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フィリップ・K・ディック『ザップ・ガン』感想
いきなりですが、以下に本文からの引用をします。小説の冒頭で、主人公がロボットのレポーターに付きまとわれている場面。
あたかも昨今のAIブームを予見していたかのようですね。
さすがディック大先生だ……と満足げにうなずきながらこの本を読み始めたんですが、内容はどうもヘンテコな方のディック作品。終盤になってからの話の転がり具合は果たしてコントロールされたものなのだろうか?
それでも、楽しく読めました。
『君たちはどう生きるか』感想
ジブリ最新作、『君たちはどう生きるか』を見てきました。
早起きして早い電車に乗って、朝一番の上映を見てきましたよ。
美しい自然に囲まれたお屋敷……と、嫌な人々
なんなら、後半になってからの異世界よりも、この田舎は美しかった。深い森、湖沼、山々……そしてそんな自然の中に、実に立派なお屋敷がある。デカい屋敷っていうのは、見るだけでなんとなく心が嬉しくなる。一方で、静まりかえっている印象もあるが、な
フィリップ・K・ディック『時は乱れて』感想
昼飯も食べ終わって、コーヒー飲んで歯も磨いて、いまから着手すれば今日中には読み終わるかな……と読み始めた本書だけれど、あまりに面白くて手が止まらずまだ明るいうちに読み終わってしまった!
面白い、けど……!第二次世界大戦後の古き良きアメリカの田舎町、スーパーマーケットに務める男とその妻子、同居している妻の兄と、頻繁に訪ねてくるお隣の若い夫婦(ヨシリンとミッチーか?)がなんとなーく生活をしている描写
フィリップ・K・ディック『宇宙の眼』感想
連休中に本を読む。買ったまま放置していたフィリップ・K・ディックの長編小説。(しかし、これを1冊読んだということは、この世界でまだ読んでいないディックの小説が1冊減ってしまったということでもあるな……という感慨もあり)
・トンデモ神学の世界加速器の事故に巻き込まれた被害者たちが目を覚ますと、そこは元の世界と似ているが、何かが決定的に異なっている世界だった。
悪しき言葉を口にすると空中に突如出現し
フィリップ・K・ディック『傍観者』感想
ハゲだとか体臭だとか、なんとかかんとか。
企業は商品を売るために、とにかく身体的なコンプレックスを煽る広告を流すわけだけど、それを真に受けた人間がついにはその馬鹿らしい観念を政治的信念としてしまった。清潔党の誕生である。いつしか多数派になった清潔党は、清潔でないとみなして人間への弾圧を開始する……
この小説が面白いのは、じゃあ主人公は清潔党に反抗するかというと、そういうわけでもないところ。反対勢