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【詩】 ジェットコースター
ずっと夕暮れのままの道を歩いている
なつかしい、あの川の土手のような
あのカメラ屋さんの坂道のような
ずっと夕暮れのままの道を歩いている
色褪せたレールが空に浮かんで
もったりと夕陽に浸かっている
がたがた音をたてながら
ジェットコースターが走り抜けていく
百円玉二枚ポケットに握りしめて
がたがた走る音だけ聞こえながら
僕にはどうしても
乗り場を見つけることができなくて
泣きたいくらいきれい
【詩】 ある夕暮れの風景
ヘラで返したクリームみたいな
雲があわくあかく染まる
遠くまで引きのばされて
はしっこの山の影と溶けあう
五階の踊り場から見はらす町は
夕方の薄闇に浸かりはじめて
あの鮮やかなオレンジの壁も
やさしいモノトーンの夢をみる
浅い川面とコンクリの土手は
やらかい金属のような
しっとりとした手触りで
ゆっくり消灯するように
声もなく暮れていく町よ
この静かなくるおしさは何だろう