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こかげのうた(断片)

丘の上では、
今日は特に、柔らかい風が吹いていた。
ずいぶん風の雰囲気が変わった。

木はいつも通り、
涼しげな木陰をたたえて
立っていた。

感じる風はやさしくて、涼しくて。

夏の間、救いを求めるように訪れていた
そのこかげは

色が
ブルーから少し薄れ
透明に近づいているようだった。

こかげの色は、これから
暖色になっていって、
紅葉と同じように
なっていくだろう。

そして
葉が落ちきると こかげはなくなる。

けれど、
強烈な日差しも
もう照りつけることはない。

落ち葉の敷き布団で、
うとうと、
眠れるのだった。

木と添い寝して。



暖かくて、樹木と日の光に祝福された場所。
枯れ葉の匂いが、香ばしくて
心地いい。

もう 飛ぶ虫もイナゴしか見当たらない
草陰からはなにやら
もの哀しげな声が
響いている。

ここから離れたくない。
家に帰りたくない。


「こかげのうた」
いつか。どこか。

27years old,9.29,Mizuki

絵を描くのは楽しいですが、 やる気になるのは難しいです。 書くことも。 あなたが読んで、見てくださることが 背中を押してくれています。 いつもありがとう。