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創作アドバイス

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2020年5月の記事一覧

書く時間よりも、直す時間をたくさん取ること|「R-18文学賞」 西山奈々子

書く時間よりも、直す時間をたくさん取ること|「R-18文学賞」 西山奈々子

 吉川トリコ、宮木あや子、山内マリコ、窪美澄、彩瀬まる――著作が映像化されたり、直木賞候補に名前を連ねたりと話題を集めるこれらの女性作家たちは、皆この賞からデビューした。新潮社「女による女のためのR-18文学賞」。2000年に創設され、「15歳の熟女でも、80歳の少女でも」女性なら誰でも応募でき、下読みも読者選考も最終選考も女性が行うというユニークな賞だ。
 いまもっとも多くの人気作家を輩出してい

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Q.ターゲット層ってどう決めればいいですか?|海猫沢 めろん

Q.ターゲット層ってどう決めればいいですか?|海猫沢 めろん

こんにちは、コロナ環境に強い小説家です。
作家の友達と話すとみんな「いつもとおなじだから良くわからない」って言うんですが、ぼくはつらいです。
コロナのせいで仕事場がなくなり、新しく借りた仕事場が前に比べるとあまりに陰鬱で、本気で鬱になりそうなので6日で解約しました……10万くらいドブに捨てた気分です。ファミレスで仕事します……
そんなダウナーなぼくですが、今回もがんばってお悩みに答えます。

長編

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「いいセリフ」って何ですか?|王谷 晶

「いいセリフ」って何ですか?|王谷 晶

君の瞳に乾杯……王谷晶である。さて、これを書いている今は3月の末なのだが、掲載時に世の中がどうなっているのか正直さっぱり読めない不安定な現況である。私は神も仏もスパゲッティモンスターも信じないクールなリアリストだが、こういう時には世の平穏を祈らずにはいられない。神仏を信じぬ者が思わず手を合わせるとき、その胸には何が浮かんでいるか? 私が信じているのはBLと小説だ。

BLも小説も、人の腹をいっぱい

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創作を減点方式で考えた時点で負け|Nov. 2018|monokaki編集部

創作を減点方式で考えた時点で負け|Nov. 2018|monokaki編集部

当欄は、編集長の有田が一か月の記事を振り返って綴る、monokakiの編集後記です。
 11月の連休は、エブリスタも協賛している2泊3日の小説ハッカソンイベントNovelJam2018秋に遊びにいきました。昨年はスポンサー審査員として参加したのですが、今年は純粋な見学。NovelJamは「著者・編集者・デザイナーが3人一組のチームとなり、2泊3日で小説を書き上げる」という稀有な体験ができるイベント

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Q.思うように文字数が増やせません|海猫沢 めろん

Q.思うように文字数が増やせません|海猫沢 めろん

こんにちは。海猫沢です。

前回から始まった悩み相談コーナーですが、いろいろなお悩みありがとうございます。
ぼくも常に悩んでいるのでみんなの悩みは他人事だと思えません。機会があればサシで話がしたいですね。
というところで今回の悩みですが、ちょっと長くなりそうなので急いで本題にはいります。

長編を書こうとしてもぜんぜん書けない今月の相談者:紫津夕輝さん(24歳)
執筆歴:8年目
ご相談内容:8万文

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Q.設定や世界観はどこまで説明すればいいですか?|海猫沢 めろん

Q.設定や世界観はどこまで説明すればいいですか?|海猫沢 めろん

うわあああ! 暑くてあらゆるやる気がなくてなにもやる気がないのでなにもやれない! 思わず同語反復と重複表現をしてしまうほどやる気が出ません。

いや、でも知ってるんですよ。さすがに人間、40年近く生きてるとわかるんですよ。やる気がないときの対処法。それは、やることなんです。やっていればやる気は出る。これが真理! だからやるぞ! やるためのやる気を出すになにも考えないことです! よし、すぐに行こう!

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人生を解釈する光みたいなもの|末満健一 インタビュー

人生を解釈する光みたいなもの|末満健一 インタビュー

 「このアイデアや着想は、一体どこからやってくるのか?」
 すばらしい作品に触れたとき、物書き志望でもそうじゃなくても、読者や観客がまず疑問に思う点だろう。0から構想されたオリジナル作品はもちろん、原作のある作品の映画や舞台、ノベライズでも、原作の持つエッセンスを予想外に濃く深く展開する創作に出会ったとき、作家がそこに辿り着いた過程が気になる。0からの創作ではないからこそ、余計に気になるとも言える

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思わず自己嫌悪になってしまう日にやっていること|Aug. 2018|monokaki編集部

思わず自己嫌悪になってしまう日にやっていること|Aug. 2018|monokaki編集部

当欄は、編集長の有田が一か月の記事を振り返って綴る、monokakiの編集後記です。

今月は、何といっても月初に掲載した特集「Web時代の作家たち」、末満健一さんインタビューへの反響が大きかったです。 もともとは少女漫画家をめざしていたという来歴への驚き、原作モノをやるときには原作を第一に順守するという姿勢への賞賛、「舞台 刀剣乱舞」に関する解釈など、たくさんのご感想をいただきました。
折しも昨

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社長・営業・宣伝・編集が総力を挙げて読みます|「ポプラ社小説新人賞」吉川健二郎&森潤也

社長・営業・宣伝・編集が総力を挙げて読みます|「ポプラ社小説新人賞」吉川健二郎&森潤也

 「『わたしの美しい庭』は自分が書いた中でも、かなり優しめの話なんですよ。それはたぶん、ポプラ社の編集者・森さんと組んだからだと思うんです。児童文学を出されてる版元さんなので、新刊がすごく優しいと思っていただけるのなら、それはポプラ社さんのカラーだと思います」

 先月「本屋大賞」を受賞した凪良ゆうさんのインタビューで、こんな印象的な一節があった。「優しい」カラーに太鼓判つきのポプラ社の小説新人賞

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ラクして死ぬほどおもしろい小説が書きたい|Oct. 2018|monokaki編集部

ラクして死ぬほどおもしろい小説が書きたい|Oct. 2018|monokaki編集部

 当欄は、編集長の有田が一か月の記事を振り返って綴る、monokakiの編集後記です。

 小説を書くのって、もしかして、ものすごくめんどくさいことなんじゃ……。短くまとめると、そんな世界の真実を暴き立ててしまったのが、monokaki10月号でした。

 今月から新しくはじまった、三村美衣さんによる「新しいファンタジーの教科書」は言います。

 基本設定を作る際に、実際によく使われているのは、歴

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