暮れかかる空をつっきって
赤紫色の雲の道を行進する
何千何万のピエロのぬいぐるみの
大音量のドラムマーチが
どかどかどかどか鳴り響く
おそろしい夕暮れです
心臓の中が波打つ爆音で
大太鼓が空気を揺らし
骨の芯までがんがん響く
音の洪水に呑まれて
どかどかどかどかどかどかどかどか
いまにも頭が割れそうです
川面には茶色い鳥がゆっくりと浮かび
向こうの橋の上を四角い車が滑る
公園ではやわらかそうなボールが跳ね
ひもを持った人と半目の犬が横切る
頭を抱えた人がしゃがみ込んで
前に後ろにときどき揺れている
赤紫色ののどかな夕焼け空が
無音で襲っている