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ソーのnote好きな小説まとめ

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とりあえず、分野にこだわらず、好きな物を集めた
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#ショートショート

【1話完結小説】どうもこうも押すよね

【1話完結小説】どうもこうも押すよね

リセットボタンがあれば君は押すかな
口うるさくて面白みのない両親
君にレッテルを貼る先生
偉そうに上から目線の友達
君を縛り付ける窮屈な世界の中で

リセットボタンがあれば君は押すかな
愛に溢れた理解ある両親
君の個性を認めてくれる先生
助け合える優しい友達
君が毎日笑ってる世界を求めて

リセットボタンがここにあるけど
君はどうする?
もし押すのなら君は目の前の僕も
消すことになるんだ
君がどう

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【1話完結小説】休日の洗濯物

【1話完結小説】休日の洗濯物

晴れた休日の朝。
光の中で揺れる洗濯物を見るのが好きだ。

汚れと一緒に慌ただしい平日のしがらみもすっきり洗い落とされたかのようなブラウスやスカートやタオル。
時おり気持ちいい風が吹き抜けて、踊るようにゆらゆら揺れる。
柔軟剤のいい香りがあたりにふわふわ漂う。
今週も一週間お疲れ様。
やっと楽しい休日が始まるよ。
思い切り羽を伸ばそうね。
…それはそうと柔軟剤、変えたのかな?
僕は先週までのフロー

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【ショートショート】ショートショート王様#毎週ショートショートnote

【ショートショート】ショートショート王様#毎週ショートショートnote

「勅令である」

 直方体のたらこ唇から、厳かに告げられる。

 白と青のツートンの正体を誰も知らない。かにを自称するそれは、小さなヒレをパタパタと動かす。

 日曜日、王様がショートショートのお題を出す。国民はみな一週間以内に上納品を提出するのだ。

 血眼になって走り回り、ネタを捕まえ、磨きをかける。

 ネタが見つからない国民は悲惨だ。浮浪者のように彷徨い「アラヤダあの子、まだ上納できないの

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視線の先|#夏ピリカ応募

視線の先|#夏ピリカ応募

 山形から東京の高校に転校した初日から、僕の視線の先は彼女にあった。

 一番前の席で彼女は、僕が黒板の前で行った自己紹介には目もくれず、折り畳み式の手鏡を持ち、真剣な顔で前髪を直していた。そのことが気になって、彼女の様子を観察してみる。休み時間になる度、彼女は不器用そうに手鏡を開く。自分の顔と向き合い、たまに前髪を直す。何度か鏡の中の彼女と目が合ったような気がする。鋭い目つきで少し怖い。隣の席の

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【ショートショート】消しゴム顔#毎週ショートショートnote

【ショートショート】消しゴム顔#毎週ショートショートnote

 いつからだろう。

 ぼくはいつも、クラスのみんなからさけられていた。

 すごくゆうきをだして、はなしかけたことがある。

 でも、みんなにげた。

 消しゴムのケースをそっとはずして、かくれていた顔をみつめる。

 「ねえ、ぼく、なにかわるいことしたのかな」

 すこしこまったような顔がこたえてくれる。

 (きみはおともだちとなかよくするのが、にがてなんだね。

 なかよくしたい?)

 

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【ショートショート】亡き妻のためのパヴァーヌ#毎週ショートショートnote

【ショートショート】亡き妻のためのパヴァーヌ#毎週ショートショートnote

 夜がまだ明けきらぬ時刻。

 彼は掘り起こした棺の中で眠っていた最愛の妻を胸に掻き抱く。彼の口からは、銀狼の咆哮にも似た嗚咽が漏れる。

 まなじりから流れ落ちた宝珠は、人知れぬ平野に積もる新雪のように白い妻の頬で弾け、薄明かりの下、妻の肌をより一層輝かせていた。

 やがて、妻の頬を撫でる一滴の水晶が色褪せた妻の唇に吸い込まれる。温もりを失った妻は顔を上げ、充血した瞳で彼に優しい微笑みを向けた

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小説|人だからさ

小説|人だからさ

 十年ぶりに彼女は町へ帰ります。知らない土地に思えました。古い建物の屋根は焼け落ちており、土壁には銃痕。支援金で建てられた新しい家々には知らない人々が住んでいます。夜に沈む町は変わりました。そして彼女も。

 十年前。彼女と病弱な幼い弟は、町の飯屋で無口な店主から軍人の残飯をもらいました。姉弟が急いで食べるかたわら、店主の腹が鳴ります。店主の痩けた頬を見て「なぜ、くれるの?」と彼女。店主は答えませ

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雨と宝石の魔法使い 第四話 リリーフ街の秘密

武藤響(むとう ひびき)は仕事からの帰り道、いつも一つ手前の駅で降り、自宅まで歩いている。40歳を越え、体力の衰えと、腹の出た中年の身体を憂慮して始めた習慣だった。

自宅の最寄り駅の手前にある武蔵橋駅には、小さな商店街「リリーフ街」が駅のロータリーから直結しており、夕方は地元客で結構な賑わいを見せていた。

今日も武蔵橋で降りるとそのまま大通りを通って自宅へ向かおうとしたが、花粉症の薬が切れてい

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『夜と桜と指輪と彼と』

『夜と桜と指輪と彼と』

あろうことか、彼は一度出しかけた指輪を引っ込めてしまったのだ。
付き合いは長いから、大体わかっていた。
お互いにそろそろかなという雰囲気はあった。
彼が、あらたまって予定を聞いてきた時からわかっていた。
そんなことは、今までなかったから。
だから、私も覚悟は決めていた。
彼に恥をかかせるつもりはなかった。
それが、あろうことか…

私が高校2年の時に、彼は新入部員として入ってきた。
私は、野球部の

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勝手にオススメ

勝手にオススメ

あふれる思い、受け取りました。
面白かった。

イラスト使ってもらいました。素敵なお話です。
こちらのお題は、Sheafさんの『ストーリーの種13』からだそうです。

鏡顔|#毎週ショートショートnote |1分

鏡顔|#毎週ショートショートnote |1分

 妹のアンナの表情は、いつも僕と同じになる。まるで鏡の中の顔のように。

 兄妹で遊んでいる時には笑顔。だけど、僕が足の小指を本棚にぶつけると、自分が痛いわけでもないのにアンナは今にも泣きだしそうな顔になる。

 やはり母さんがいなくなってから共感力が強くなったのだろうか。一人で僕らを育ててきた母さんが不慮の事故で亡くなったあの日、何も分かっていないであろうアンナが僕をじっと見て、わっと泣き出した

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短編小説?|不条理なゲームに巻き込まれた俺の行方|#創作大賞2022

短編小説?|不条理なゲームに巻き込まれた俺の行方|#創作大賞2022

■ 目次(本投稿)

■ 第1話:開始|2分

■ 第2話:次戦|3分

■ 第3話:望み|3分

■ 第4話:最終|2分

■ 第5話:道のり|4分

■ 第6話:俺の行方|2分