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エッセイらしきものばかり

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何がエッセイなのかよく分かっていない人が書いたエッセイらしきものです。
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2023年11月の記事一覧

罪と罰と休館日

罪と罰と休館日

 刑罰というものがあるのは知っています。刑法というもので決めてるんだろうなということも何となく分かりますし、その辺の人が思い付きで適当に決めたわけでもないと推測もできます。現在の法律にも不備はあるのかもしれませんが、ちゃんとした人たちが長年にわたって築き上げたものであろうと思っています。だから、拾った10円玉をポケットにしまう罪と他人の家に火をつける罪は、下される刑罰に大きな差があるわけです。罰の

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他人の「塞翁が馬」を見た話

他人の「塞翁が馬」を見た話

 好きかどうかはともかく「本当にそうだなあ」と思える言葉に「人間万事塞翁が馬」がございます。「塞翁が馬」とも略されますね。出典は中国の古典「淮南子」だそうです。

 幸運が不運を連れてきたり、その逆もあったり。もちろん、幸運か不運がひたすら連鎖する場合もあるでしょうけれども、とにかく予想がつかない。そんな意味です。

 淮南子は2000年以上前に編纂されたものだそうですが、「塞翁が馬」は今でも余裕

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ちゃんとダジャレに気づいていれば避けられた事故

ちゃんとダジャレに気づいていれば避けられた事故

 笑わせようとしたけど全然笑ってもらえない。いわゆる「スベる」という現象でございまして、お笑いで仕事をする人はもちろん、そうでない人もまた心に傷を負いがちな現象です。

 スベる理由はいろいろあるでしょうが、端的に言えば「つまらないから」でしょう。そして、つまらないものの典型として挙げられがちなのがダジャレです。ダジャレでスベるのは人類共通の悲劇でございますが、なぜか中年男性を中心に風当たりが特に

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文句が1個乗っかる万引き

文句が1個乗っかる万引き

 図書館を利用されている方はお分かりかと存じますが、並んでいる本はしばしば汚れたり傷んだりしています。仕方のないことではあるんです。人間、借り物をウッカリ汚したり傷つけたりしてしまう場合はある。

 しかし、意外と多いのが書き込みの類です。図書館の本は公共のものだと知ってるはずなのに、ボールペンでしっかりラインが引いてある。本文の間違いを直してある本も何度か見ました。何を血迷ってか自作の詩が書き込

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それしか話せないのにはわけがある

それしか話せないのにはわけがある

 中学生の時、海外へホームステイをしたことがあるんです。以来、海外へ行ったことのない私には、貴重な経験でございます。私にしては珍しく、特に大きなやらかしをせず、人としては及第点、お笑い的には0点のホームステイでございました。

 学校と地元自治体が主宰していたホームステイなので、同じ時期に同じ学校から何人かホームステイに参加していました。当然、帰りの飛行機ではこんな話になります。「ホームステイ先は

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休憩ソロキャンプ

休憩ソロキャンプ

 人が集まると、なんか特殊な人が現れるものです。以前いた職場にもいらっしゃいました。仮にその方を高瀬さんとしておきます。

 職場には休憩室がございまして、休憩時間になると皆さんが集まって食事をしたり談笑したりと、思い思いにリラックスし、職場へ戻ってゆきます。シフト制だったので、休憩室に行けば大体誰か休んでいるような状態でした。

 高瀬さんもまた休憩室の愛用者でございました。最初は高瀬さんも普通

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席を譲られる予行演習

席を譲られる予行演習

 人は未来の予測がなかなかできませんけれども、そのうち老いていくんだといくザックリとした将来は、人生の諸先輩方のお陰で子供でも簡単に予測できます。場合によっては杖を使うことになるかもな、とか、さっき食べた昼ご飯をもう5回は食べようとするようになるかもな、とか、人は来るはずの未来についていろいろ考えるわけです。

 電車に乗っていたら席を譲られる。これも、ひょっとしたら体験するかもしれない未来でしょ

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パンダと悪霊

パンダと悪霊

 以前に篠田君という名前で登場させた友人がいます。彼の特徴は異常なジャイアントパンダ愛でございまして、冷たい雨の日、彼に上野公園を引きずり回された話を書いたかと存じます。

 篠田君に引きずり回されたのは何も上野公園だけではございません。ある日、ジャイアントパンダと何の関係もない用事で篠田君と会っていたんですけれども、都心を歩いていますと図書館が目に入ったんです。都心の図書館なんてこんな機会でもな

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洗濯過剰生活

洗濯過剰生活

 大きなマンションをぼんやり眺めているだけでも、家は住む人の個性が出るもんだなと思うわけです。分かりやすいのが洗濯物ですね。割と毎日のようにバンバン洗濯物を干している家があれば、日曜の晴れた昼下がりでも全く干していない家がある。

 干していない家をよく見ると、窓には綺麗なカーテンがかかっていますから人が住んでいるはずなのに、ベランダには物干しざお一本ない。不気味なまでのスッキリさです。

 こう

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ドラマチックは続かない

ドラマチックは続かない

 まだ当時はSNSなんてものがなくて、メールでのやりとりが主流の時代でございました。そんなある日、私の携帯電話へ見慣れぬアドレスからメールが届きました。

 変な表現ではございますが、どうも世の中には人並外れて勤勉な詐欺師がいるようなんです。彼らは新しい技術が生まれると、それを使ってどうにか詐欺ができないか考える。当然、生まれたばかりの技術について熱心に勉強し、うまい活用法を編み出してゆく。

 

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神様になったらやりたいこと

神様になったらやりたいこと

 神社に行って膨大な絵馬がつるされているのを見ると、神様って大変なんだなと思うんです。政治家がいろんな人から「あれをしてくれ」「これをお願い」と無理難題を言われまくって大変との話を聞きますけれども、神様ともなればその比ではないでしょう。「何しろ神様なんだし」という抜群に高いハードルを抱えておりますから、人の善意や欲望が複雑に絡み合って「世界が平和になりますように」なんてとんでもない願いを気軽にポン

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