増は当然ですが、さらに暇を持て余して「居場所

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