見出し画像

【詩】 オキシドール

白い綿のような
雨の降る夜の道です
駐車場の隅の電灯が照らし出す
霧のようなカーテンのような
ふわふわの雨が
傘を持つ腕に
斜めに降ってあたります
小粒でひんやりした雨が
いかにもふわふわと
綿みたいにあたります
オキシドールを吸わせた脱脂綿を
そっと肌に押しあてるように
ふんわりとあたります

———いいえ私は怪我人ではありません
   傘をさして雨の中を歩けるくらい
   水溜りを踏んでも狼狽うろたえたりしないくらい
   落ち着いているし、弱ってなどいません
   ただ今日はちょっと
   細かい雨が肌にあたるやさしい感触が
   すこし心に沁みてしまっただけです




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?