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詩 | 虚無をかき集めて

モヤモヤした気持ちのときは
journalingしてみたらいいよって
聞いたことがある。
だから僕は
どこにたどり着くのか
わからないまま
何のあてもなく
その言葉にしたがって
書き始めることにした。


信じていたものが
信じられなくなる瞬間は
突然やってきた。
たった一通のメールは
僕のこころを
粉々にするのに
十分な威力を持っていた。


僕に対する悪口が
書いてあったわけじゃない。
誰かの悪口が書いて
あったわけでもない。
ただ僕の立つ足元の地盤を
完全に破壊したのだ。


何の裏付けを持たない紙が
紙幣としての価値を持つのは
それが価値あるものだと
すべての人が信じているからだ。
誰も信用しない紙ならば
紙幣などただの紙クズに過ぎない。


人間の言葉も同じようなもの。
信じる気持ちがあるから
信じている人の言葉は力を持つ。
けれども信じられなくなったら
人の言葉なんて
セミやスズムシの鳴き声よりも
何の意味も持たない
音の羅列に過ぎない。


「君の言葉を信じてもいいんだよね」
って尋ねたら
「聞く人に依りますね」じゃなくて
「100%信じてほしい」と
言ってほしかった。
人に常々「人を信じるな!」って
僕は言っていたクセに
こんなにも君の言葉を
信じたい僕がここにいた。


言葉なんて虚無かもしれない。
いや紛れもなく言葉なんて
虚無な音の連なりなのだろう。
僕が音の意味を信じない限りは。
本当に君の言葉を
信じてもいいんだよね?
虚無な言葉をかき集めながら
ただ信じたいという
虚無な願望を込めて
意味のない音に
意味を与えたいと思いながら
ただ僕はこの文章をつづっている。





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