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【詩】 ある夕暮れの風景

ヘラで返したクリームみたいな
雲があわくあかく染まる
遠くまで引きのばされて
はしっこの山の影と溶けあう

五階の踊り場から見はらす町は
夕方の薄闇に浸かりはじめて
あの鮮やかなオレンジの壁も
やさしいモノトーンの夢をみる

浅い川面とコンクリの土手は
やらかい金属のような
しっとりとした手触りで

ゆっくり消灯するように
声もなく暮れていく町よ
この静かなくるおしさは何だろう





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