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#創作大賞2023
season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第五章 再生
時藤 浩史宅付近で、やはり黒影の思っていた通り、蔦は動きを止めた。
「此処からは、夢探偵社だけで十分です。有難う、涼子さん、穂さん」
黒影は二人に言う。
「でも黒影の旦那だって、サダノブも」
涼子は二人の怪我を気にした。
「もう、肉体労働はする気はないのです。此処からはこっちだ」
と、黒影は己の頭を指差し微笑んだ。
「成る程、そう言う事なら私達じゃ太刀打ち出来ませんね。お二人共、其れに白雪さんもご
season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第四章 蔦
「なっ!……何だ!?」
黒影は足を引っ張られる感覚に、驚いて声に出す。強い力で足が引き摺られ、地上に手を付いた。
何が起きたのかとサダノブを見ても異変は無い。
着いた掌に不気味な感覚があった。
ミミズの様に冷たい何かが一瞬通ったかと思うと、手の甲に其れは姿をやっと現す。
シュルッと黒影の指に絡まり、蔦は其の身体毎引き摺り、サダノブから離そうとするのだ。
まるで意思を持っているかの様に、黒影が成す
season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第三章 落下
3 落下
「どうせ調べるのでしょうから、此方からお話しします。庭に面して、丁度椿の直ぐ隣にハンバーガーショップありますでしょう?」
と、時藤 浩史は確認する。
「ええ、在りますね。あのハンバーガーショップの店の景観も落ち着いた色に抑えているのは、此方の建物に十分配慮されている様に窺えましたが……」
黒影は良くあるご近所トラブルからの行き過ぎた犯行の線を消そうとしている。
「景観「は」問題な
season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第ニ章 東洋薔薇
2 東洋薔薇
濃緑、紅が点々と差します東洋薔薇の
上に見えますは綻びた
夏名残、忘れ置かれた簾
そぞろ寒さに揺れまして
窓の中に見えますは
温もりでせうか
冷徹か
――――――――――
「まぁ、綺麗な庭。……あの、SNSで写真を趣味で上げているのですが、良かったらお花を一枚撮らせて貰えませんか?」
一人の大学生程の若い女が、モダンなコンクリートの一定間隔に開けてある四角い穴
season7-2 黒影紳士 〜「東洋薔薇の血痕」〜🎩第一章 暖炉
1 暖炉
いないかも知れない
この永遠に終わりが見える頃
君と僕は
だから先を見たく無くなって
願う事しか出来なかった
その時大量に降る
容赦無い雨を想い
立ち尽くしていた
何時も不可能を可能にしたよ
どんな事だって成し遂げてみせたさ
ずっとそれで良いと思っていたのに
僕は意思を持ち始めた……影、屍
――――――――――――
プチプレリュード 「ゼロポイント」
②読者様プレゼント企画「黒影紳士」~光影の舞踏会~ポップアップ版🎩第二章 3もう一つの動機 4シャッター 5刻まれた時
3 もう一つの動機
「佐々木 晴也は何かの能力者かもしれな。見えない筈の物を写真に収めるなんて…。」
風柳は黒影に聞いた。
「確かに…。僕が思うに、念写か何かではないかと推測しています。然しそれだけならば、危険人物では無い。精々違法な画像を売る程度ですよ。僕では無く、其方は風柳さんの管轄でしょう?」
黒影にそう聞かれた風柳は夜空に白い息を吐き、
「あ……ああ。だとしたら警察で何とかすべきだな
①読者様プレゼント企画「黒影紳士」~光影の舞踏会~🎩第一章 1硝子の悲鳴 2神の目
「黒影紳士」ー光影の舞踏会ー特別年末年始号ーポップアップで付録ぐらい版ー
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注意事項(個人鑑賞利用範囲でDLして下さい。著名を偽ったり改変を加えて再アップロードはしないで下さい。もし、黒影紳士をYoutubeやTicTokでこれを使って紹介したい、朗
season7-1 黒影紳士 〜「白心願華」〜逃亡せし君🎩第五章 息吹の答
9 息吹の答え
……渇望する……「生きたい」と言う願い。
ひしひしと伝わる、それが困難な嘆き。
僕等はそんな事で、戦ってしまうんだ。
始めはさ……願いだった事も忘れて。
平等であり、平和である。
簡単な言葉に聞こえるかも知れない。
其れはこんな犯人の様な男からしたら、何よりも藁をも掴む程、欲しいのさ。
……結局……人間ってのは……失った物を欲しがる。
犯人「……黒影――っ!!
season7-1 黒影紳士 〜「白心願華」〜逃亡せし君🎩第四章 7白心願華hakusinganka 8揚羽
第七章 白心願華
黒影は単騎突っ込み流れる銃弾を避けて、時に舞い上がり旋回して幻の火の粉の雨をカジノの部屋に降らした。
流れ去る銃弾を見ると、違和感を感じる。
「……これはっ!?」
ビリヤード台の下にある木箱から、銃弾が切れては補充し、時には違う形状の銃に持ち変える者もいるが……その銃を見た事が無いのだ。
違法の改造銃にしては当たりが的確で暴発も見られない。
……ただの銃ではないっ!
season7-1 黒影紳士 〜「白心願華」〜逃亡せし君🎩第三章 5翼の無い者達 6生きる果てに
第五章 翼の無い者達
痛みとは簡単に言うなれば、組織破損場所からプロスタグランディン等の物質がセンサーを介し、痛みの神経を興奮させ起きる。
この神経から前章後半で述べたシナプスを伝い「痛い」と言う信号を送る訳だ。
このシナプスは痛みだけでは無く、多くの感覚を脳に送る電気を繋ぐ様な役目をしている。
痛み等感じなければ良いと思うかも知れないが、即座に感じる事で切る、打つける、熱い等の感覚が大
season7-1 黒影紳士 〜「白心願華」〜逃亡せし君🎩第二章 3 目覚 4 死因不明
3 目覚
柔らかな高い声が流れる様に耳に届く。
その旋律がブルーローズが歌う、フレンチシャンソンだと気付くのに、その声は心無しか途切れ途切れで、言葉を刻んでいる様にも思える。
こんなにも心配を掛けてしまったのかと気付き乍ら、黒影が何時も心配する白雪を想う時を、思い出す。
優しいけど、儚い…そんな微笑み。
冷たくは無いのに、温かいのに、何処か悲しそうな瞳。
頬杖を付き、白雪を見て……今
season7-1 黒影紳士 〜「白心願華」〜逃亡せし君🎩第一章 1芒 2願い
プレリュード 硝子
「黒影……。この懐中時計はな、針が僕らだ。そして、周りを囲む黒いインデックス……これが本だ。僕は時計の針を一周回す。12冊。此れで半年だ。二週目で丁度一年分。……定期的にゆっくりだが、嬉しくも哀しくも時を食うのが本と言うもの運命である。書く側も、読む側もだ。季節は美しいが短くなったり長くなる。……この時計の様な物だ。僕の人生は。
たがな……このインデックス一つ一つの間に、何