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ものがたり。

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月のうさぎ

月のうさぎ

*想像******

月のウサギが、
そこら辺を歩いている。

杵を持って、
臼のところまで。

月に居場所がなくなったらしく、
うちに仮住まいを始めたみたいなのだ。

朝起きると、
ゴンゴンと
ウサギが杵をつく音がする。
臼が見つからなくて床を叩いている。

もう、しょうがないなあ…。

うちは臼を用意する。
ウサギは喜んでいる…ようにみえる。

ゴンゴンと臼を叩く。

ある日餅米を用意してやる

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こかげのうた(日暮れ時、夕焼け前)

こかげのうた(日暮れ時、夕焼け前)

「日暮れ時、夕焼け前」

まだ西の空が
橙色に染まっていない頃

空は青い。
青いけれど、
もう昼ではない。

うちはこの時間が好きだ。
夕暮れ前。
夕焼けの予感がする青い空。

よく、出かけたくなるのは
こういう時だった。

日中ギラギラと照りつけていた太陽が、
その勢力を弱めて、
見える視界の丸ごとが、
一段階淡い色彩に移行する時間。

******

うちが
丘を登っていくと、
あの子がこっ

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夕立ち(4話)

夕立ち(4話)

部屋の電球が、
2,3回点滅して、
切れてしまった。

真っ暗だ。

このまま暗いままでもいいか、と思ったが、
まだお風呂にも入っていない。
晩ご飯を食べたところだった。

外は土砂降りで、
不思議な生命の気配が漂っていた。

生暖かい夜に、
霊や魂や、エネルギーたちも、
雨に助けを得て
歩き出しているのかもしれない。

時々吹き付けて、
網戸を越えて入ってくる風が、
ふわっふわっと
頬やおでこを

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夕立ち(3話)

夕立ち(3話)

↑このお話の続き

******

ごめんください…

部屋の中は真っ暗だった。
あの灯っていた明かりは、もう消えてしまったのかな。
夕日が沈むみたいに。

もう眠ってしまいましたか。
私を泊めてもらえませんか。

扉の近く、水槽のさかながパクパクと口を開いた。

ご主人、電球が切れて、
なぜだか静かになっちゃったよ。

君は迷子かい?
迷子だねえ。

あれ。君天使?天使だね?
珍しいこともあるも

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夕立ち(2話)

夕立ち(2話)

↑このお話の続き。

雨粒の天使

雨は雲を離れ、
地上へと向かう。一粒で。
空中に孤独。

音立てることもなく。

波紋をつくり
地上の水の仲間入りをするまで、
ひとりで。

わたしは、雨みたい。
天の世界から離れて、
地上にたどりついて。

でも、雨みたいに浸みていくことは
できないでいる。

濡れた髪。
ぬれた翼。

私にはつばさがあって、
それはこの場所でも変わらないこと。

翼が折れなく

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こかげのうた(旅立ち)

あなたは言った。

「遠くへ行きたいなあ…」

思いもよらなかったので
うちは驚いたけれど、
顔や声には出さなかった。

「行けるよ」
うちはつぶやく。

「そうかなあ。」
「どこにだって、行けるよ。あなたなら。」

木が、
遠くへ旅立つのは、
どういうときなんだろう。いつなんだろう。

花が咲く季節。
木漏れ日の季節?
実がなるとき?
それとも、枯れ葉の頃
あるいは。雪に埋もれる頃。

「遠くへ

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そらのみち

そらのみち



不思議なところに看板が立っていた。

ピンときたうちは、
看板の隣から、

一歩を空に踏み出していった。

やっぱり。

空の道の工事中だった。

そうでなければ、
あんなところに看板なんてあるわけないと
おもったんだ。

「ごめんね。ここは工事中。
迂回してね。」

「はい。ありがとうございます。」

応えながら、

うちは、手元に
はちみつレモン、がないことを
悔やんだ。

休憩をしません

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こかげのうた(断片)

こかげのうた(断片)

丘の上では、
今日は特に、柔らかい風が吹いていた。
ずいぶん風の雰囲気が変わった。

木はいつも通り、
涼しげな木陰をたたえて
立っていた。

感じる風はやさしくて、涼しくて。

夏の間、救いを求めるように訪れていた
そのこかげは

色が
ブルーから少し薄れ
透明に近づいているようだった。

こかげの色は、これから
暖色になっていって、
紅葉と同じように
なっていくだろう。

そして
葉が落ちきる

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こかげのうた

こかげのうた

かつて、
樹木だったことがある。

その時のことを思い出している。

あの人にもう一度会いたくて。

***

うちは名前を知らなかった。

自分の。
世界の。

毎日流れてゆく雲を見つめながら、
雨に打たれて、
風に枝を折られ、
それでも

その場所にずっといた。

時折、風に乗って、言葉が流れてきた。
イメージもくっついて。

感情のこもったいろんな音。
すごく遠くからの音。

地球の歌。

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