シェア
ぴぴぷる
2020年1月31日 22:07
枯れた花が燃えている死んだ後で こんなに鮮やかな色をはなつのは幸せだろうか照らされた頬が染まっても 中まで暖まるわけじゃない枯れた花が燃えている とっくに消えてもおかしくないのに 火はまだそこにいる 幸せだろうか照らされた瞳が染まっても 中まで輝くわけじゃないこれがほんとの最後なのに
2020年1月3日 00:40
甘い夢の裏側で削られる肌はまだ 若さを保っているしんしんと雪は降り手招きする嘘と 遠ざける本当に温度のないものしか残らない目の中の小鬼がデタラメばかりを叫んでいる「遠く 遠くに 救いがある」頷けるわけもなく、ただ明ける年。
2019年12月2日 01:42
蛾が口のなかにいる頬の内側で ピタリと動かずわたしが悲しんだり 喜んだりした時だけ すこし羽ばたくこの乾いた不気味が 何度でも心を止めて巣から 離してくれない鱗粉が舌におちてくる言いようのない苦味が 唾液と共に溶けて侵食してくるだというのに 蛾を食べられずにいる頬の内側で ピタリと動かずわたしが憎んだり 嫉妬した時でも やはり羽ばたくこの乾いた不気味
2019年8月18日 00:20
まあるい月から 雫が垂れたと思ったら それは涙でいや、それも見間違いで ただ網から油が 炭に落ちただけだった重く蒸発するようなその音は 一瞬のドラムのように静寂の中に響き また、虫の声が広がっていく僕の目の前には 愛しい人が ハンモックで寝ていて いつものように イビキをかいている音楽とも言えない音の重なりが 心に沁みてきて また、僕は酒を呑む幸せは 移ろうものと知りつ
2019年7月16日 22:28
私のなかの とても美しい絵画は現実には ラクガキにしかならない 私のなかの とても美しい映画も 現実には 学芸会のようなものだ感性という麻薬が イタズラに心をみだしてくる あの夕陽も 温もりも 涙も すべてはまぼろしなのに 私はなぜか 駆け出したくなってしまう真っ白のキャンパスにぶつかって トマトのように潰れてしまえば芸術になれるだろうか。
2018年12月7日 19:22
人形を焼いた灰をふりかけに混ぜてしまおう炊きたてのご飯にかけて 一気にかきこんだら愛情を思い出せるだろうか焚き火をじっと見ていると恐ろしさと 懐かしさとが 浮かんでくる 全く他人の顔の 母親のような 奇妙が焚き火の向こうに立っているようだ自分のなかにある なまの部分を人形に重ねて 焼いてしまおう その灰を ふりかけに混ぜて食べたら自分が分かるだろうか。
2018年11月24日 01:56
夕焼けのカクテル 作ってくれよ俺はそれを飲み干して 空へ溶けるから夕焼けのカクテル 作ってくれよ菫の心を彩った 海の向こうの誰かのように枯れた空気 冷えた耳 心の奥で切れる粘膜夕焼けのカクテル 作ってくれ俺は空を飲み干して それに溶けるから。